コラム
『掛軸の修復』について
2015年9月13日 公開 / 2015年10月15日更新
コラムをご覧いただきましてありがとうございます。感謝です。
連日、茨城県常総市の水害について報道されています。二日経って被害の状況がわかってきたようです。まだ多くの不明者がおられたり、家屋の倒壊、田んぼの被害、あと太陽光も話題になっています。傾斜地に設置された巨大なパネルが下の道路に滑り落ちていました。新聞ではパネルが下の土に光が入らなかったと事で、また大量の水が原因であのようになったと報道がありました。何ともコメントしようがないのですが、その上に建てられている家にお住いの方は心配だと思います。今後の課題にもなるのではないかと思いました。
さて、今回は『掛軸の修理』について書きたいと思います。現在数本修理預かりしているのですが、以下のような流れで修理を致します。
1、まずは現状の確認をさせて頂きます。
シミ、汚れ、スジ、破れ等の確認をします。
2、にじみ止め
表面の文字や絵柄が薄くなったり、消えないように科学液剤をその部分にかけます。
3、本紙の切り抜き
本紙部分だけを掛軸、または額から切り抜いていきます。
4、洗い
切り抜いた本紙の上に保護紙を敷いて、その上から洗い液をつけます。本紙全体に液をつけた後、天日干しをして乾燥させてから本紙の汚れを洗い流していきます。
5、裏打ち剥がし
洗いをかけた本紙の裏打ちを剥がしていき、原画1枚の状態に戻します。この時に染みついた汚れとともに裏打ちを剥がしますので、洗いに引き続き裏打ち紙を剥がすことで本紙はこの時点で明るく綺麗になります。
6、裏打ち
古い裏打ちを剥がすことにより本紙が綺麗になったので、本紙の裏に新しい和紙で再度裏打ちを行います。(裏打ちをすることで本紙は厚くなりますので丈夫なものになります)
古い裏打ち紙には、汚れ、シミとともに、文字・絵柄の色もしみ込んでいます。その紙を剥がし新しく裏打ちするということは、文字・絵柄が薄くなったと感じてしまうかもしれません。しかし、実際には全体的に明るくなった印象です。
7、完成
修復が完成した本紙をご希望の表装で掛軸・額等に完成させます。同寸・同様の修復が多いですが、寸法・表装もある程度ご希望に合わせることは可能です。
修復を完成させる際の表装の種類も様々ございまして、
仏画・・・仏表装・本仕立て・並仕立て
絵(山水・高砂など)・・・丸表装・三弾表装
書・・・丸表装・三段表装
上記のように本紙の中身に合わせて表装させていただきます。
お客様の大切な一品ですので、次世代のためにも美しく残したいものです。そのためにも心を込めまして修復させて頂きます。
また、四国88か所の表装も承っております。何なりとお問い合わせいただければ幸いです。
生かさせていただいていることに感謝です。
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