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高木正男

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高木正男(たかきまさお) / 税理士

株式会社あさひ合同会計(あさひ合同会計グループ[税理士法人あさひ合同会計、ネットリンクス株式会社])

コラム

保険で節税は嘘!?

2021年6月16日

テーマ:税務

コラムカテゴリ:ビジネス

「保険屋さんから節税に全損保険を提案されたのですがどう思いますか」
「節税のために入っていた全損保険の解約をしようと思います」という言葉は、顧問先において年に10回は耳にするように思います。しかしながら、法人契約の生命保険で実質的に節税となるものは基本的にはありません。
 支払った保険料が費用として計上されることで利益が圧縮され、それに応じて税額は低減されます。ただし、保険を解約した際、その返戻金は収益となり税額が増加するため、それまでの税額低減効果は帳消しになります。
さらに、通常の解約返戻率は90%を下回るため、結果として法人の資金が10%以上減少することになります。この当たり前の話は経営者であればどなたも理解できることだと思います。ではなぜ「節税になる」という認識を持ってしまうのでしょうか。

■実質返戻率という表現
 保険の設計書において、実質返戻率という表記があります。
 実質返戻率=解約返戻金÷【支払保険料-(損金計上額×税率)】となります。
 つまりは、費用として計上することで未来に繰延べた税負担額を返戻率に含めた数字となります。
先に述べました通り、解約したタイミングで繰延べた部分は帳消しとなります。

■セールストーク
「解約時に損失とぶつければ大丈夫ですよ」「退職金支給とぶつければ実質返戻率の効果が出ますよ」という説明があった場合、節税効果があると考えてしまうかもしれません。
 一時的には損失とぶつけることで課税されないかもしれませんが、以降に利益が出ればその部分には課税されることになります。現在、欠損金は10年繰り越すことができますので、黒字体質の法人であれば問題無く使い切ることができるでしょう。

 実質的な節税効果は乏しいですが、一概に法人の生命保険加入を否定するものではありません。以下のような場合には有効に作用する場合があります。
・万が一の際の保証に対するコストとして加入する
・決算上の利益を平準化したい
・退職金の負担を平準化したい
・利益圧縮による株価引き下げを行う etc.

 保険に加入することで単純に節税できるという認識ではなく、加入することでのメリット・デメリットをきちんと理解した上で検討してみてください。

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