まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ岡山
光畑浩美

音楽を「魂の薬」として生きる力に繋げるプロ

光畑浩美(みつはたひろみ)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会 

お電話での
お問い合わせ
06-6734-3339

コラム

弾きたくない。でも、この講座だけは行きたい理由。

【 実話:モチベーション 】

2011年4月4日 / 2014年7月3日更新


市民講座の時だった。

『 ひそひそ ひそひそ ・・ 』

小さな声だが、やたらとお喋りをしている講座生を発見した!

彼女は、70代前半。 短い髪で、サッパリとした性格。
普段は姉さん的存在で、周りから頼られるような女性だ。

彼女は、とにかく隣の人と、お喋りをしたい様子。

隣の人は、首をコクリ・コクリ・・ ほとんど頷いてばかりいる。

その時の講座は、フリーの時間帯。

一人一人を、個別に指導する時間にしているので、
順番待ちをしている講座生にとっては、気楽な時間である。

でも、殆どの講座生は、『 今のうちに! 』 とばかりに、
自分のキーボードピアノで練習をしている。

やはり自宅に帰ると、主婦の仕事が沢山あるから、
こういう待ち時間は、貴重なのだ。

『 彼女は、何をお話しているんだろう・・? 
もしかして、何か解らないところが、あったのかも知れない。 』

そう思って近づいてみた。

「 ひそひそ ひそ! 」

私が近づくと、チラッとこちらを見て、途端にお喋りを止める。

「 何か解らないところが、ございましたか? 」

「 えっ? 。。。いえいえ、大丈夫です。 解ってますよ。 」

そう言いながら、続きのお喋りをする。

どうやら、ピアノとは全く関係ない話で、盛り上がっているようだ。

市民講座には、様々な人が集まっている。
講座内容も充実させないといけないが、『 集い 』 の面も、必要だ。

ある程度は自由にして、
ある程度はビシッ!と学んで、
メリハリをつける必要がある。

そういう意味では、お喋り。。 
『 まぁ・・ 許せる範囲。 』 だろうか。

それから30分程が経った。

いよいよ、彼女のレッスンを見る番になった。

「 さて今日は、どの曲ですか? 」 

いつものように、話しかけてみた。

しかし彼女は目を合わせる事もなく、そっぽを向いた。

「 あっ。 今日。 
今日はね、レッスン、見てもらわなくて、結構です。 」

「 えっ??? 」 

これには、少し驚いた。

『 レッスンを受けるために、ここに来たのでは? 』 と、問いたくなったが、
ぐっと胸に留めた。

「 練習が出来てなくても、構いませんよ。
最初のフレーズのところだけでも、弾いてみていただけますか? 」

そう言って、腰をかがめて目線を同じ高さにし、楽譜を指差してみたが、
サッと、軽く私の手を払いのける。

どうやら、本当に弾く気が無いらしい。

レッスンをするからには、多少なりとも曲を進めなければならない、
という固定観念があるが、彼女には通じない。
 
先程、お喋りが盛り上がっていたようなので、ちょっと尋ねてみる。
「 今週は、何かお忙しかったのですか? 」

だが、即シャットアウト。

「 いえ、別に。 とにかく今日は弾きたくないから。 」

バシッ! と、言い切る。 

悪気もなく、ここまで言うタイプも、珍しい!!

なのに、講座には参加している。(笑)

( 私などは、師匠にレッスンを見ていただく際には、どれほど気を遣ったか。
合わない会話も、無理して合わし、
練習不足を何とかカバーしようと、最善を尽くしたものだったが。。。 )

彼女の無作法に、正直、ムッとする気持ちもあったが、
相手は、70歳の大人。

そこまで言うからには、ほっておこうと思った。

それから、2週間後。。。。。

彼女は欠席した。

さらに2週間後。。。。。 

やはり欠席。

『 やっぱり、やる気が無かったのだろうか。。? 』
私は、寂しさを感じた。

ところが、その2週間後。

彼女は、やって来た。

『 くっ・・暗い!!! 』 一目みて、彼女の表情が、とても暗い事を感じた。

でも、講座には参加している。

私は、ドラッカー氏のある言葉を思い出した。

『 顧客が価値と考えるものはあまりに複雑であって、
彼らだけが答えられることである。

憶測してはならない。

顧客のところへ行って答えを求める作業を体系的に行わなければならない。 』

P・F・ドラッカー 「 マネジメント 」

彼女に、直接聞いてみた。

「 今日はレッスン、どうされますか? 」

今度は、彼女のほうが驚いたらしい。

「 えっ、先生?! 私、弾かなくても良いのですか? 」

「 ええ。 構いませんよ。 そうされたいのであれば。 」
私は、ちょっと余裕の笑みを浮かべてみた。

すると彼女は、そっと打ち明けてくれた。。。

「 姉がね。

姉が、亡くなったんです。

この間、危なかったのですけれどね。 
この講座だけは参加して、心を落ち着かせたかったから。。。 」

理由を知った瞬間、彼女の無作法への腹立ちは、吹っ飛んだ!


生涯学習教育・福祉などでも活躍できる、地域のピアノの先生になってみませんか?
実際の方法を伝授する「 らくらくピアノ指導者養成レッスン 」のご案内は、『 らくらくピアノ(R)公式ホームページ 』・Skypeレッスン(固定電話レッスン可)をご覧下さいませ! http://www.rakurakupiano.jp 

この記事を書いたプロ

光畑浩美

光畑浩美(みつはたひろみ)

光畑浩美プロのその他のコンテンツ

Share