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小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

大手管理会社 第三者管理の試験導入

2022年8月19日

テーマ:マンション管理業界

コラムカテゴリ:住宅・建物

 日本経済新聞電子版に以下のタイトル記事が掲載されていました。

 『「理事会なし」マンション増える事情 大手も試験導入』

 これは、管理会社が第三者管理者として管理をする試験を実施しているということです。築年数を経るにつれて、居住者の高齢化や住戸の賃貸化などによって管理組合の運営が困難となったり、管理組合の役員に過重な負担がかかるなどにより、管理組合自らがマンションの管理に責任を負う方法では、円滑に機能させることが出来なくなってきているマンションが増えてきています。そこで、管理組合以外の第三者が管理責任を担う第三者管理方法が提案されるようになり、国土交通省が作成したマンション標準管理規約のコメントにも、次のように記述されています。

「近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。
(中略)
 外部の専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的なパターンとしては、別添1に示したとおり、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型、(2)外部管理者理事会監督型、(3)外部管理者総会監督型の三つが想定される。この標準管理規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定したものであり、第35条第2項において組合員要件を外した場合には、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。
 なお、(2)、(3)を採用しようとする場合における規定の整備の考え方については別添1に示すとおりである。」

 上記、(2)と(3)のパターンが典型的な第三者管理方式です。(1)のパターンは第三者が役員になる方法で、理事に就任する場合や、監事に就任する場合があり、この場合には、第35条第2項(マンション標準管理規約の場合)にある「組合員のうちから」を削除する必要があります。(2)と(3)のパターンでは、外部の第三者が管理者に就任しますので、第38条第2項(マンション標準管理規約の場合)の「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」を変更しなければなりません。
 第三者管理方式を導入するためには、まだまだ課題が多くハードルが高いのですが、もし第三者管理を管理会社に任せる場合には、是非気を付けていただきたいことがあります。それは、先程の「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」を変更する際に、管理会社名を絶対に明記しないことです。導入してから浅い時期では、規約を変更するための特別決議を可決できるだけの体力が管理組合にあるかもしれませんが、時が経つにつれて、その体力が失われたときには、明記してしまった管理会社名を変更、削除することは難しくなっています。場合によっては不可能に近い状況になっているかもしれません。
 東京のほうで30年程前に分譲されたマンションで、分譲時から管理会社が管理者となっている規約を変更するのに大変苦労をされたことを聞いたことがありましたので、この記事を読んでふと思い出しました。

 日本経済新聞記事
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC205640Q2A720C2000000/
 ※全文を閲覧するには日経新聞の会員登録が必要です。

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