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三谷康生

M&Aアドバイスのプロ

三谷康生(みたにやすお)

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コラム

若手M&Aアドバイザーとの対話助言から見えてくるもの・・・M&Aアドバイザーからのお悩み相談

前3回【第28回・第29回・第30回】アーンアウト」(その対価の支払いの一部をあらかじめ合意した条件にて算定し支払う合意の上で行うM&A=企業合併・買収)のお話が続いたので、今回は趣向を変えたお話をしましょう。

 私が代表を務めるジャパンM&Aアドバイザーは、M&Aアドバイザリー業務を行っています。業務を通じて関与させていただく方は、大きく2種類に分けられます。すなわち、当社に業務を依頼されるクライアントと、別の機関に業務を依頼されて、当社クライアントの取引の相手となる方です。
 取引の相手となる方が依頼する別の機関とは、銀行、証券会社やM&Aアドバイザリー専業会社などです。ディールの過程では、当社クライアントの利益の最大化のみに努め、これら機関の方々とは厳しい交渉をすることとなりますが、そもそもディールがスタートするためには信頼関係に基づく情報交換が必要です。そのため複数の機関と提携関係を構築していますが、その中で、業務を通じてより親密となったりした機関からは、私の四半世紀の知識とノウハウを活用したいということで、その機関が開催する外部セミナーはもちろんのこと、若手アドバイザーに向けた社内勉強会の講師を引き受けることが少なからずあります。彼らと話すことで初心に帰れるので、私も貴重な機会ととらえています。

 A銀行の甲さんは、アドバイザー歴6年。その組織では中核メンバーです。包括的な秘密保持契約を締結しているので、譲受の探索を依頼すべく、当社がオーナーから譲渡の依頼を受けている対象企業X社のご紹介をしました。X社は事業領域が特殊で、直近の業績が芳しくないため、深い理解を求める必要があると判断し、当社として説明資料を相当作り込んでいます。それをご覧になった甲さんは、「私もこういう丁寧な仕事の進め方を心がけてきたのですが、昨年あたりから、収益目標のハードルが上がり、一つ一つの事案に深く入り込む暇があったら、とにかく活動量を増やし、収益機会の見えやすい案件を追え、と言われていて、これでいいのか悩んでいます」と。

 B銀行の乙さんは、アドバイザー1年生。支店の担当者から紹介を受け、譲渡を検討しているオーナーを訪問したところ、「譲受候補リストを出して欲しい。それを見て依頼するかどうかを考える」と宿題をもらい、自行の取引先を中心に、親和性と実現可能性をチームで熟慮検討のうえ提出したところ、オーナーからは「あるM&A専業会社は、全国の上場企業を中心にリストアップしてくれている。君の銀行は地域密着だし、君はまだ若いからネットワークもないようだ。まずは、そこに依頼することにするよ」と言われてしまったそうです。私から「そういう時はね…」と説明しようとしたところ、乙さんに遮られ「三谷社長の連載は読んでいるので、第4回や第16回に書いてあった事例だからこう言えばいいのかな、というのは分かっていました。しかし、私がそういったことを申し上げたところで聞く耳を持ってもらえるでしょうか」と。「早く説得力を身に付けたい」と焦る乙さんに、元銀行員の先輩としての経験も踏まえ、組織と上司の活用を薦めました。

 日本企業がかかわるM&Aは年々増加し、アドバイザリー業界がビジネスとして成長している以上、参入者の増加に伴う競争激化、機関本部からの予算拡大と部門業績達成プレッシャーの増大、と若手アドバイザーを取り巻く環境は厳しいですね。しかし、彼らが健全に成長することがM&A市場の発展に不可欠だと思いますので、私も微力ながらお手伝いしていきます。

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