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杉浦直樹

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コラム

オバマ大統領がブンチャーを食べた

ベトナム

2016年5月25日


G7サミットが今週日本の伊勢志摩で開催され、終了後アメリカのオバマ大統領が現職の大統領として初めて広島を訪問することは皆さんご存知の通りです。一方、オバマ大統領はG7出席に先立ち、現在ベトナムに訪問滞在中です。日本のメディアを見ている限りでは、アメリカからの武器輸出が全面的解禁を合意したことで中国のけん制となるというような報道ばかりのようです。

日本人なら全ての人が知っているように、ベトナムとアメリカは悲惨なベトナム戦争を戦い、多くの国民が犠牲となりました。それでは今のベトナム人はアメリカに対してどう思っているのでしょうか。ある意味、ベトナムは日本と同じような立場にあります。小国でありながら超大国のアメリカと戦い、ベトナム、日本両国ともに多大な犠牲を払ったわけです。しかし、両国とも今やアメリカとは友好的な関係にあります。日本とは同盟国であり、アメリカを心から恨んでいる人は一部の左翼的な思想の持主以外はあまりいないですし、ベトナムにとってもベトナム戦争を悲惨な歴史の一つとして受け止めつつも、アメリカは憧れの国であることは間違いありません。ベトナムはアジア一の親日国であるというのは意識調査などの統計で裏付けられていますが、また同時に親米国でもあるのです。

ベトナムは1995年にアメリカと国交を回復しました。それはサイゴン陥落の1975年から実に20年が経過していました。そしてベトナム自身がドイモイ政策で市場経済への参入に舵を切った1986年から9年が過ぎていましたし、中国とは1991年に国交を正常化していました。ベトナムがアメリカと国交回復後、すぐにASEAN加盟、そして2007年のWTO加盟へとつながる中で、経済的には徐々に両国の関係が深くなっていったのですが、やはりアメリカの出遅れ感は否めません。ベトナムとしてはアメリカに限らず外国からの積極的な投資を歓迎しましたが、肝心のアメリカ企業はベトナムに対してはトラウマがあるようで、なかなか積極的に投資をする企業はあまりなかったようです。目立つところではコカ・コーラやインテルなどがありますが、概してベトナムでのアメリカ系企業のプレゼンスはあまり高くはありません。どちらかというとアメリカ側の腰が引けているという印象です。ただ、昨今ではアメリカ人の観光客もよく見るようになってきましたが、まだアメリカ行きの直行の航空便まだ就航していません。

アメリカ人にとってのベトナム戦争のトラウマに加え、ベトナムが社会主義国であるため、人権問題などでアメリカ国内の世論の影響でなかなか深い関係に発展していません。しかし、今回オバマ大統領がベトナムを訪問し、中国の動きが両国との軍事的関係をより親密な方向に向かわせたと言えるのではないでしょうか。ある面夢物語かも知れませんが、もしアメリカがフィリピンおよびベトナムとさらに軍事関係を強めてベトナムの港に米軍基地を作るようなことがあれば、中国の南シナ海問題は一気に片付くように思うのですが、実際には難しいでしょうね。アメリカの現職大統領がベトナムを訪問するのは、まだ3回目というのですから、まだまだ壁は大きいようです。

驚きのブンチャー


私が好きなベトナム料理の一つにブンチャーがあります。ベトナム料理といえばフォーや生春巻きなどが有名ですが、ベトナムに来られた方には、このブンチャーをお奨めしています。ブンチャーとは、揚げ春巻きや炭火で焼いた豚バラ肉の薄切り焼肉や、つくねを甘酸っぱいタレに入れ、米の細麺ブンと一緒に食べるハノイの名物料理です。この焼肉やつくね、タレが店によって微妙に味が異なり大変おいしい料理です。いわゆるB級グルメの部類ですが、せいぜい一人前2、300円ぐらいのもので、よく露店や大衆食堂で食べることができます。

ところが、今回ベトナムを訪問したオバマ大統領が到着したその日の夜、ハノイ市内の食堂(レストランとは呼び難い)でブンチャーを食べたということが大きな話題になっています。私が現地新聞のネット版で最初にその写真を見たとき唖然としました。こんなものといっては失礼になりますが、世界一の大国であるアメリカの現職の大統領が訪問先の夜食にこのようなところで、美味しくてもいわゆるB級グルメで他の客と一緒に食事をしていることなどあり得ないことです。以前オバマ大統領が日本を訪問したとき、安倍首相と銀座の高級寿司店で食事をしたということが話題になり報道されていましたが、今回のブンチャーは衝撃的でした。確かにブンチャーはおいしいのですが、一人前40000ドンつまり200円なのです。ビール2本とブンチャー2人前、揚げ春巻き2種類を平らげたほか、4人前をテイクアウトして支払ったのが6ドル50セントだったとのことです。またこの店のオーナーもVIPが来るということは事前に知らされていたようですが、まさかオバマ大統領がふらっと立ち寄って、ベトナム特有の安物のプラスチックの椅子に座って、他の一般客に交じってブンチャーを食べにくるなど想像すらしてなかったと言います。皆さん、この写真信じられます?

もちろんベトナム政府にとっても超VIPですから、ベトナム政府側がここで食事を提供したということはあり得ませんし、オバマ大統領自身のたっての願いだったようです。この写真が報道されるやいなや、ベトナム人のオバマ大統領個人に対しても、アメリカに対しても好感度が一気に上がりました。このような庶民的な気取らない振舞い、ベトナム料理や食文化に対する理解、愛着は素晴らしいものがあります。それと同時に私が感じたのは、ベトナムの治安の良さでした。この食堂があるあたりは高級住宅街ではありませんし、いわゆる下町で、いろんな人が住んでいるところで、普通の人が普通に食事をしているところです。もちろん警備が相当大変だったようですが、一般の人もパニックになることなく、普通にテーブルを並べて食事をしている写真にも驚きでした。

この食堂には行ったことはありませんが、一晩でガラッと世界が変わったようで、翌日から取材が相次いでいるようです。ハノイ市ハイバーチュン区レバンフウ通り24番地(24 Le Van Huu St., Hai Ba Trung Dist., Ha Noi)にある「フオンリエン(Huong Lien)というところです。

皆さん、ハノイに行かれたときにはブンチャーを是非ご堪能ください。

この記事を書いたプロ

杉浦直樹

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