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コラム
プレゼンとデザイナーの職責
2015年1月30日
様々な案件でプレゼンテーションによる業者選考を実施する企業や役所が増えています。
何点ものデザインから最も良いものを選択することができるという点が、企業にとって大きなメリットとされていますが、果たしてプレゼンという方法が本当に一番良いデザインを選ぶ方法だと言い切れるでしょうか。
同じ仕様のものを同じ数量だけ作るにあたり相見積もりを取る、というのは同じ条件が守られるという前提であれば最もコストを抑えることができる方法といえるでしょう。当たり前のことですがコストというのは、はっきりと数字で比較できる要因だからです。
しかし、デザインというものはあたりまえのことながら、簡単に数字では比較することはできません。
そこで考え出されたのが、クライアントのお偉い様方や全社員かによる投票というパターンです。決まった人数の中でどのデザインが最も良いと思われたかを票数で決定しようというやり方です。
確かにこの方法は、最も大衆向けのデザインを選べるかもしれません。しかし、デザインというものは大衆にわかりやすく、伝わりやすいだけでいいのでしょうか。
大衆が理解しやすく、大衆が格好いいと思えるものが本当に良いデザインといいきれるでしょうか。
「デザインする」と言うことに大衆の目を無視することはできません。
ただし、それは大衆の意識や志向を理解し、そのうえでその大衆を動かすきっかけを創りだすにはどうすればよいかということを考えるということであり、けっして大衆の志向に迎合するということではありません。
大衆に迎合するということは、大衆のレベルにあわすということであり、「デザイン」というものが持つ「ときめき」や「驚き」「感動」「興味」というような感性の動きを起こさせるという使命を放棄しているといえないでしょうか。
デザインというものは「大衆迎合」に陥らず、大衆が気づかない感性の半歩先、1歩先に導くことが大切であり、使命であるはずです。
そして、それこそがデザイナーの職責であり、喜びでもあるはずです。
もちろん大衆の2歩も3歩も先に進んで大衆を置き去りにするようではいけませんし、それはデザインというよりアートの領域に入ってしまうことになりかねません。
大衆の志向を半歩先、1歩先に導くデザイン・・・・。それは大衆の票数や特定の人の趣味趣向だけでは選べないはずです。
つまり、プレゼンという手段は「良いデザインを選別する目を持つことがクライアント側にも求められる」ということであり、提出する側にも「大衆に迎合せず、大衆の意識を動かすことを意図する」というデザインの本質を求めるものであるはずなのです。
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