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コラム
大規模修繕工事の長周期化
2018年8月10日
分譲マンションの大規模修繕工事は約12年ごとに実施するのが良いと言われ、国土交通省もそれを推奨していますが、昨今、部材や塗料等に品質の向上が著しく、劣化状況次第では15年前後の実施でも問題が無いように思われます。実際約15年で実施するマンションが増えてきており、大規模修繕工事の長周期化等のために様々の手法を各社考案しています。たとえば、長谷工リフォーム(長谷工コーポレーション傘下)は、超高層マンションで使用する足場を自社で保有する割を増やして、割高なリースを少なくするように進めており、屋上防水では耐久性の高い素材や工法を使用して、条件次第では保証期間を20年に延ばしています。また大和ライフネクスト(大和ハウス工業子会社)は、近隣の小規模マンションの大規模修繕工事を同時に実施することで、資機材の搬入出費用や人件費の圧縮を図ろうとしています。
そして野村不動産は、大規模修繕工事の長周期化に対応できるサービスの開始を昨年発表しました。自社の主力ブランド「プラウド」のマンションで、修繕工事の周期を16年から18年に延ばせる仕様の新築物件を現在建設しています。その物件は、2019年8月竣工予定の「プラウド港北センター北」と2020年1月竣工予定の「プラウド市川マークス」で、大規模修繕工事の長周期化を実現するために、剥離・落下のおそれが低くなる有機系接着剤張り工法を外壁に採用、また屋上には、従来のアスファルト防水やシート防水に代わる新しい仕様を採用して、10年が主流の保証期間を15年にしています。
大規模修繕工事のコストを圧縮できるサービスや大規模修繕工事の長周期化のサービスを今後も大いに開発していただきたいと思いますが、それよりも分譲時の管理費や修繕積立金の金額設定を見直していただきたいと思います。分譲時の設定金額があまりにも低いために第1回目の大規模修繕工事時には、ほとんどのマンションで修繕積立金が不足しています。駐車場使用料を補填した管理費や修繕積立金の設定方法が良くないことは誰も異論を挟む余地がないところで、分譲会社も管理会社も言葉には決してしませんが、その事は周知しているはずです。特に影響力のあるデベロッパー系の分譲会社にはお願いしたいところで、いち早く悪しき慣習をぶち壊してくれるデベロッパー系の分譲会社が登場することを切に望みます。
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