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小堀將三

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小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

消防庁が改正省令を公布

2018年6月2日 公開 / 2018年8月9日更新

テーマ:民泊

コラムカテゴリ:住宅・建物

 総務省消防庁が昨日、マンションで「民泊」を行われる場合、壁が耐火構造になっている等の条件を満たしていれば、スプリンクラーの設置義務を免除する改正省令を公布しました。これは、家主側の設置費用の負担を軽減できるようにするためのもので、二の足を踏んでいた民泊事業(住宅宿泊事業)希望者の申請が少しでも増えるかもしれません。5月11日の時点で民泊事業申請者は724件で、1ヵ月ほど前の4月13日時点の232件に比べると3倍以上ですが、国が目論んでいる数字には不十分な数だと思われます。今回の改正省令が民泊事業の希望者の後押しに少しでもなればよいのですが。
 
消防法上、建物はその用途に応じて35の区分に分類されています。本来マンションは「(5)項ロ」の「寄宿舎、下宿又は共同住宅」の区分扱いになるのですが、マンションで1戸でも民泊として使用した場合には、その住戸は「(5)イ」の「旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの」の区分として扱われます。
 マンションでは、11階以上の建物であれば11階以上の階にスプリンクラーを設置義務があり、10階以下には設置する必要がないのですが、上記の「(5)イ」の区分扱いされますと、全階にスプリンクラーを設置する義務が生じます。この設置費用を誰が負担するのか。本来共用設備は区分所有者全員で負担するものですが、民泊をしない区分所有者にとっては有難迷惑です。もし設置するのであれば民泊を行う区分所有者に費用負担を求めることになります。
 

 また、今11階以上に設置されているスプリンクラーと同じものを設置すればよいというものではありません。11階以上のマンションの場合、11階以上の階だけ設置すればよいので、「共同住宅用スプリンクラー」というパワーの弱いものが設置されています。民泊使用で全階に設置する場合には、パワーある一般的なスプリンクラーを設置する必要があります。これだけでも費用がかかるのですが、天井の増設配管工事の費用も嵩みます。
その上に、全階にスプリンクラーを設置するため水の容量が違ってきますので、既設の消火ポンプや水槽のみでは間に合わなくなり、この対応費用もかかってきます。
 これらの費用負担をなくすために、今回消防庁は、壁が耐火構造になっているなどの一定の条件を満たせば、スプリンクラーの設置義務を免除することにしたようです。

 詳細はこちらをご覧ください。
 消防法施行規則等の一部を改正する省令(案)等に対する意見公 募の結果及び改正省令等の公布
 http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h30/06/300601_houdou_2.pdf
 

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