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谷光高

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谷光高(たにみつたか) / ゴルフ場経営者

新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部)

コラム

グリーン上でのエチケット違反に250ドルの罰金

2016年2月3日 公開 / 2019年1月2日更新

テーマ:ゴルフの歴史やエピソード

コラムカテゴリ:趣味

「瞬間湯沸かし器」トミー・ボルト

トミー・ボルト(Tommy Bolt, 1916年- 2008年)は、アメリカ・オクラホマ州出身のプロゴルファー。1950年代から1960年代にかけてアメリカPGAツアーで活躍しました。
PGAツアー15勝、シニアツアー3勝、1958年には42歳にして全米オープンで優勝しました。

トッププロゴルファーのトミー・ボルトですが、ひとたび失敗すると瞬時に逆上する短気ぶりから、“瞬間湯沸かし器”“サンダーボルト”と称され、短気なボルトの悪癖がちょくちょく問題視されました。
ミスショットの度に彼のクラブは地面に叩きつけられ、林に投げ込まれ、時には池に沈められもしました。

1953年にラスベガスで開催された「トーナメント・オブ・チャンピオンシップ」では、「彼の成績に関係なく、ラウンド終了後に何本のクラブが残っているか」という賭けが公募されたのも、彼のクラブ破壊癖を物語るエピソードの1つです。
この賭けのあったラウンドで、彼のクラブは奇跡的に14本とも生き残ったということです。

緊張感で静まり返ったグリーン上で大放屁

このようなトミー・ボルトの粗暴な振舞いは1959年の「メンフィス・インビテーショナル・オープン」でも遺憾なく発揮されました。

グリーンに上がったボルトは、同伴競技者のパッティングを静かに見つめていました。
ギャラリーたちもシーンと声をひそめて観戦しています。

そのとき、ボルトは息詰まる沈黙を破って、ニックネームの“サンダーボルト”にふさわしい行為・・・

『大放屁』をしでかしました。
遠慮して音なしで風に流そうとはせず、はでな爆発音を放ったのでした。

一瞬の沈黙ののち観衆はどっと笑いました。
しかし、誰一人として歓迎しているわけではありませんでした。

「不謹慎だ!胸がムカついてきた」とパートナーの一人が言うと、ギャラリーの中からも、それに同調して批判する声が上がり、競技委員に不快を訴える人がいるほど、大勢の人が気分を害していました。

ルールにはないが、罰金制裁!

ボルトの友人であり選手会長のボブ・ロズバーグの耳にもその訴えが届いたとき、彼は何らかの処置を取らざるを得ないと判断しました。
放屁についてのルールがあるわけではありませんが、ロズバーグは前年の全米チャンピオンであるボルトにあえて罰金を科すことにしました。

ホールアウト後、ロズバーグはボルトを捕まえて真顔で聞きました。
「トム、君とは良い友人だ。しかし私は選手会長として、君が本当にグリーン上で屁をしたかどうか問いただしておきたい。実際のところどうなんだ?」

「ああ、確かにしたとも。いけなかったかい?」
ボルトはいささかも悪びれずに答えた。

「いいか、トム、人がパッティングしてる最中に大きな音を立てて屁をするもんじゃない!スポーツマンたるものフェアプレーを心掛けるべきだ。そこで、君には罰金を科すことにした」

「そんな馬鹿な!故意じゃないんだ!」
ボルトは懸命に抵抗を試みた。
「単なる自然現象じゃないか!そんな些細なことにまでルールを設けようってのか?じゃ、音無しならいいのか? ゲップも欠伸もだめなのか?」

結局、ボルトはブツブツ言いながらも罰金250ドルを支払いました。
「あの当時としては最も大きな額の罰金だったよ」と後にロズバーグは言いました。

自然現象にも配慮を


この裁定について、被告人トミー・ボルトは、その後も無罪を訴え続けました。
「悪気があってやったんじゃない。ほんの些細なことじゃないか・・・・」

その後、トミー・ボルトはシニアツアーでも活躍して、すっかり名誉も回復。
2002年には世界ゴルフ殿堂の「ベテラン部門」に選出され、86歳にして殿堂入りを果たし、2008年8月30日、アーカンソー州ベイツビルにて92歳でこの世を去りました。

自然現象であっても、注意して音はなるべく控えめにしましょうね。

◆参考文献
「生きがいはゴルフだけ」ブルース・ナッシュ、アラン・ズーロ著、山崎雄介訳:二見書房

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