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杉浦直樹

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杉浦直樹(すぎうらなおき)

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コラム

食堂の運営には細心の注意を

海外経営

2016年5月20日


ベトナムに限らず新興国での食堂運営は、従業員福祉においてはかなり重要な位置づけであるという認識を持つ必要があります。日本でも社員食堂がある会社は一般的に福祉が充実していると言えますし、地方の工場などで社員食堂がなければ昼食を取るのも苦労し、昼食時に社員が外に出るのは保安上も良くありません。もっとも都会での事務所などは比較的小規模事業場が多く、外に出てもレストランなど食事するところを探すのに、昼食時に集中して混雑すること以外苦労することはあまりありません。社員食堂では安く食事が提供されますし、ないところでは食事手当の形で補助しているところも多いようで、社員自身も社員食堂のメニューや味に一部不満があっても、さほど重視している福祉ではないように思います。

しかし、新興国での食事提供については細心の注意が必要です。新興国での企業、特に製造業などのワーカーにとっては、会社での食事は非常に重要な栄養源なのです。また、社員食堂での食事は基本無料で提供するもので、大抵セットメニューはタダで、ご飯はどれだけ食べても構いません。ワーカーの若くて小柄の女性が、山盛りのご飯を盛ってもらってぺろっと平らげてしまうのを見て大変驚いたものです。よく聞いてみますと、給料があまりたくさん貰っているわけではないワーカーでもIPHONEなど最新のスマホを持っているのですが、その分食事をとことんまで切り詰めているようで、朝も夜もあまり食べず、その分昼の社員食堂では思いっきり食べているようです。中には日勤シフトなのに夜勤用の食券をごまかして、パンやミルクをしこたま持って帰って家で夜食がわりにしている社員もいました(もちろん不正行為ではありますが)。

社員食堂運営管理の注意点


日本人出向社員にとっては当初は信じがたいことではありますが、メニューの質が下がったことが社員の転職増に繋がることがあります。社員食堂の食事の質が下がったことはなかなか日本人にはわかりません。不満の声が明確にトップまで届いてくることもあまりないので、知らない間に従業員に不満が溜まっていて、気がついたら退職者が増えているということがあるのです。上述のようにワーカーにとっては社員食堂は生きていいくための場だとの理解が必要です。全社員に食事を無料で提供するのですから、コスト削減のために食堂運営費用を何とか切り詰めたいと考える経営管理者も多いのは事実ですが、従業員のモチベーション向上や定着率を高めるためにも細心の注意が必要です。

工業団地には多くの企業が事業を展開していますので、各企業によって食堂運営のやり方も違いますし、当然メニューの内容や質にも差がでます。しかし、従業員は他社の待遇、特に食堂のメニューについてはよく知っていますし、SNSなどで情報交換をしています。特に気をつけないといけないのは味など食事の質です。食事がまずくなると従業員の不満が高まり、実際ワーカーレベルでは食事の質が悪くなったことで転職している例もよくあります。

食堂運営には、一部社員が仕事として運営している会社もありますが、だいたいはケータリング会社に業務委託しているケースが多いです。しかし、このケータリング会社に丸投げするのではなく、メニュー内容や食事の質、量を定期的に管理しておくことをお奨めします。ほとんどは一人一食当たりの金額だけ決めて契約するのですが、少し食料品価格が上がったりすると、知らぬうちにメニューの質が落ちたり量が少なくなったりすることがあります。こまめに従業員の声を吸い上げ、食堂運営業者との密な連携が求められます。

日本人出向社員はなかなか食堂の不満が理解できません。というのも、社員食堂がある企業でも、日本人出向社員の多くは従業員と一緒に同じメニューを食べることが少ないからです。日本人にとって口に合わなくてまずいと感じるので、食堂で昼食を取らずに社外の日本レストランに行ったり、自席で買ってきたパンなどを食べているケースが多いように思います。そういう昼食を取っていると、社員食堂の食事の質や量が落ちたりしてもわからないわけです。毎日とはいかなくても、半分ぐらいは従業員と一緒に食事をされると、食堂の質の問題だけでなく、従業員間で何が関心ごとなのか、どういう不満が出ているのか身近に感じることができるので、是非留意していただければと思います。

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