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佐井秀彰

交通事故による後遺障害等級認定のプロ

佐井秀彰(さいひであき)

リーフ行政書士事務所

コラム

後遺障害の対応は早期の対応が不可欠 ≪ケース3 高次脳機能障害(脳挫傷、外傷性くも膜下出血、等)の場合≫

2018年9月12日

後遺障害の立証は早期から開始することが望ましい、ということを二度のケースを例にこれまでご紹介してきました。
今回はご紹介する最後のケースとして、高次脳機能障害を取り上げます。
高次脳機能障害とは、脳挫傷や外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷など頭部外傷を原因とし、その後に残る様々な後遺障害のことをいいます。
高次脳機能障害につきましては、詳しくは以前のコラム、
https://mbp-japan.com/osaka/jiko-leaf/column/2732622/
をご覧いただけましたらと思いますまた、弊所のホームページにおいてもコンテンツやブログにおいて高次脳機能障害について多く取り上げておりますので、ぜひご覧いただけましたらと思います。
http://www.jiko110-sai.com/

さて、今回は高次脳機能障害の立証における早期対応の重要性について例を挙げてご説明させていただきたいと思います。




≪ケース3 高次脳機能障害(脳挫傷、外傷性くも膜下出血、等)の場合≫
・Aさんは横断歩道を青信号で歩行中に、右折してきた自動車に撥ね飛ばされ、頭部を強打し、すぐに救急車で救急搬送され、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、硬膜下血腫などの頭部外傷が診断されました。
幸い命に別状はなく、しばらく入院の後経過観察での通院を続け、体に麻痺が残ることもなく、会話も普通に行うことができ、一見すると全く問題ないと思えるほどにまで回復しました。
てんかん発作もなく、救急時から診ていた医師は、『もう問題なし』とのご見解で、事故後一年を経過した段階で症状固定とし、後遺障害診断を行いました。
医師が作成した『神経系統の障害に関する医学的意見』には、『問題なし』『生活に支障を及ぼすような障害は残っていない』等の記述がパラパラと書かれているのみでした。

・Aさんの家族も、Aさんの回復ぶりを喜び、自賠責保険に提出する日常生活状況報告書に、『日常生活において特に問題はない』という内容を記載して提出しました。
後遺障害の申請から三ヶ月後、結果が届き『12級13号』との結果の通知が届きました。
たまたまそのころに私たちの無料交通事故相談会が開催予定であったため、予約を入れて念のため話を聞きに行ってみることにしました。

・Aさんとそのご家族が持参された、後遺障害申請のために提出された資料を拝見すると、『頭部外傷後の意識障害についての所見』という書類に、『意識障害JCS100』との所見が見受けられました。
これは、事故当時の意識障害がかなり重篤であったことを意味します。
CTやMRI画像も拝見したところ、びまん性軸索損傷を疑わせるような点状出血も確認することができました。
これは、頭部外傷後の高次脳機能障害を疑う必要があるのではないか?と相談会では判断しました。また、T2スターでの検査を医療機関に依頼し、脳外傷の全体像をしっかりと描出しておくべき必要性を感じました。
そこで、病院同行を行い高次脳機能障害の専門医をご紹介し、高次脳機能障害について検査である神経心理学検査を、画像所見に照らしていくつか検査項目を組み立て、専門医にオーダーしました。




・その結果、注意障害や遂行機能障害など、いくつかの能力が低下していることが判明したAさん。
日常生活では把握することができなかったレベルでの様々な能力が低下していました。
今後、仕事に復帰するうえで様々な困難やそれに対処するための特別な努力が必要となることが予想されます。
人間関係も今までのようには円滑に行かない可能性も十分に考えられます。
したがって、神経心理学検査のデータ、T2スターの検査結果、さらに検査を実施・評価した専門医の診断書を添付して異議申立を自賠責保険に対して行いました。
しかし、結果は『12級13号』のままでした。12級13号とは、高次脳機能障害を否定されていることになります。(高次脳機能障害としての最低等級は9級10号)
つまり、高次脳機能障害としては評価されず、痛みなどの神経症状として12級が認定されているに過ぎないのです。
異議申立への自賠責からの回答は、『すでに初回申請で提出済みの日常生活状況報告書において、日常生活で特に問題はないという記載があることに加え、初回申請で提出されている医師の書いた神経系統の障害に関する
医学的意見においても、特に問題ないとの記載から、異議申立において提出された様々な所見は症状固定後に別の要因によってそのような状態になったと考えられ、本件事故による障害としては認定することは困難である』という主旨でした。

≪Aさんとその家族はどう対応していればよかったのか?≫


・脳挫傷やくも膜下出血など、脳内出血については脳神経外科の医師が担当します。
脳神経外科の医師は、脳内の出血や腫れについて治療することについて専門家ですし、しっかりと対応してくださいます。つまり急性期においてはプロフェッショナルですが、経過観察をしていくうちに出血の可能性もほぼなくなり、慢性期となった段階では、基本的には『治った』と判断なさいます。

・しかし、後遺障害の立証において大切なことは、慢性期後の症状です。
慢性期になれば、目に見えにくい、また日常生活ではわかりにくい高次脳機能障害の有無について神経心理学検査を実施し、専門医に評価していただくべきでした。
それらの検査結果と専門医の意見に基づいて、冷静に被害者の状況を分析し、そこで得られた内容を日常生活状況報告書にしっかりと落とし込む作業を行うべきでした。
また、あわせてT2スターによる検査を実施し、事故当時では描出されなかった可能性のある出血痕など、脳のお怪我の全体像をしっかりと描出しておくべきでした。
すでに立証の時期を逸していたAさんとその家族。賠償額にすれば数千万円を取り損ねたことになります。Aさんの、障害と付き合いながらの今後の人生があるだけに、非常に悔やまれる結果です。

高次脳機能障害の立証はとにかく綿密に、そして計画的に!


・高次脳機能障害に限ったことではありませんが、後遺障害が残存しているにも関わらず、適切なタイミングでの立証を逃してしまったために、症状が残存していることが検査等で分かっているにもかかわらず後遺障害として自賠責に評価されず、賠償額等で泣き寝入りを余儀なくされている被害者様が大勢いらっしゃいます。
私たちは、そういった被害者様を一人でもなくしていこう、という目標のもと、様々な専門医やクリニック様と連携して対応を行っています。
交通事故に遭われましたら、とにかくまずは無料相談をご活用ください。
早期の対応こそが肝心なのです!

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