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糸数盛夫

お墓に関する多種多様な問題を専門知識で解決するプロ

糸数盛夫(いとかずもりお) / お墓ディレクター/尊骨士

◆墓石販売:みくに株式会社(平成28年設立)◆施工:おはかのみくに合同会社(平成31年3月設立)

コラム

閏月(ユンヂチ)にお墓を建てる理由

2020年4月4日

テーマ:ラジオ放送『幸せを招く先祖とお墓の話』

コラムカテゴリ:冠婚葬祭

コラムキーワード: お墓



糸数:
今回から次回に渡ってのテーマは、『ユンヂチにお墓を建てる理由』についてです。まなみさんはユンヂチって聞いたことある?

まなみ:
ユンヂチという言葉は聞いたことあるんですけど、正直どういう意味なのかわからないです。

糸数:
そうですよね。やはり新聞、ラジオ、ホームページをご覧になった方からも、ユンヂチについての問い合わせは多いです。

今日は、そんな『ユンヂチにお墓を建てる理由』について一緒に考えて行きたいと思います。

先日、所属している日本石材協会という協会メンバーとのオンライン勉強会で、私が沖縄の風習について1時間放送をする機会がありました。

私達が今住んでいる沖縄県には、昔の風習が数多く残っています。年中行事をとり行う際には旧暦に当てはめて進めることも少なくありません。

まずは旧暦と新暦について理解しないと、ユンヂチについての理解が深まりにくいかと思いますので、今日はこの辺りについてお話して行きましょう。

全国的には、新暦が普通に使われていますよね。沖縄の場合は本土と違い、旧暦に従うことも多いため、一般的なお正月やお盆の時期と少しずれたりします。旧正月などがその例です。

そして、沖縄でお墓を建てるのに適した時期とされるユンヂチというのも、その1つです。

今回は、このユンヂチについて、どういうもので、どんな風に考えられているのかを、一緒に考えて行きましょう。

流れとしては、『お墓に関わるユンヂチ』が第一項目、『ユンヂチにお墓を建てる理由』が第二項目、『沖縄の人がユンヂチにお墓を建てる大切な理由』が第三項目、『ユンヂチに行うお墓以外の行事について』が第四項目、『沖縄のユンヂチとお墓の豆知識』が第五項目とし、五項に分けてお話していきます。

それでは、第一項目の『お墓とユンヂチの関わり』について学んでいきましょう。ユンヂチとは沖縄の島言葉で、閏月と書いてユンヂチと読みます。

まなみ:
漢字はこう書くんですね。

糸数:
そうです。一般的には閏月と読み、太陽暦から4年に1度訪れる閏の年とされています。

沖縄では旧暦に基づき行事をとり行う習慣があり、ユンヂチはお墓と深く関係しています。まなみさんの生活の中には、旧暦ってある?

まなみ:
一番に思い浮かぶのはお盆ですね。私の父方が本土だったので、お盆は比較的被らなかったんです。新暦と旧暦で被る時もありましたけど、よく両方のお盆に行ったりしていました。

糸数:
僕も糸満市という町で生まれたので、ものすごく旧暦に基づいていました。

例えばハリュウ船、ハーリーと呼ばれるものや、盆踊りなどのお盆のお祭り。そういった様々な旧暦が身近にありました。

新暦と旧暦の最も違う点は数え方ですので、まずは旧暦の数え方について学んで行きましょう。

旧暦の場合は、月の満ち欠けを基準として1か月を29・5日という中途半端な数え方をしています。

しかし1年が365日となり、1か月が29・5日だと354日しかないため、11日足りなくなります。

その足りない分を調整するため、33か月おきに1度、1年を13か月とすることによって帳尻を合わせているのですね。

つまり、19年で7回ユンヂチとして同じ月が2回カウントされるということになります。何だかわかったような、わからないような。そんな感じですよね?

まなみ:
数字がたくさん出てきました。

糸数:
そうですね。次は新暦での数え方です。新暦では1か月は30日または31日として数えます。

1年を365日と考えた場合、厳密には365日と端数が出ます。この端数を4年に1度、2月の月を29日にすることで閏年として調整しているのですね。

ここまで、旧暦と新暦の数え方について話をさせてもらいましたが、近年のユンヂチということについても少し考えて行きましょう。

戦後、またはその前後の時代から、33か月に1度やってくるユンヂチ。1年が13か月になるので、その年の1か月間をユンヂチとして捉えていたということです。

まなみ:
33か月は多いですね。

糸数:
多いですね。しかし、近年になってからは月単位ではなく13か月からなる年をユンヂチとして考えるよう、変わってきたのです。

13か月になる年をユンヂチとしているため、今年、令和2年もユンヂチにとなるわけです。

現在の沖縄ではユンヂチは33か月に1度という旧暦で教えるようになっていますから、東京オリンピックが開催される令和2年、ちょうど今年がユンヂチの年に当たるということですね。

ややこしいのですが通常、新暦では1月25日から2月11日までがユンヂチの期間なんです。

では旧暦ではどうなのかというと、旧暦は遅いので、4月1日から4月29日までがユンヂチの期間となりますね。

じゃあそれが新暦ではいつなのかと言うと、5月23日から6月20日となります。

まなみ:
じゃあ、これからですね。

糸数:
これからですね。ゴールデンウイークを終え、20日ぐらいからユンヂチをやるということです。ちなみにまなみさんは、新聞とか見る?

まなみ:
最近はたまにしか見ないです。

糸数:
テレビのコマーシャルは?

まなみ:
テレビのコマーシャルは見ます。

糸数:
現在うちでは新聞の広告を出しているというのもありますが、一般的に今年のようなオリンピックの年なんかは、かき入れ時という言葉はおかしいんだけども、ものすごく忙しいんです。

今年も本当にお問い合わせが多く、やはりユンヂチにお墓を建てたいというお客様はすごく多くなっています。

まなみさんは、何かの年に何かを買おう、なんて考えたことある?生活の中で。

まなみ:
あるかもしれないですね。

糸数:
例えばどんな?日とか気にする?例えば13日の金曜日はどうとか。

まなみ:
13日の金曜日はちょっと気になりますよね。あと、何か新しいことを始める時とかは、できれば縁起が良さそうな日にしたりします。

節目になりそうな日とか。誕生日から何か始めてみよう、誕生日だから何かちょっといいものを買おう、とか。そんな感じですね。

糸数:
願をかけるみたいな、ね。

まなみ:
そうですね。やっぱり縁起がいい日の方がいいですね。

糸数:
そうですよね。それはやっぱり人間としての本能だと思います。

それでは、今日の本題の、ユンヂチにお墓を建てる理由について話したいと思います。

先日、本土のお墓の業者の方達と話したのですが、沖縄以外では閏年の月にはお墓を全く建てないらしいんですね。

北海道から九州まで、閏年の年には全くお墓の行事をやらないんだそうです。沖縄ではやるんだということに、とてもびっくりされていました。

まなみ:
全く正反対。

糸数:
全く正反対ですね。その話を少ししたいと思うのですが、ユンヂチは沖縄の人にとって、お墓に対する行事に適した時期とされていますよね。

なぜユンヂチにお墓を建てるのか。その理由について詳しくお話していきたいと思います。

沖縄には古くから伝わる伝統が根強く残っていることが多いです。旧暦に行事をとり行う中でも、行事ごとに細かいしきたりや決まりがありますね。

地域によっても違いますし、色々と細かく分かれているのですが、1つの行事をとり行うだけでも様々な決まりごとがあるので、準備から行事を終えるまでには、多くの手間と時間がかかります。

私どもの会社では、お墓のご注文をいただき、納骨式をやる場合はあらかじめ契約の際に「どなたか身内に歌などのお仕事に関係する人はいますか?」と聞いています。

なぜならば、やはり独特な風習もあるので、そういった行事の際にはなるべくお客様独自の文化に沿って進めて行きたいと思っているからです。そのため、最初にそういう質問をしているのですね。

沖縄の人々は先祖を大切にしていて、昔から続く風習やしきたりを守り、継承する心に強い意志があるということです。

それは門中制度に表れていますよね。妥協や手抜きをせずに各行事をとり行うにはそれなりの労力が必要です。

お墓を建てたりお墓に関する行事をとり行ったりするのは、民事行事ではありませんが、古くから伝わる風習やしきたりがあり、それに従って進めていかれるということですね。

しかし、現代の人達ってとても忙しいですよね。共働きの家庭も多くなっているし、なかなか昔ほどは時間がないと思います。

そんな中、こういったすべてのしきたりを進めるというのは難しくなってきているのが現状です。

ですから、最近では沖縄でも門中制度がだんだん崩壊してきています。やはりその理由は、若い方が忙しかったり、年配の方はリタイアされているといったことが挙げられます。

そういったこともあり、最近ではどんどん簡略化されつつあるということなんです。これ、いいことですよね。

まなみ:
そうですね。今の時代には。

糸数:
そうですね。簡略化したとしても、やらないとね。そういうことです。あとは、どうしてユンヂチにお墓を建てるのかって不思議じゃないですか?

まなみ:
そうですね。

糸数:
そうですよね。その理由を本土の方に話したところ、すごく面白がられたんです。これは、迷信といえば迷信なのですが、ユンヂチって「見えない月」って考えられているんですね。

そこで、昔の人がどう考えたかというと、ユンヂチは本来なかったはずの月で、あの世の神様からは見えなくなっているから、しきたりや風習にとらわれることなく自由に行動できる時期だ、と考えたんですね。

まなみ:
そういう考え方なんですね。

糸数:
そういう考え方があったということです。神様から見える月だったら、行事ごとに神様にお伺いを立てなくてはいけない。

しかし、ユンヂチの年であれば風習にとらわれないで自由に行事ができる、という考え方なんです。面白いですよね、これ。

つまり、年中行事ではないお墓を建てるということや、お墓に関する行事をとり行ったりする時期には、ユンヂチが選ばれるということですね。

お墓を建てる際には長男の干支を気にする場合もありますよね。例えば今年は鼠年なので、長男が鼠年であれば、今年はお墓を建てられない、とか。

やはり人間にはそういうのが色々あって、ほら、さっきまなみさんもげんを担ぐって言っていたでしょう?

まなみ:
なるべく縁起のいい日とか。

糸数:
そうですよね。ですから干支が合っている年には、例えば深爪をしたりとか、万が一何かあった際に、「干支が当たったんだ」なんて考えたりしますね。

ちょっとしたことでも人間はやっぱり、そういったことに縛られることがあります。

でもこのユンヂチの年にはそれがないということなんです。そのため自分の都合のいい日程で、大切にしている年中行事を、支障をきたすことなくとり行えるのです。

まなみ:
面白いですね、その考え方は。

糸数:
これ、最初にそうしようと考えた人ってすごいですよね。

まなみ:
すごいですね。

糸数:
誰が考えたんだろうと思いますよね。

まなみ:
昔だったらむしろしきたりに沿ってちゃんとやらないといけないから、神様から見えない月にはやらないってなりそうな感じもしますけど。

糸数:
そうですよね。ユンヂチは誰か考えたかっていうのも調べてみたのですが、出ていなかったです。誰が考えたのか気になりますよね。

まなみ:
自由に行動できるっていう考え方が面白いですね。

糸数:
私達はある意味神様に縛られているっていうことだよね。

まなみ:
そうですね。そういうことになりますよね。

糸数:
だからね、ユンヂチにはそういったメリットがあるんです。今まなみさんがおっしゃったように、沖縄以外の本土の人達は、神様がいてくれないから墓を建てないっていう考え方をします。

神様が見ていない隙に墓を建てるっていう沖縄の人達と、神様が防御してくれないから作らないという本土の人達。

まなみ:
なるほど。本土はそういった考えから、閏年には一切お墓の行事はやらないんですね。

糸数:
そうそう。そういう考え方。恐ろしくて、閏年にはよっぽどのことがない限りお墓の改装とかはやらないそうです。

まなみ:
じゃあその時期は、お墓の業界にはお客さんが少なくなりますね。

糸数:
そうですね。土地によってそういった違いがあるみたいです。私も本土の方とユンヂチの話をした際、やっぱり違うんだな、ということを感じました。

同時に、本土の皆さんは沖縄では閏年にお墓を作るということに、びっくりされていましたね。

もう一度おさらいしますと、ユンヂチにお墓を作る理由は、あの世の神様からは見えない13月だから、風習や慣習にとらわれないで自由にできるため、ということですね。

どうですか?ユンヂチについて。

まなみ:
ユンヂチの沖縄の考え方がすごく面白くて、沖縄の人らしいなって思いました。見えない月に自由に行動しちゃおう、っていうのが。

糸数:
ラテン系ですよね。普通は神様の防御がないからやらないってなりそうなのに。

まなみ:
不安になるのかと思いきや、見ていない時に。

糸数:
すごいですよね。しかもユンヂチはお墓を買うことだけではなく、お墓のリフォームや墓じまいにも最適とされているんです。

うちには平均して毎日3件ほど、墓じまいやリフォームの相談が来ています。お墓って、建てた後も年月が経過すれば劣化や汚れが目立ってきますよね。

しきたりや風習を気にせずに日程調整をしやすいユンヂチは、お墓のリフォームや墓じまいという行事に最適な時期とされているのです。

現在うちにも何件かご依頼があって、お待ちの方もいらっしゃる状態です。

誰かわからない親戚のお墓を閉めるような場合、ユンヂチの時期は解放されているため少しは気が楽ですよね。

近年、沖縄では墓じまいをするケースが増えていることから、墓じまいもユンヂチに行われる傾向があります。

私どもはお墓の業界にいるので、本当にそれを顕著に感じています。

先祖を大切にする沖縄の人々にとっては、お墓に関する行事も手を抜くことなく、且つ、日程調整のしやすいユンヂチが特別な年となるのです。

こういったことからも、私達沖縄の人間の性格というのが出ているんじゃないかと思うんですよね。

ここ最近は、ほとんど毎週末、うちの営業のスタッフもずっと出ている状態です。

それでは、沖縄の人がユンヂチやお墓を大切にする理由という所も少しお話ししたいと思います。

お墓を建てることや、リフォーム、墓じまいというのは先祖代々から続けられてきた習慣ですよね。

先祖のためにとり行う行事なのに、わざわざユンヂチに行われることについても理由があります。先祖のためにやることなんだから、別にいつでもいいんじゃないかと思わない?

まなみ:
そうですね。

糸数:
良いことをやろうとしているんだから。

まなみ:
確かに。良いことなのにわざわざ見えない時に。

糸数:
そうだよね。良いことなのに、何でユンヂチにやるのかということです。

沖縄では家族の誰かが罰当たりな行為をすると悪いことが起こり、その影響が家族だけではなく、親戚一同にもたらされるという考えが残っています。

呪いとか、そういったものが伝染するみたいなニュアンスですね。

まなみ:
ありますね。

糸数:
そうですよね。悲しいことですが、罰当たりなことが起きてしまうと、沖縄ではお墓の中に入れないのです。

そばに小さなお墓を建てて、そこにお骨を入れるという習慣がありますね。

親族が何らかの理由で、法にふれたりすることがあった場合、同じ門中でも外に出し、庭の外に墓を作るということもあったりします。

しきたりや風習に従いとり行いますが、決して先祖に対して失礼なことをしているわけではないにしても、万が一のことを考えて、あの世から見えないユンヂチにお墓に関する行事をとり行えば、先祖が知らずに済むので安心、というのが理由なんだそうです。

面白いですよね、もっと自信持ってもいいなと思いますけどね。

まなみ:
確かに。万が一のことを考えなくても。

糸数:
そうですよね。自分のおじい、おばあだからね。一応そういった理由で、ユンヂチにあえて保険をかけるようなことをしているんですね。

そう思うと、さっきまなみさんが言ったように、ただ楽観的なだけではなく、もっと思慮深いというか…。

まなみ:
そうですね。ちょっとまた深い理由ですね。

糸数:
本土の人のようにユンヂチの時には墓を建てなければいいのに、って話になるけど、そうじゃない。建てるのに安心だからこそ、その時期にやるということですね。

まなみさんは、今までの話を聞いてどうですか?

まなみ:
やっぱり沖縄は特にそういう先祖とかにまつわる行事が多いですけど、人の生活習慣も変わっていく中で、そういった行事も変わっていくのかなと思いつつ、でもユンヂチみたいに大切にされている習慣もあるんだなというのを感じました。

糸数
そうですよね。AIがこれだけ進んでいる中でも、そういうことが起こる。やっぱり大切なものは残しているということですね。

じゃあ今回はこれで最後になると思うんですけども、昔と今のお墓に対する考え方についてです。

昔の沖縄では風葬という死者を弔う習慣がありました。風葬というのは、1つの場所に一定期間安置して骨になるのを待ち、遺族は骨になってから再度その地を訪れて、整骨して埋葬します。

映画にもありましたよね。

まなみ:
ありましたね。

糸数:
骨になるまで時間がかかるので、魂もその地に留まると信じられていました。

現在は火葬して埋葬されますが、いまだに魂が残っていると考える人も少なくないために、お墓を大切にする習慣が残っている場合が多いのです。

ユンヂチはお墓を建てたり、買い替えたり、引っ越ししたり、墓じまいにもいい時期とされていますが、魂が残る場所からお墓を動かすと先祖が迷うので、お墓は動かさないほうがいいと考える人も少なくありません。

沖縄の中でも本土などから来た人達は、先祖が迷うからそれはやらないという方も一部いらっしゃるということですね。

次回また、ユンヂチに行うお墓以外の行事などのお話をしていきましょう。今回はここまでで終わりたいと思います。

この記事を書いたプロ

糸数盛夫

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糸数盛夫(◆墓石販売:みくに株式会社(平成28年設立)◆施工:おはかのみくに合同会社(平成31年3月設立))

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