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杉浦直樹

海外進出する中小企業を応援するプロ

杉浦直樹(すぎうらなおき)

株式会社リープブリッジVJパートナー

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コラム

CSRは海外でのブランディングの起点

経営戦略

2016年12月20日


中小企業にとって海外展開の目的は収益を上げるためというのは当然のことです。顧客や社会の発展に商品、サービスを通じて貢献する経営理念や、ビジョン達成のための軸をきっちりと確立されて海外展開されているところが多いと思います。しかし、海外に進出する日本企業として決して忘れてはいけないのは、私たち外資企業は、展開国とその国民にとってはあくまで外国の企業、人間であって、貴重な資源やヒトをお借りしてその国で事業をさせていただいているという立場です。つまり事業を行っているのに、その国、社会、国民にとって役に立たない企業経営であってはならないのであって、従業員を単なる労働力として扱ったり、環境汚染を引き起こすような企業は現地からは歓迎されないどころか、場合によっては排斥運動にもつながりかねないということを十分に理解すべきです。

社会貢献活動に意識がありますか


中小企業は日々の経営に切羽詰まったところが多くて、仕事とは関係のない社会貢献活動なんか関わる余裕などないと考えておられるところが多いのではないでしょうか。「売りが増えるのなら別だが、時間もないし、コストもかかるし、利益も生まない。そんなことは余裕のある大企業に任せておけば良い」「そういえば、入居している工業団地で地域住民を招いて日本祭りをやるって言うてきたけど、ボランティアで人を出すのもかなわんし、少しの金額を寄付しておけば良いんではないか」
・・・もしこういうことを言う社長が経営をされているのであれば、海外での事業発展は望むべくもないと思います。人、モノ、カネ、情報など社会資源の多くを現地から借りているという意識に立てば、単に利益を上げて納税すれば良いというレベルではありません。いかに企業自身が現地社会と一緒に発展していくことができるか、そのためにどういう貢献をすれば良いかという意識づけが重要と思います。

企業にとって展開国の発展に貢献できることとは、次世代に向けてその国が将来発展するための資産を残すことに集約できるのではないかと思うのです。「次世代にカネを残す経営は鉄の斧」「次世代に仕事を繋げる経営は銀の斧」「次世代にヒトを育てる経営は金の斧」・・・これは何を隠そう私が考えた海外経営の格言の一つです。人を育て次世代に継承する経営自体が社会発展のためのCSR活動そのものなのです。決してボランティアとか寄付とかいった概念ではなく、いかに展開国のためにお役に立てるか、何を残せるのか、CSRを基軸とした経営の実践が企業の発展に繋がると強く確信しています。

CSR活動の有効性


従業員を育成することが何故CSRなのか、あくまで自社の経営力強化の一環として人材育成は重要というのはよく理解している。しかし、それをCSRと言われる根拠がよくわからない方もいると思います。しかし、ヒトは会社の持ち物ではありません、給料を払っているとしても決して所有物ではないのです。ここをわからない企業がブラックと言われたり、パワハラで人材を潰してしまうのです。人が提供する労働力に対し、企業は給料を払って借りているだけなのです。あくまで人は社会資源の一つです。ここをよくわからない経営者が海外展開を行うと事業失敗することは必然です。特に発展途上にある新興国では少しでも働きがいのある仕事、待遇の良い仕事、レベルの高い仕事を求めて転職するのが一般的です。いくら手塩に掛けて育ててもある日突然退職されるのです。企業にとっては非常につらいことですし、育成するために何度も日本に研修に行かせたり、時間もコストもかけたのにある日突然辞めてしまうのです。かといって人材育成を止めるわけにはいきません。穴の開いたバケツに水を入れ続けなくては企業発展は望めないのです。そういう環境下でお互い切磋琢磨するのが海外経営に与えられた条件と割り切り、辞めていく社員に対しても、今までの培った経験、ノウハウを生かしてベトナムの経済、社会発展に役に立ってほしいとの願いを込めて送り出してほしいと思います。つまり人の育成を通じて、社会発展のための人づくりに貢献したともいえるのではないでしょうか。

もっとも人を大事にする経営を日ごろからきちんと推進して、従業員がモチベーションを高く能力を発揮できる会社であったのであれば、むしろ転職率も低くなってくるはずですし、転職する従業員が多いということは、従業員からの経営者に対する評価の一つとして受け止める度量が必要でしょう。

一般にCSR活動と言えば社員の育成ではありませんし、地域社会やNGOなどへの寄付のことだけを意味するのでもありません。企業がその国で事業をやらさせていただいている存在価値そのものを内外にアピールして企業価値を高めていく一連の活動です。地域社会とのコミュニケーションを強化し、その国の発展にいかに貢献する事業をやっている企業かということをCSRと一体化した広報活動を通じて認められれば、その評判は地域住民だけに大きく広がります。

外部にアピールすることに目を向けがちですが、社内の組織風土の醸成にも良い効果があります。従業員の家族を通じて口コミで伝わり、良い会社に勤められて幸せだという従業員のモチベーション高揚にもつながります。この国の発展のために事業をやっている企業に勤めている自覚が従業員自身の自信にもなりますし、友人関係や近隣住民の間でも自慢になります。 人を大事にしてくれる会社、この国の発展のために事業をやってくれている会社の社員だという誇りは何事にも変えられない大きな財産になるのです。またCSRをきちんとやっている企業が従業員を募集すると、沢山の人が口コミで集まり良い人を採用する可能性が高まります。

対外的なCSR活動の分野としては次世代の教育分野や環境貢献、文化活動支援などが費用対効果が大きいものですが、これを継続的に進めていきますと、特にベトナムのような新興国ではメディアがニュースに取り上げる機会が多くなります。 日本のメディアはそういったことにほとんど関心を持ちません。社会的弱者を取り上げ、政府や企業を批判することに血眼になるのが日本のメディアの傾向である反面、新興国では社会的課題に焦点を当てつつも、国、社会のために課題解決に貢献している企業や個人を積極的に取材して記事にしたり、TVでもよく放映するのです。それが国・地方政府の役人の目にも止まり、問題が起きたときにも いろいろと支援してもらえる関係性の強化にもつながる有効性があるのです。

CSRと広報戦略の推進


CSRは決してボランティアではありません。展開国の社会や国民にとって喜ばれること、発展に貢献できることは何かを考える際には、あらゆる企業活動がその範疇に入ってきます。商品やサービスだけではありません。もちろん、CSR活動そのものが売れる商品にはなり得ません。とりわけ中小企業にとっては、自社のブランドを広告宣伝で強化して販売拡大を図る手法はほとんど取る必要はありませんが、CSRの投資は積極的に行うべきかと思います。ただ、社会貢献活動を費用をかけてそのままやっているだけではあまりにも勿体ないのです。従業員のモチベーションを高める手法としても活用し、地域住民の理解を深めるために継続的な接触手段ととして活用したり、地方政府との関係性強化にもつなげることも同時に考えないと意味がないと思います。

つまり、広報戦略が極めて重要なのです。確かに現地にも広告代理店は存在します。しかし、広報戦略を広告宣伝の延長戦で考えてしまうと、費用ばかりがかかって効果が薄いものになります。コミュニケーション戦略をしっかりと確立して、メディア対策や地元住民や従業員、政府への情報提供のフレームを考えねばなりません。

またよくよく考えてみますと、日本企業のPR戦略をアドバイスできるこの分野の専門家は現地にも皆無であり、一方公的機関はこの分野の支援は全く眼中にありません。そもそも中小企業自身も気づいていない企業力強化の重要点なのです。

今までは、私は中小企業の海外展開支援を通じて企業の成長戦略に貢献し、展開国の発展に寄与することを主体に取り組んできました。これからは、展開後の拠点が早期に収益を確保し投資回収を終え、展開国に根ざした経営を実現し、本国の成長発展につなげる海外事業を支援するため、中小企業のCSR,ブランディング強化による経営体質の強化支援を次の柱としていきたいと考えています。

この記事を書いたプロ

杉浦直樹

杉浦直樹(すぎうらなおき)

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