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コラム
寅さんが言う「立派なゴルファーは若者の手本に」
2015年6月30日 公開 / 2017年2月23日更新
第1次ゴルフブームの旋風を巻き起こした伝説のゴルファー中村寅吉プロ、通称「寅さん」。
寅さんの著書「中村寅吉 気のゴルフ」には、べらんめえ口調でありながら、随所にキラ星の如く輝く文章が散りばめられています。
立派なゴルファーの真似をすることから始める
「ゴルフは『ひと真似』のゲームと言ってよい。立派なゴルファーの真似をすればいつの間にか本人も誰からも慕われるようなゴルファーになる。態度振舞いが感心できないような人といつもプレーしていると本人もいつの間にか良くない癖がついちまう。」
「見て覚える」は、ゴルフだけに言えることではありません。社会生活においても通して言えることです。仕事においては、「ひと真似」で伝わっていくことにより、それが会社の風土や社風となっていくのです。
年配者には「むかしは良かった」という前に「今を良くしよう」と思ってほしい
寅さんは言います。
「年配者は若者のお手本になるような振舞いをしてほしい。年を取ったら、ぼくもああいうゴルファーになりたいというような目標になるゴルファーに。そして若者がよくない振舞いをしたら、その場で注意をする。「むかしは良かった」という前に「今を良くしよう」という気持ちになったほうが気分も若返るのではないだろうか。」
寅さん自身、程ヶ谷カンツリー倶楽部という日本を動かすような偉い人ばかりが集まるゴルフ場でゴルフを覚えたので、ひとかどのプロゴルファーになれたと語っています。
偉い人の真似をしている分には間違いなかろうという心づもりで見習ったそうです。
また、別のゴルフ場へ行っても「程ヶ谷」のことがいつも頭の中にあり、自分が人に笑われるようなことをやらかせば、程ヶ谷のメンバー全員が笑われると思っていたそうです。
寅さんは、試合に出るときはいつも上着を着ていきました。
例えば、表彰式や打ち上げのパーティーでは上着着用が決まりなので、一人だけ着ていない者がいるとするとひどく目立ってしまいます。
すると、「ヤツはどこのプロだ?」「所属のクラブは、ボールの打ち方だけ教えて、クラブハウスの中での躾は何もしていないのか?」ということになり、そのプロが所属するメンバーが後ろ指をさされてしまう。
だからプロになった時は、まず背広を作らされたそうです。
ゴルフ場が仕事場である寅さんのようなプロですらそういう雰囲気だったので、メンバーはもっと身だしなみには気を付けていたそうです。
「コースはプレーの場」であり、「クラブハウスは社交の場」であるというものが、会員制ゴルフクラブの意義でしたので、クラブハウス内では、誰もが上着を着ているのに自分だけがゴルフウェアのままでは釣り合いがとれず、相手に対しても失礼になると考えられていました。全員がそういうことを弁えていたそうです。
全国どこのゴルフ場へ行っても、むかしはそうでした。だから妙な格好をしたり、よくない態度を取れば噂は全国に広まり、そういうゴルファーがメンバーになっているクラブは評判を落としていました。
当時、寅さんは程ヶ谷の支配人から教わったことは
「他人に不愉快な感じをあたえるようなことはするな」だったそうです。
寅さんはこれをいつも胸にきざみ、試合にでていたそうです。
『ああ、楽しかった。今度またやろうね』と言い合えるように
寅さんは年配者だけでなく、若者にも注文を付けています。
「自分は知らないことが多いのだから誰かに注意をされたら、一つ利口になったと思って「ありがとうございました」と感謝してもらいたい」と言っています。
とお互いにそう言い合って分かれるのが、ゴルフの良いところ。
「自分さえ楽しければいい」と思ってプレーしている人が増えれば増えるほどエチケットは乱れてしまいます。
そうならないようにするためには、年配者が若者のいい手本になる。若者は立派なゴルファーを見習うという意識が大切です。
そして寅さんは最後に言っています。
「せめてゴルフ場へ行ったからには、老いも若きも、男も女も、一日を楽しく過ごしてもらいたいんだ。それさえできればあとは何も言うことはない。
『ああ、楽しかった。今度またやろうね』
互いにそう言い合って分かれるのがゴルフのいいところだと思うんだね」
■参考文献
「中村寅吉 気のゴルフ」中村寅吉著:ベネッセ
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