自己啓発の学びは他人の言葉から

近年、自己啓発という言葉が浸透しています。

自己啓発とはどの様な意味でしょうか。

広辞苑にはまず【啓発】とは「知識をひらきおこし理解を深めること」と記されています。

この行為を自分自身の意志により行う事を、

【自己啓発】と言います。


知識をひらきおこし理解を深める。

つまり人生の中で必要な価値観、性格、考え方、生き甲斐や生き方など、

ジャンルは幅広く、人生を豊かにする為に学ぶ事を指していると言えます。


近年ではコンプライアンスが重要視され、

1人1人の意識も変わってきていると思います。

その為、自己啓発のセミナーなども多く開催されています。


もちろんセミナーに参加したり、書籍を読み学んでいく事も素晴らしい事です。


しかし最も重要な事は、他人から学ぶという意識であります。


職場、友人関係、恋人に家族。

生きていればあらゆるところで他人と話す機会が存在します。


人間は自分の価値観を正しいと思い込んでいる部分が大きく、

他人の言葉をあまり深く理解しようとはしません。



これの最も代表的なものは親からの言葉です。


一般的な例を挙げると、出掛ける際に『気を付けてね』という何気ない一言にもどれだけの価値がこもっているでしょうか。

トラブルに巻き込まれず、怪我無く帰宅を願う言葉です。


しかし言われた側は、自分が無事に帰宅する事は100％だと信じて疑っていません。

その為、『気を付けてね』の一言が心に届かないのです。


もしも心に届いていれば、

『そうだな！ハメ外さない様に気を付けよう』
『今日は車の運転もあるし安全運転で！』
『山登りに行くから滑落や遭難しないように準備と計画を』

この様に自分に注意を促す事になります。

その結果、危険を回避出来たり、無事に帰宅をすると『言ってもらって良かった』『いつも気にしてくれている』などと自分自身の置かれている位置にも気づく事が出来ます。


しかし、そもそも心に届いていないのであれば、

その言葉に優しさがどれほど詰まっているか。
感じる術はありません。


出掛ける時：『気を付けてね』

仕事や勉強：『頑張っておいで』

体調が悪い：『無理しないで休んで』


全て右から左へスーッと流されて残らない言葉です。


しかし親が亡くなり、その姿が灰になった瞬間・・・

それまで流していた言葉の数々が自分の心に届くのです。



よく芸能人でも活躍しているうちは“破天荒”などと言われ、

悪く言われることが多い人でも、

その姿が灰になった瞬間に“器の大きな”人だったに変化します。


場合によっては“美化されている”という場合もありますが、

それでもその人の言葉を受け止めようとしている状態に変わりはありません。




人の言葉は他人に届かないものである。
しかしその姿が灰になった瞬間、全てが届く。
要は受ける側の気持ち次第である。



利他の精神で言ってくれている優しい言葉に気付く事が出来る。

それが自己啓発の入り口だと私は思います。


相手が目の前にいれば自分の自信や正しさで価値を見る事が出来ない。

しかし相手が灰になればその全てが届く。


全ては受け取る側の気持ちや意識次第であると言えるでしょう。


それに気づかず難しい言葉を並べたセミナーを受けたとしても、

自己啓発とは程遠いものだと感じます。


まずは背伸びをせずに、

意識をして身の回りにある“温かい”ものを探す事から始めてみてはいかがでしょうか。



癒しの時間～愚痴聞き・話し相手～