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小泉達治

商品企画から販売促進まで支援するデザインの専門家

小泉達治(こいずみたつじ) / アートディレクター

有限会社コイズミデザインファクトリー

コラム

新型コロナウィルス休業の間にすべきブランディング 3

2020年5月10日 公開 / 2022年4月25日更新

テーマ:中小企業やショップのブランディングとは

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: ビジネスモデルマーケティング戦略

何十年に一度の大きな変化があるはず

バブル以降日本経済は10数年単位で大きな変化が起こっています。バブル期には会社のOA化が進み、携帯電話が登場します。そして阪神大震災でその携帯電話やメールの便利さが大きくクロージアップされ、ビジネスにもいよいよデジタル化の波が押し寄せました。我々のデザインという仕事もアナログからデジタルへと大きな変革が起こり、淘汰される側と前へ躍り出る側の明暗がはっきりと現れ、世代交代とともにデザイン界は一変しました。そして間も無くインターネットが世の中をさらに大きく動かします。WEBの登場でビジネスの手法も大きく変わり、デザインのジャンルにもWEBデザインという新しいものが生まれました。現在ではグラフィックデザイナーよりもWEBデザイナーの方が数的にも上回るほどに成長しています。その後しばらくはデジタルに対して世の中の対応が一進一退の状況が続きますが、この後スマートフォンの登場でまた大きな変革が起こります。iphoneが登場した当時、スマートフォンがこれほどまでに世の中を変えるとどれだけの人が気づいたでしょう。大方の人々は携帯電話の進化版程度にしか考えていなかったはずです。ところがこの魔法のような小さな箱には限りない可能性が詰め込まれていました。通信環境の改善も加速化し、画像や動画をやり取りすることがごく普通になりました。さらにWiFiの実用化でその状況がさらに進み、エンタメや広告業にも大きな変化をもたらします。そこへあの不幸な東日本大震災が起こり、スマートフォンによる情報発信やSNSに注目が集まります。さらに無料で使用できる連絡手段LINEや誰でも簡単に情報発信できるSNSがどんどん広がり、ついにはユーチューバーのようにのようにその環境を利用して大きな収入を得るものまで現れました。それらとともに決済システムや申請業務のオンライン化も進み、キャッシュレスの時代も現実味を帯びてきたというのがこのところの状況です。


働き方改革と新型コロナウィルスと5G

そんな状況の中で、今、大きなキーワードは「働き方改革」と「新型コロナウィルス」そして「5G」ではないでしょうか。この3つの大波が偶然にも同時に世の中を飲み込むこととなった今、何十年に一度の大変革が起こることは確実です。
先ほど書いたようにバブル以降世の中は「デジタル」「インターネット」「通信」、この3つによって大きな変化を遂げました。そして今回もこの3つが
媒体となって「働き方改革」と「新型コロナウィルス」そして「5G」の波が襲った世の中をさらに大きく変えることになります。


どんな変化が起こるのでしょう?

では具体的にどんな変化が起こるのか考えてみましょう。
まず今回の「働き方改革」と「新型コロナウィルス」「5G」で世の中に起こった現象を見てみます。
●「働き方改革」による時短と「新型コロナウィルス」に対応するために進んだテレワークやオンライン会議などによって会社にいなくても仕事ができる環境が整備された。
●家にいる時間が増えたこととリアルなイベント自粛の影響でエンタメがネットによる配信でまかなえるようになった。
●それらをスムーズに行えるように通信環境が進化し、「5G」が一般化し出した。
●オンラインによる決済が一般化し、一気にキャッシュレスが普及することでネットショッピングがより拡大した。
●最終的にアナログに頼らざるを得ない「配達」に、新しい業態(Uber Eatsなど)が登場した。

これらは誰にでもわかる変化ですが、大切なことはこの変化の底に潜むもっともっと本質的変化を読み解くことです。


格差社会がさらに拡大する

上にあげたようにデジタルの恩恵で「在宅勤務」が現実味を帯びてくると、そこからさらにどんな大きな変化が来るのでしょう。
まず企業は「働き方改革」に対応するためにリスクの少ない人材を求めることになります。「在宅」でも業務が行えるのであれば、リスクの多い正社員をたくさん雇う必要がなくなります。その結果以前であれば「非正規雇用者」という選択肢がありましたが、今回の「働き方改革」で同じ手法は取りにくくなりました。それなら「雇用」でなく、「発注」という形態を取ればそのリスクはありません。まして世の中がフリーランスを後押しする状況があるため、発注する側にとって好都合です。ですから企業は正規・非正規にかかわらず雇用自体を抑制し、アウトソーシングの割合を増加させることになるでしょう。
つまり「在宅」でもできる仕事はアウトソーシングもしやすいわけですから、企業は「雇用者」を減らすことができるのです。
そうするとフリーランスや小規模の事業所が一気に増加し、競争が激化します。そしてそれは価格競争を生み、発注側有理の図式を明確にします。
しかし、仕事のレベルには当然優劣がつきますので、そこに勝ち組と負け組が現れ、最終的に二極化が進むことになるのです。


アナログもデジタルも「ネットワーク」が肝心

「5G」とキャッシュレスやオンライン決済の進化で最も大きな恩恵を受けるのがネットショッピングです。ネットショッピングといっても単に商品の購入だけでなく、サービスの申し込みや広告なども含まれます。現実にこの騒ぎの中でネットショッピングは好調に推移し、キャッッシュレスで買い物をすることに抵抗感を持っている人が激減することになりました。
アナログなビジネスではUber Eatsなどの「配達」業務が注目されます。既存の運送会社では対応できない細かな配達網を持つことができるか微妙ですが、確実に増加するネット販売の量がそれを後押しするのは間違いありません。
デジタルの「ネット販売」「キャッシュレス」と、アナログな「配達」はどちらも人や物との繋がり(ネットワーク)を意味し、これからの時代に必要不可欠なものとして認識されるはずですが、これからはそのネットワークの構築力も重要になってくることでしょう。


新型コロナ後は「フリーランスの増加」と「ネットワーク」

これらのことから新型コロナウィルスの騒ぎ後におとづれる社会では「フリーランス」と「ネットワーク」という2つのキーワードが大きな意味を持つのではないかと思いますが、それが自分のビジネスでどんな影響があるのかを見極める必要があります。それは業種によって、職種によって全く違う影響があるのですから、その道のプロとしてアンテナを最大限に張り巡らし、嗅覚を研ぎすまして考える必要があります。そしてその判断が3年後、5年後に大きな差となって現れることになるでしょう。
この時代に取り残されることにがないように、今こそ頭を使わなくてはなりません。「フリーランス」と「ネットワーク」の底に潜んでいる大きな変化に備えて自分のビジネスを再構築するときが迫っています。

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