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小堀將三

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小堀將三(こぼりしょうぞう)

マンション管理士事務所JU

コラム

理事会決議での理事長解任是非について

管理組合

2018年1月4日


 管理組合の理事長を理事会役員の多数決で解任できるかどうか。昨年12月18日に最高裁は、解任できないとした福岡高裁判決(2016.10.04)を破棄して、福岡高裁に差し戻しました。この判決について、すこし詳しく見てみたいと思います。
 まず初めに、福岡高裁の判旨は次のとおりです。
「本件規約は、区分所有法に定める管理者である理事長を理事の互選により選任する旨を定めているが、これは解任についての定めではないこと、理事長を管理組合の役員とし、役員の解任は総会の議決事項とする旨を定めていること等からすると、本件規約40条3項を根拠として、理事長の地位を損失させることは許されないと解すべきである。そうすると、被上告人の役職を理事長から理事に変更する旨の本件理事会決議は、本件規約に違反して無効である。」
 第40条3項(理事長、副理事長、会計担当理事および書記担当理事は、理事の互選により選任する)の規定は、理事長の選任を規定しているだけで、解任をも規定しているわけではないと、福岡高裁は判断したのです。
 これに対して最高裁は、次のように述べています。
・区分所有法の第3条、第25条から、管理者(理事長)の解任を認めるかどうか、また集会決議以外でのその方法は、区分所有者の意志に基づく自治的規範である規約に委ねていると解釈できる。
・総会で承認された理事の1つの役職として理事長があるわけであり、その理事長に就く理事を理事の互選で選任する定めを規約に委ねられている。そうすると、この定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数によって理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねていると解釈できる。
総会で新しい理事が承認されますが、この承認は、理事を承認するとともに、どの理事を理事長に選任するか及び解任して誰に変更するかを、新しい理事会役員で決めることの承認でもあり、そう解釈することが規約第40条3項に定めた趣旨に合致するというのが、今回の最高裁の判断でした。
 平成28年3月にマンション標準管理規約が大幅に改正され、第35条第3項も、「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事の互選により選任する。」から「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。」に改正されました。「理事の互選により選任する。」を「理事会で選任する。」に変更したのです。これは、理事の役職の決定は理事会の職務であると位置付けており、この決定には、選任のみならず変更及び解任をも含んでいると思われ、今回の最高裁の解釈に近づく改正条文だと言えます。
 今回の判決は、規約条文が「マンション標準管理規約」に準拠しているケースでは、理事長職は理事会役員の多数決で解任できると、初めて解釈されたものですが、私にはもう一つ判断しかねることがあります。総会で承認されるのが新しく理事になる方は誰なのかだけであれば、上記最高裁の判断でよいのかもしれませんが、役職も記載された議案が承認された場合には、どう判断すればよいのかです。管理会社は業務上の都合もあり早く役職(特に理事長)を決めておきたいために、理事長〇〇〇〇、副理事長〇〇〇〇、幹事〇〇〇〇という役員承認議案を管理組合に提案されていることが多いのですが、このような議案の場合は、理事長が誰なのかをも区分所有者の方が承認しているわけですから、この場合の理事長の解任を最高裁の判断のように理事会で決議できるのかどうかです。
 「マンション標準管理規約」どおりに行えば、新しい役員を総会で承認してもらい、その後、承認してもらった役員で各役職を選任するという順序になりますが、ほとんどの場合、役職名記載の上、「次期管理組合役員候補は以下の方々です。ご承認くださいます様お願い致します。」や、「○○期役員候補のご承認をお願い致します。」という即役職決定の議案になっており、その他の記述説明は一切されていません。できれば、「理事の役職を記載のとおり内定いたしましたので、この選任の決議があったと同時に、理事会によって記載の役職が決定されたものとします。」のような記述説明が、本来は必要と思われます。
 今回の事例のマンションの定期総会での役員承認議案が、ただ単に新役員名だけが記載された議案なのか、それとも役職名も記載した議案なのかが、判決理由の記述に書かれていませんでしたので、役職名も記載した議案であったとしても、その後の理事会で解任できると最高裁が判断したのかが定かでありません。その点が、唯一判断しかねます。

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