【第九】の公演の感想　2022年12月11日　岡山シンフォニーホール

2023年1月17日

テーマ：合唱

コラムカテゴリ：スクール・習い事

昨年2022年の12月11日には岡山シンフォニーホールでの「第九」の公演がありました。
 1ヶ月あまりが過ぎようとしています。
この公演では合唱指揮を担当。
当日は合唱団の一員としてアルトに入って歌いました。

コロナ禍に入って
「  合唱は危険」「 歌は危険」「大声はだめ」「集まるな」
という風になってしまい、合唱関係者は本当に苦労したと思います。
これらを全部備えたベートーヴェン「第九」の練習と公演。
 大きな勇気が必要でした。
よくホールが決断してくださったと思います。

2020年の5月に集まってごく最小限の人数での相談から始まりました。
「この状態では第九の公演は実現できそうもない」という話になり
2020年。2021年は見送ることに。

2022年の初めの会議で
「今年できなかったらもう継続できないかもしれないような気がするのでぜひやりたい」という強い想いを持って話し合いました。 
もしかしたらマスクが取れるかもしれない、そのために距離をとって立ってもらう位には何人なら良いか？
何人で歌えばなんとかなるか？と考えてオーディションを行うことに。
 お馴染みのあのお顔、このお顔、申し込んで下さったみんなで歌いたいけれどオーディションで選ばないといけませんでした。

全員は参加していただけませんでしたが、コロナで心配が大きいなか、申し込んでオーディションを受けてくださった方々に強く感謝しています。

そうして5月からスタートした岡山第九を歌う市民の会の練習。
途中で練習を休みにしたこともあります。
やはり感染者が多い時期にはそれも仕方ないと思い、思い切って休みに。

そうして練習を重ね、今回は当日の指揮者の矢崎彦太郎さんが何度か
稽古をつけてくださいました。
その時の言葉や音楽的な細かい指示。
今まで何度も歌った方も新しい発見が多かったのでは？
それに、音楽の基礎的なことについても丁寧に指導していただき
とても充実した気持ちで帰られたと思います。

練習を重ねていよいよ本番の日を迎え
ゲネプロ（本番当日の午前中に本番のように演奏するリハーサルのようなもの）の時に
ホールのスタッフNさんにスマホで録音してもらいました。
そして私の大事な練習グッズであるBOSEのスピーカーに飛ばして（Bluetooth）聴きました。
女声、男声それぞれの控室で自分達の演奏が、はっきり言うと「マスクして少人数で」どんな感じに聞こえるのか？と言うのを確かめたい、でも怖い・・・
それでも「本当のことを知るのは大事」と、一緒に聴いてみて少しがっかりしたのではないのでしょうか？
 マスク着用・少人数の他に「前に並んだオケとの距離」があります。
今までに経験したことのないような距離。何メートルでしょうか？合唱団の前でバレエが踊れる程の距離がありました。

 これで声が届くの？オケに消されるのでは？と言う不安も多かったと思います。
 それでも合唱団の皆さん、基本を忘れず、また指揮者からとても素晴らしい指導を受け、
真面目に練習を重ね、その成果をお客様の前でちゃんと披露できたと思います。

 ひょっとしたらお客様に大きな声量でお届けはできなかったかもしれないけれど、
心を一つにした演奏ができたと思います。
 みんなそれぞれいつもより頑張って歌ってくださったと思います。

「合唱は危険」と言われる数年、ひょっとしたら確かにそうかもしれないけれど、
でもなぜ合唱だけこんなに？と思うような強い制限の中、現場に勇気を出して参加してくださった皆様の勇気と信念を私は一生忘れません。

第二楽章が終わってからソリストを一緒にステージに入った時
（今回は第二楽章が終わるまで舞台袖で待機して入場）に、
舞台上で マエストロの姿を見てはっとしました。
いつも練習では「白」をお召しになっているマエストロが
紺か黒の素敵なハイネック（ネクタイをしないでハイネックの上着の正装）の衣装に、
銀色のセミロングヘアのコントラスト、

そして「マスクなし」の笑顔。
練習ではずっとマスクをつけておられました。

そこで涙腺が崩壊しそうでした。

続く
写真はマエストロと終演後に