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大竹光明

人事労務コンサルティングのプロ

大竹光明(おおたけみつあき)

社会保険労務士法人大竹事務所

コラム

掛け持ち就労者の労働時間管理

人事労務管理

2012年6月25日 / 2014年5月23日更新

先日、ある会社(以下、「A社」)の経営者様からこんな相談を受けました。
「平日の18時から20時まで勤務する清掃のパートさんを雇用したけど、どうも昼間は正社員として別の会社で働いているみたい。うちが気をつけることあるかなあ?」

詳しく聞いてみると、この相談の対象労働者となるパートさん(以下、「Bさん」)は、
① 昼間8時間他社で勤務している。
② 他社と先に雇用契約を締結している。
③ パートの面接の際には、兼業となることを申告していない。
ことがわかりました。

この場合、A社はどのようなことに気をつけなければならないでしょうか。

1.労働時間の計算方法は?

 複数の事業所で就労した場合の労働時間の取扱いは、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とされています。(労基法第38条)
 つまり、労働時間は個々の労働者ごとに通算されます。
 Bさんの場合、他社で8時間勤務したあと、A社で2時間勤務しているため、
 8時間+2時間=10時間 となり、8時間を超えた2時間が法定時間外労働となります。

2.割増賃金の支払い義務がある事業主は?

 では、どちらの事業主が時間外労働の割増賃金を支払わなければならないかが問題となります。
 通達には、「法定時間外に使用した事業主は労基法第37条に基づき、割増賃金を支払わなければならない」(昭23.10.14 基収2117)とされています。
 ここでいう「法定時間外に使用した事業主」の解釈には、二通りの説があります。
① 労働時間は暦日(0時から24時)をもって計算するので、1日のうち時間的に後に労働者を就労さ
せる事業主
② 後から労働契約を締結した事業主

 一般に、刑事責任では①の考え方に基づいており、民事責任では②の考え方になるようです。労働基準監督官は、①の考えに基づいて指導・助言を行っています。

3.労働者が兼業を申告しなかった場合は?

 このケースでは、A社が割増賃金を支払う事業主となりますが、そもそもBさんはA社に対し兼業を申告していませんでした。
 労働者自身が正しく申告をしなかったために会社が兼業の事実を知らない場合は、会社に法違反の故意がないため労働時間の通算に関する法違反は成立していないことになります。
 でも、A社がその事実を知った後には、A社にはBさんの労働時間を把握する義務と割増賃金の支払義務が発生します。

 因みにA社がBさんの面接をした際に、兼業の有無を申告させる義務があるかについては、A社にはその義務はありません。ただし、もしBさんが長時間労働が原因で何らかの事故を起こした場合は、A社は労働時間管理の責任を問われる可能性はあります。

長引く不況の中時間外労働の削減等で、ご相談のケースのように正社員でも兼業をしていることが珍しくなくなりました。
でも、兼業をしている人を雇用することは、そうでない人を雇用するよりもリスクがあることをぜひ心に留めておいてくださいね。


 ◎pty◎


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