マイベストプロ大阪
小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」議事要旨:第三者管理について

2023年2月3日

テーマ:その他

コラムカテゴリ:住宅・建物

 「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」が昨年の令和4年10月から開催されました。1回目が10月31日(月)に、2回目が11月21日(月)に、そして3回目が12月23日(金)に開催されています。
 検討会の議事要旨は、第2回までの分が公表されています。内容を見てみますと、2回分の議事要旨ですが、「第三者管理」に関するご意見が多かったみたいです。以下が、その意見内容です。

● 組合理事のなり手不足については、第三者管理の活用についてさらに突っ込んだ検討が必要である。マンションの管理組合や区分所有者が主役であることは間違いないが、区分所有者の意識はそこまで高くなく、理想は理想として、次善の策として第三者管理が重要となる。
● 第三者管理は一部の新築分譲マンションで取り組みが進んでいると聞いており、既存マンションにおいても一部の管理会社が力を入れ始めている。現時点では、標準管理規約や同コメントで多少言及されているが、今後さらに具体的運用について議論を深めていく必要がある。
● 最近の大手の管理会社では、新築物件において管理会社が管理者となることが増えてきている。反対するものではないが、管理組合の財産の保全、具体的には組合銀行口座印の保全を確実に行うことが必要。大手管理会社ではかなり体系化してきているが、中小の管理会社がビジネスとして参入した場合に全く管理組組合の意思が通じないようなケースも想定される。第三者管理にあたっては、利益相反・利益誘導が行われないよう検討する必要がある。
● 第三者管理については、これまで国交省のガイドライン等で示されているのは、区分所有者による管理という理想形から出発し、専門知識を要する一部を専門家に任せるというイメージで記述されているかと思うが、面倒な管理に関わりたくないという区分所有者のニーズが非常に強くなっており、理事会がないパターンの第三者管理が増えていると聞く。理事会がないパターンは区分所有者によるチェック機能が有効に働くかという課題があるため、まずは事例を集めて実態の分析をすべきである。
● 理事会がないパターンについては、監査法人など一定の第三者的立場による監査を強化する必要があるのではないか。例として、総会の有無に関わらず監査報告の義務付けや重要取引の事前チェックなどが考えられる。
● 第三者管理に関する基本事項について統一的なルールを設ける時期に来ているのではないか。現状は各管理組合の管理規約に任せるという考えに基づいて運用されているが、 管理組合は小規模なものも含め数が非常に多く、その具体的なあり方は多様だとは思うが、共通する部分についての基礎的な規制を法令等で行うことも考えられるのではないか。
● 役員担い手不足への対応について、第三者管理方式については、数年前までは管理会社も後ろ向きであったが、この1~2年で変わり、今は積極的に取り組まれていると感じる。今後より大きな転換期が来るのではないか。
● 管理会社が管理者になるパターン、理事会がないパターンの留意点としては、通帳と印鑑を誰がどのように保管しているのか、区分所有者へ管理の情報をどのように開示していくのか、区分所有者の意見をどのように吸い上げていくのかなどがあるが、実際に工夫を行っているものもあると思われるので、どのようにすれば適切な管理ができるのか考えていくべき。
● 第三者管理について、当団体では、10年以上前から役員を管理組合に派遣する取組みを行ってきた。当初は派遣された者が理事長へ就任していたが、区分所有者以外の者が管理運営のトップを担うことは管理組合の自立支援に繋がらないのではないかという意見もあったため、現在は副理事長としてサポートする派遣方式に徐々に切り替えている。
● マンションが訴訟を抱えている場合、区分所有者が理事長になりたくないため第三者に理事長就任を依頼するケースもある。役員の担い手不足は、第三者管理以外にも様々な問題があるのではないか。
● 第三者管理は、適正化法に準拠して通帳と印鑑は同時保管をしないことが前提であるとともに、第三者の業務監査が重要であるので、法制化も検討されるべきでは。

 上記内容にありますように、大手管理会社が新築物件で分譲時から第三者管理者となるケースが増えてきており、今後、さらに第三者管理を受託する管理会社が増えてくるものと思われます。現時点では、様々な問題が山積みとなっている感があり、新築マンション以外で導入する際には、特に利益相反・利益誘導について管理組合様にご納得いただける説明が不可欠となり、今後、当事務所にも第三者管理に関する問い合わせが増えると思われます。
 来月には、某大手管理会社の第三者管理を担う部署の担当者様から説明を聞き、質疑できる機会がありますので、このコラム欄でその内容をお知らせしたいと思っています。

 また、次のように、議事要旨の中には、マンション管理士に対して、質の向上が必要であり、その方策を検討する必要があるという意見がなされていました。
● マンション管理士は、管理組合、区分所有者の負担軽減や、行政の取組を後押しする存在としても非常に重要な存在である。専門性向上のための方策の検討が必要。
 

この記事を書いたプロ

小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(マンション管理士事務所JU)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の住宅・建物
  4. 大阪の住宅その他
  5. 小堀將三
  6. コラム一覧
  7. 「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」議事要旨:第三者管理について

© My Best Pro