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深堀賢(ふかほりさとし) / 行政書士

行政書士 深堀法務事務所

コラム

試用期間中、最低賃金以下で労働させることは合法になるか

2016年7月26日 公開 / 2016年9月22日更新

テーマ:最低賃金

コラムカテゴリ:法律関連

タイトルの事案にお答えする前に事例をあげたいと思います。

バーのオーナーAさんはバーが忙しくなってきたこともあり
6か月の試用期間でアルバイトBさんを入れることにしました。
オーナーは経営が厳しいことや接客やお酒の作り方など覚えることが
山ほどあることやアルバイトが仕事をしっかりこなせるまでは
時間がかかることから見習い期間は給料はなるだけ支払いたくないと考えました。

そこで1日の賃金は1500円で働いてもらうというようにアルバイトBさんと合意を取りました。
アルバイトBさんは契約後労働日は1日14時間働いています。
本件は最低賃金法に反し違法になるでしょうか?

ご興味がある方は考えてみてください。





















~最低賃金には減額特例がある~

最低賃金は、都道府県別に定められています(産業別もあり)。

その最低賃金には、次の5つのケースで減額特例が認められることがあります。
1.精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い
2.試の使用期間中
3.基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている
4.軽易な業務に従事する
5.断続的労働に従事する

2つめのケースが、本件の試用期間中に当たります。
本件の場合ですと試用期間中だから最低賃金法以下の給料を出しても問題なさそうに
思えます。

ですが減額特例は何でも認められるわけではありません。

減額特例は減額申請の手続きをしていなければ無効です
(参照http://nara-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/tingin/hourei_seido/saiteitingin015.html)。
また、本採用者が最低賃金と同等程度で、かつ、試用期間中の労働者を著しく低くする
慣行が存在する場合のみとされています。
また試用期間の場合は、最長6ヶ月、最大の減額率20%までです。
ずっと適用を免れるものではありません。

本件の場合ですと仮に最低賃金の減額特例の申請をしていたとしても最大の減額率は20%までであることから
14時間働いて1日の支給額が1500円は最大の減額率20%をはるかに下回っていることから
最低賃金法違反になります。もちろん本件の場合は1日8時間を超えて働かせているためその分の賃金も
支払う必要があるでしょう。


なお最低賃金法では、最低賃金に満たない契約は、最低賃金での契約を結んだものと見なすと定めています。
したがって、最低賃金との差額は、きちんと取り戻すことができます。
また、地域別最低賃金を支払わない使用者には、50万円以下の罰金とする定めがあります。

まとめますと事例に関しましては最低賃金の減額申請を労働局に事前に申請する必要があり、
仮に申請をして減額申請が認められたとしましても減額率は最大20%までゆえ、最低賃金法違反になります。

ただタイトルの答えとしましては労働局に減額申請の手続きをしており減額率を20%以内にしていれば
試用期間中の最低賃金を下回る場合でも違法にはならない場合もあるということになります。

皆様のご参考になれば幸いです。
当事務所は長崎市の社会保険労務士事務所と提携しておりますので
上記事案の業務の相談やその他社会保険等の手続きの業務も可能です。

ご不明な点等ございましたら遠慮なくご相談ください。
初回相談無料です(メール相談無料、電話相談20分以内無料)
本日も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました。

以下当事務所HPです。よろしかったらお立ち寄りください
http://www.fukahorijimusho.com/

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