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コラム
「経営改善」 ⑩ 根競べと自責による内部改善
2023年9月18日
【今回のポイント】
・ 外部環境変化は厳しいが、競合他社も同じ環境変化の中にいる
→ 競争条件は同じ
・ 外部環境は基本的にコントロールが効かない
→ 変えられるのは内部の仕組みであり組織
・ 当たり前のことを当たり前にやることが重要
→ 原価分析(正しい変化点の把握)
・ 不採算理由の具体的提示が価格転嫁交渉の最低条件
・ 自社が得意先に何故選ばれているかの振返りは必須
→ 価格のみの評価であれば遅かれ早かれ切られるが、そもそも
何らかのサービス(技術含む)の優位性がなければ選ばれて
いないという現実
・ 生産性向上にはボトルネックの把握が不可欠
→ ボトルネックを広げない限り、的外れ
急激な外部環境の変化により、多くの企業が苦戦を強いられています。
・ 原材料費の高騰
・ 光熱費関係の高騰
・ 2024年問題を含めた物流費の上昇
・ 人手不足と人件費の上昇
どれひとつ、容易に解決できる変化ではありません。
無論、製造業もご多分に漏れず苦労しています。
しかし、外部環境が如何に変化しても、それに対して自社がやれることは基本的に内部の基準更新が中心となります。
そもそも、外部環境はコントロールが効かないからこそ外部環境なのです。
また、外部環境とは競合他社を含めてある意味同じ競争条件とも言えます。
今回はコロナ禍の中で取り組んでいた経営改善が結実、対前期比で5割増し程度の売上と、数倍の営業利益の確保が確定した企業のお話です。
その企業は、仕組み改善から組織改善へと着実に歩みを進める中で顧客の信頼を勝ち取り、コロナ禍における上半期の落ち込みを下半期で吸収、増収増益ベースにのせました。
「上半期の取組み」
・ 原価分析(現状把握)
・ 不採算項目及びアイテムの洗い出し
・ 取引先(超大手)に対して原価分析を元にした価格転嫁交渉
・ 並行して、社内のボトルネック工程の洗い出し
・ ボトルネック工程の生産性向上施策の実施
・ 品質確保に向けた作業標準の更新 等
しかし、それは管理職メンバーにとってはこれまでの悪習からの脱却に苦闘する日々でした。
増収するということは量も種類も増えるということであり、管理工数は当然増えます。
(この場合は5割増し以上)
また、当然のことながら不良や遅れを出していては到底目標を達成することができない訳であり、管理レベルの向上が最大の課題となります。
それを乗り越えるための悩み苦しみは尋常なものではなかったでしょう。
社長も、それまでのマイクロマネジメントを改め、任せること・信じることに拘っていただきました。
これは社長業の「整理」であり、多くの中小企業に必要な事柄だと実感しております。
管理職は、ルーティンワークからの脱却と部下の掌握(この場合は信頼を取り戻すこと)に徹底的に拘り、管理業務の仕組みの見直しと行動変容に取り組んでいただきました。
これもまた「5S」、管理者の仕事の「整理」と「整頓」、絞り込みと目で見る管理の導入で退路を断つことを意味します。
その効果が顕在化し始めたのは数か月後、それまでは何度も「もう無理だ」との泣き言も随分お聞きしました。
やるべきことは組織体制整備(サポートしてくれる味方としての部下の抜擢を含めた組織機能の「整理」)、管理職の行動基準の見直し(これも「整理」)、できるまで訓練することを愚直に繰り返すことです。
(このあたりは「清潔」と「躾」でしょう。)
最初はできずとも、訓練を重ねることで大抵のことは出来るようになるものです。
ただし、それには社長をはじめ、導く側がどこまで拘ってやり続けるかが重要なポイントとなります。
人を育てることは子育てと同じ、「出来るまでやる・やらせる」という気構えと、背中を見せながら成長を待つという根競べの姿勢は欠かせません。
会社を動かすのも人、変えるのもまた人です。
厳しい環境下だからこそ立ち止まらず、常に考え行動することが求められているのではないでしょうか。
そして、自社が取引先に選ばれている理由については良く考えていただきたいところです。
無論、価格面もあるでしょう。
しかし、本当にそれだけですか?
メーカー変更とは、取引先側にとっても大きな負担となります。
それだけの負荷を掛けてでも変える選択をするというのは、何処に理由があるのでしょうか?
特に、この場合は長期的な設計変更の結果ではないのです。
自社を客観視する重要性もまた、高まっているのではないでしょうか。
「原点復帰を : 鳥の目で見えていますか?」
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