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小泉達治

商品企画から販売促進まで支援するデザインの専門家

小泉達治(こいずみたつじ) / アートディレクター

有限会社コイズミデザインファクトリー

コラム

女性のベテランデザイナーは貴重 2

2016年11月27日 公開 / 2020年11月20日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 退職 手続き

前回に引き続き女性のベテランデザイナーについて書かせていただきます。

本来女性の方がデザインという仕事に向いているはず

人間には男性と女性がいて、それぞれに得手不得手があります。一般的に運動能力はだいたいの場合男性が女性を上回っています。陸上競技などのスポーツでもだいたいの競技で男性の記録が上回っています。
それに対して女性には細やかな手作業や柔軟な感性など女性特有の美意識や感覚が備わっています。
その証拠に洋服のブランドや化粧品の種類は圧倒的に女性用が多く、男性用の比ではありません。
それだけ「美」に対する感覚が男性に比べ敏感で優れているということです。その「美」に対する感覚が備わった女性をデザインという仕事に活用しない手はありません。運動能力などでは男性が上回っているように、「美」というものに対する感性は女性の方が上回っていると私は思っています。
もちろん世の中では男女平等をいう声が聞こえてきますが、別にこれは男女差別でもなんでもなく、男女の特性だと私は思います。

美術系大学や専門学校では圧倒的に女性が多い

全国的に見て美術系大学や専門学校では、圧倒的に数で女性が上回っています。だいたい8割が女性です。
これは私が通っていた30数年前でもそうでした。ここでも化粧品や洋服のブランドと同じように「美」というものに対する女性の関心の高さが証明されています。これだけ数に差があると、当然優れた人材も女性の方が数で勝っているわけですが、不思議なことに社会に出ると女性デザイナーよりも男性デザイナーの方が数で見ると逆転し、多くなっています。

男女雇用機会均等、デザイナーでは女性にとってマイナス

最近では企業の求人において男女の差別をなくするために男女別に人数を指定したり、どちらか一方だけの求人は一部の職種を除き不可とされています。一般的には男女平等に見えるこの決まりも、デザイナーに限ってはそうともいえない状況です。
なぜなら、通常企業ではデザイナーを雇用する場合世間的な風潮から男女ほぼ同数のデザイナーを選定します。それが世間的に平等とされているからです。しかし、よく考えてみるとデザイナーを目指す学生は8対2で女性が多いのです。本来なら採用するデザイナーも女性を8割採用してこそ平等といえるはずですが、実際は全くそうではありません。単純に、デザイナー志望の女性は男性の4倍いるわけですから男性の4倍競争率が高いわけです。ですから優れた人材でも男性に比べ採用される確立が圧倒的に低くなってしまうのです。

その上様々な理由でさらに減少

それでもなんとかして不利な競争率を勝ち抜きデザイナーという職を獲得しても、前回書かせていただいたようなライフイベントを理由とする不利な条件のなかで女性デザイナーはどんどん退職してしまいます。
世の中の事業所で女性のベテランデザイナーが極端に少ないのは、こういったことが原因だと私は思います。

どうすれば女性デザイナーを育成できるか

これはもう女性のライフスケジュールを企業側が理解し、合わせてゆくしかありません。
一般的には、結婚すれば家事という重要な仕事を抱え込んでしまうわけですから、残業というのは現実的に無理です。もちろん結婚相手の相当な理解があれば少々の残業は可能かも知れませんが、独身の時のようにはいかないでしょう。
さらに子供ができた場合は産前産後の休暇や復帰後の職場確保、さらなる勤務時間の短縮など制約が増えるのが普通です。
こういった状況を企業が理解し、受け入れ、デザイナーという立場を保証しなければ、女性デザイナーの減少に歯止めをかけることはできないのです。
独身を通す女性の場合でも、やはり肉体的に男性に比べ長時間の残業などの激務は無理があり、離職してしまうという例もありますので、企業側の配慮が不可欠です。

仕事を続けられる安心感が向上心を育てる

そういった不利な条件を目の当たりにし、自分の先輩デザイナーがどんどん職場からいなくなってしまったら、残された女性デザイナーにデザイナーとして成長しようという意欲がわくでしょうか?
そんな悪条件の中で向上心を持てという方がどうかしています。自分の将来の展望が見えない状況で向上心を持ち、成長するなどということはできるはずがないのです。
ですから、女性デザイナーに向上心を持ってもらうには、この悪条件を企業側が取り除く必要があります。
企業側が様々な努力で女性デザイナーが仕事を続けていける環境を整え、それを示す必要があるのです。
そうすれば女性デザイナーが安心感を持ち向上心を持ってくれるはずです。

美的感覚での女性の優位性を活用すべき

前述のように女性の方が優れている美的感覚をビジネスに活用しない手はありません。力仕事の多い作業現場などでは男性の方が有利なのに対し、デザイナーという職種では女性の方が有利だと私は思っています。
その優位性を今の世の中はうまく活用していない気がしています。それはまだまだビジネスの現場が男社会だという証拠であり、今後のデザイン界にとっての大きな課題ではないかと思います。

この記事を書いたプロ

小泉達治

商品企画から販売促進まで支援するデザインの専門家

小泉達治(有限会社コイズミデザインファクトリー)

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