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コラム

叱りをデザインする その2

保育園設計の考え方

2018年6月27日

『叱りをデザインする』 その2

 時として、「叱って」はならない場面もある。私は、都心部の子どもたちの環境に、ビオトープを普及させる活動に参加している。保育園で子どもたちと一緒に池を掘り、メダカを放流したときのことだ。「めだかさん、すくってみい。」というと、池の周りに座った子どもたちは、一斉に、そして素晴らしい勢いで上からメダカを掴む(掬うのではなく)。池や川で生物を掬い取った経験が無いために、「掬う」という動作がわからないのだ。力いっぱい掴まれたメダカは、その小さな手の中で潰れてしまう。そんな時、彼らは驚きと、恐怖と、後悔が入り混じったなんともいえない表情をする。叱ってはならない。彼らは、その瞬間、自らの手で生物のいのちを奪うという取り返しのつかない行為に、痛恨の涙を流し、心のすべてを揺らしてメダカに詫び、自分自身を激しく「叱って」いるはずだ。こうして彼らはいのちの尊さを学んでいく。
 子どもは遊びの天才だから、四角い部屋と平らな園庭でも無限に遊びを生み出していく、という考え方がある。子どもの能力に甘えきった、都合のよい解釈だ。山で転び、岩場ですりむき、池でびしょ濡れになり、押入れに潜って頭を強かにぶつけ、痛みとともに生きる力を育む。障子を破り、畳を傷め、穴を開けてしまった襖を修繕する労苦を体験して、物を大切にすることを覚える。管理者から敬遠されるものには必ずといっていいほど、「叱る」チャンス、つまり育つチャンスが潜んでいる。子どもは「叱ら」なくても大きくなっていく。でも、大きくなることと、育つことは意味が違う。「叱る」ことが苦手な人もいる。「叱り」方がわからない時もある。うまく「叱って」もらえなかった人には難しいことだ。そんな時は、大地に、素材に、いのちに叱ってもらえばいい。
 我々保育家や建築家は、そんな思想をもって子どもたちの環境を考えられているだろうか。保育家はもっと、園舎や園庭のことを考え、建築家はもっと、子どものことを考えるべきではないだろうか。それぞれの仕事の境界線を引いてはいけない。子どもの育ちの鍵は、その境界線が交わるところにこそ存在するのだから。使いやすさよりも、造形の美しさよりも、安全よりも、快適さよりも、保育家と建築家に、最も求められるデザインの考え方。「叱り」をデザインすること。我々は、まず自らを叱らなければいけない。いつか、成長した子どもたちに褒めてもらえるように。

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