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杉浦直樹

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杉浦直樹(すぎうらなおき)

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コラム

トイレは経営の鏡

海外経営

2018年2月26日


前回のブログで、経営コンサルティングで企業を訪問するときには、「工場の現場」とともに「倉庫」と「トイレ」の3つを見れば、だいたい経営課題が見えてくると述べました。今回は、皆さんが少し違和感を感じられたかも知れない「トイレ」と企業経営について述べてみたいと思います。

以前、歌手の植村花菜さんが歌っていた「トイレの神様」が大変好きで良く聞いていました。
『トイレには それはそれはキレイな女神様がいるんやで だから毎日 キレイにしたら 女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで その日から私はトイレをピカピカにし始めた べっぴんさんに絶対なりたくて毎日磨いてた 』という歌詞があります。当時より何となく共感できるところがあり、風水でもトイレの位置や風の流れが運勢を左右するということについても、あながち迷信でもなくて何となくそうかも知れないとも感じていました。

会社の経営においても、「トイレは経営の鏡」と言えると思っています。確かにトイレを借りることでその会社や店の経営課題がわかることがあります。5Sの経営姿勢が顕著に表れてくるものなのです。もともとトイレそのものは製品の付加価値を生むわけでもないので、必要最小限度の施設としてデザイン、設計されているところが多く、手洗い場やトイレットペーパーの設置場所など非常に使いづらいトイレがあることも珍しくありません。また、非常に不潔で汚くて使いたくないと思わせるところも多いものです。

でも、トイレとは単に用を足すだけの場所で良いのでしょうか。

たかがトイレ、されどトイレ


一部の有料トイレを除き、ほとんどのトイレは無料で使わせている施設です。使う方もあまりありがたみを感じて使っているわけではないのですが、もしこのトイレを使ったときに、短い時間であっても、ある種の使って気持ちが良かった、満足したと思わせることができれば、これほどの宣伝効果につながることはありません。一方、使うだけで靴が汚れるなど汚いトイレや座りたくなくなる便座などを使ったとき、トイレを提供してくれた店や企業に対して、タダで使わせているのに、マイナスの感情を持たれてしまうのは非常にまずい状況になります。

思い返してもらえればよくわかりますが、実際用を足しているときは時間があるため結構トイレ内部を観察しているものです。トイレの注意書きや標語ポスターなどを見ているはずです。高速道路のPAでのトイレでも結構情報提供ポスターをトイレ内部に貼ってあって、確かによく見ている記憶があります。トイレで便座に座っているとき、正面のドアに何か貼ってあったら100%見ます。到達度100%の広告宣伝媒体がトイレです。レストランや居酒屋に来られた方のほぼ8割以上はトイレを利用するのではないでしょうか。リピートにつなげる最大のチャンスなのです。ここで気持ち良い時間を過ごしてもらって、さりげなく店の価値を訴求するとか、クーポン券やチラシを置いておくだけで効果抜群になるのではないでしょうか。もちろん、最も重要なものは、トイレそのものの空間を清潔で使いやすく管理することです。外食産業は提供メニュー以上にトイレにもっと着目するべきではないでしょうか。

外食産業とトイレの関係についてはある程度感覚でわかります。どんなに美味しい料理を出されたとしても、借りたトイレが不潔であったり、狭すぎて使いづらかったりしたら、もう二度と来たくないと思ってしまいます。どんなに素晴らしい商品を提供しようとも、付帯サービスで嫌な思いをさせてしまったら元も子もなくなってしまいます。一方、メーカーなどではトイレは単なる衛生関連の設備であって、あまり着目しているところはないように思います。一部には来客用のトイレを設置しているところもありますが、だいたいトイレをお借りするときは、従業員用のトイレに案内されます。その従業員のトイレを通じて、経営責任者の経営姿勢を垣間見ることができるのです。トイレの清掃はだいたい外部に委託するところが多いのですが、定期的に掃除をしてもらっているだけで、実際のトイレの中がどうなっているのか、経営責任者はときどきチェックする必要があります。5Sが徹底していない会社では、だいたいトイレの使い方も汚いです。特に便器の汚れよりも、洗面台がびしょびしょになっているところが多いのです。

特にベトナムなどの途上国の家庭では、トイレとシャワー、洗面台が一か所に入っているところが多く、トイレの便器も床も洗面台も、そしてトイレットペーパーも濡れているということがよくあります。良いとか悪いとかいう問題ではなく、そういった生活習慣の中で、会社のトイレをお客様のために清潔に使いましょうということも求めるには5Sの躾が重要です。辛抱強く説明しながら理解してもらわなければなりません。実際、ベトナムで勤務したときも、食堂の外部業者のワーカーが、夜勤明けにトイレの掃除用ホースを使って洗面台で頭を洗い水浸しになることが幾度となくありました。

また、トイレは用を足しているときは実際は暇な時間です。で、何が起こるかと言いますと、ときどきトイレの壁に落書きが書かれるのです。だいたい職場での不満とか給料に対する不満が多いのですが、ベトナムでの常識として、「ストライキの兆候はまずトイレの落書きに出るので要注意」というものがあります。人事総務担当はこの落書きが書かれた場合にはすぐに責任者に報告して、ストライキのリスクについて経営陣と人事総務の間で情報共有が必要で、場合によっては組合幹部ともリスク管理をきっちりやっておかなければならないのです。

用足し中が暇ということは、逆に社員教育のためにトイレを使うことは非常に有効です。ほぼ全社員は一日に何回かは立ち寄る場所ですので、従業員向けの社内掲示板は、トイレの入り口近く、もしくはトイレ内の壁に設置するとほぼ全員が見ますので効果抜群です。5Sはトイレから取り組むのも一つの方法で、5S実践の重要性をトイレのドアや壁を使って掲示して教育していくのも有効です。トイレは直接的な付加価値につながらないものとして軽視しがちですが、トイレを大事に使い清潔に保つことが従業員満足にもつながる拠点としてうまく活用しているところほど、経営方針も徹底され、利用したお客様も良い印象を持って帰られることでしょう。

「トイレ重視経営」・・・海外経営がうまくいく秘訣の一つです。

この記事を書いたプロ

杉浦直樹

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