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大竹光明

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大竹光明(おおたけみつあき)

社会保険労務士法人大竹事務所

コラム

プロ野球選手は労働者??

労働法

2011年6月29日 / 2012年1月23日更新

●素朴な疑問
今回はタイトル通り「プロ野球選手は労働者なのか?」ということについて検証してみたいと思います。みなさんは「たくさん年俸もらってるし、確定申告してるし、自主トレしてるし、労働者じゃないんじゃない?」と思われますか?私も感覚的にはそう思います。
でも、よく考えてみるとホワイトカラーの人でも、年俸制で所得も2000万円を超えて確定申告をして自己啓発のために勉強されている方も大勢いらっしゃいますよね。

では、「労働者」って何なのでしょうか?


●労働基準法と労働組合法
ここからは少し専門的になりますが、日本で「労働者」を定義する基本となる法律は二つあります。【労働基準法】(労基法)と【労働組合法】(労組法)です。しかし、何とこの二つの法律、「労働者」に対する定義づけが微妙に異なるのです。
【労基法】→「労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」
【労組法】→「労働者とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」
そうです、【労組法】の方が【労基法】より労働者に対する定義づけが“ゆるい”んです。

これまで、【労基法】上の労働者に当てはまるかどうかは、
①雇われ方の形式(雇用、請負、委任など)に関わらず、
②その人が使用者の命令や管理に服しているかどうか、
③使用者への専属性と経済的な依存性が高いかどうか、
④事業者としての性格がないかどうか(あるいは弱いこと)、
などが判断基準とされてきました(これは概ね判例でも支持されています)。
つまり、仕事の依頼について諾否の自由があるのか、仕事の内容とそのやり方について指揮命令を受けているのかどうか、働く場所や時間について働く人が自由に決められるのか、仕事に対する報酬が賃金として考えられるかどうかなどが判断基準となるのです。

これに対し、【労組法】で定義される労働者は、 経済的依存性の有無が中心的な判断基準となっています。労働者の範囲が労基法より広いんですね。


●プロ野球選手について考えてみる
さて、ここでプロ野球選手について考えてみましょう。
年俸交渉は各自が行いますし、バットやグローブなどの道具も自分で揃えたりします。練習時間や方法だってかなり自由度が高そうです。
結論から言いますと、プロ野球の一軍選手は、実務上の基準や判例により【労基法】上の労働者とは認められていません。さらには、【労基法】の労働者定義と同じ判断基準を持つ最低賃金法や労災保険法の適用もありません。
一方で、日本プロ野球選手会は“労働組合”として正式に認められています。つまり、【労組法】ではプロ野球選手は労働者なのです。
同じ人なのに【労基法】では労働者ではなく、【労組法】では労働者…日本って不思議です。


●個人事業主なのに労働者とは
税法上、プロ野球選手は個人事業主(事業者)です。しかし、特定の使用者(球団)に経済的に依存している点においては、【労組法】における労働者なのです。
所得税法は事業者とされている人々の中にも、労組法上の労働者が含まれていることがあるんですね。


●大リーガーは?
ちなみに米国の大リーガーは、日本でいう労基法・労組法にあたる法律の両方で、きっちりと「労働者」と認められています。これは、米国の判断基準が日本より柔軟性に富むためです。労災法の適用もあるそうです。
お国変わればプロ野球選手の社会的な扱われ方も変わるんですね。

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