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宮島敏

酒造りと写真を通して信州の大自然を表現するパノラマ写真作家

宮島敏(みやじまさとし) / パノラマ写真作家

合資会社宮島酒店

コラム

SDGs その先の未来へ【8】グレート・リセット(appendix)

2021年7月17日 公開 / 2021年7月22日更新

テーマ:SDGs

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: マーケティング戦略ビジネスモデル経営戦略

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 「グレート・リセット」という言葉に象徴されるように、現在、長年慣れ親しんできた「資本主義」にメスを入れ、社会システムそのもののあり方を見直すことが論議されています。地球環境の保全や気候変動への対応のみならず社会のあり方を含め、価値観が大きく変わる時代を迎えているのです。
 まるでサバクトビバッタのように資源を使い尽くす勢いで「拡大均衡」を優先させてきた人類が、自らの存亡をかけて自然と調和した「縮小均衡」という生き方へ「進化」する転換点に立たされていると言えるでしょう。

 自らの「種」の存続のために他の「種」を凌駕する勢いで個体数を拡大させるという、生物が本質的に維持し続けてきた生存戦略が、実は「種」を「国家や地域などの価値観を一とするグループ」と読み替えたとき、紛争や貧困、富の偏在、環境破壊などの人類社会が抱える諸問題の根源であることに気づかされます。
 SDGs が解決しようとしているそれらの問題は、生物としての新たな「進化」を人類に求めており、いずれ SDGs に含まれる「Development(開発)」という言葉さえ見直すことが求められる時代が訪れるに違いありません。

 2030年に期限を迎える SDGs は、かつての MDGs がそうであったように、15年先の2045年に達成するべき目標( Post-SDGs )を新たに掲げることとなるでしょう。
 それには SDGs で達成できなかった幾多の目標に加え、コロナ禍を機に急激に加速するであろう生命科学や、2045年にも到達するとされる AI(人工知能)の「シンギュラリティ(技術的特異点)」が引き起こす、「生命」や「知性」の本質を問うような目標も加えられるに違いありません。
 もちろん、生命科学によってヒトの免疫システムを強化するのみならず、これからの地球環境の中で増産可能な食糧を作り出し、AIによって、あらゆる分野での生産性が高まることが期待されますが、一方でそれらには「生命」や「知性」の本質に対する挑戦的なリスクが内在し、いつしか、それらを生み出した人類の手を離れ、新たな「生命」、新たな「知性」として進化を始める可能性を秘めています。

 既に人類は、この地球が培ってきた生態系の「動的平衡」を破壊する一歩手前まで来ており、SDGs はそれを押し留めるための最後の防衛線です。
 とはいえ、SDGs が達成できたとしても「生物」として根源的に維持し続けてきた「拡大均衡」という戦略を見直さない限り、地域間格差に起因する地政学的リスクを消し去ることはできません。
 それは、国家間の貧富の格差やローカルな紛争といった問題にとどまらず、政情不安による暴発的な EMP(電磁パルス)攻撃などにより、世界中の電力供給や衛星通信、インターネットなどのインフラが一瞬にして破壊され、「生命科学」で産み出されたリスクの高い「生命体」が制御不能となって漏れ出してしまうといった、グローバルリスクが残り続けることを意味します。
 もちろん宇宙から飛来する小惑星の衝突などでも同様の惨禍は起こり得ますが、このままでは人類が自らそれを引き起こすリスクの方が、よほど高いと言わざるを得ません。

 コロナ禍によって、国家のみならず地球全体が「運命共同体」であることや、営々と築き上げてきた現代文明の危うさに、人々は改めて気付いたはずです。
 現在、連綿と続いてきた「貨幣経済」さえもがサイバー空間に移行しつつあり、金貨や銀貨のように貨幣そのものに価値を持たせていた時代は今は昔、各国が仮想通貨へのシフトを検討している状況を鑑みると、ひとたびサイバー空間に揺らぎが生じた場合には、かつてのニクソンショックやリーマンショックを遥かに上回る大混乱に陥る可能性があります。
 刹那的にマネーがマネーを生み出すマーケットに振り回され、地球に負荷をかけながらも仮想空間に揺蕩(たゆと)うマネーを最優先する手法は、自らの価値を流動化させ、結果として将来の世代に禍根を残す危うさを孕んでいます。
 また AI のシンギュラリティについて、生産性の向上という側面とは別に、人々が担ってきた幾多の職業の消滅などがことさらに喧伝されていますが、人類を超える「知性」が存在することになるという意味において、人々に自らの存在意義を問うものであることを忘れることはできません。

 人類とて一つの生物種です。
 薪で火を熾(おこ)し、山野を駆けて獲物を捕らえ、泥にまみれて耕作した「命」を大切に戴くという「ヒト」としての原点を見つめ直し、大自然の声に耳を傾けた「土着の民」として生きることの大切さを子々孫々に伝え続けること、つまり、自ら衣食住を賄うことができるレジリエントな力と物事の本質を見極められる力を養う教育こそが、シンギュラリティを迎えた AI を僕(しもべ)として、人類が「知的生命体」としての尊厳と自らの揺るぎない価値を維持し続けるために最も求められていることであると考えます。

 SDGs が掲げる「誰ひとり取り残さない」という言葉は、言い換えるならば「その人がその人らしく」生きられるということを意味しており、さらに「アニマル・ウェルフェア」にまで立ち入るならば「その生き物がその生き物らしく」という思いさえも込められた、究極の「部分最適」を表していると言えます。
 人々が受け取る情報がグローバル化し、一人ひとりの意識が世界全体とつながる中で、地域や国家のみならず個々の人々のアイデンティティという「部分最適」を保ちながら、持続可能な国際社会を実現するための「全体最適」を満たす価値観の再定義が、人類が取り組もうとしている「グレート・リセット」の本質なのかも知れません。

 自動車業界が駆動エネルギーを油から電気へシフトさせているように、あらゆる産業が自らの本質を見つめ直し、2030年の、その先の未来を見通した「あるべき姿」からのバックキャスティングを行う必要があります。
 人類は、世界の総人口をほど良く抑えながら国際社会を安定させるために、子供たちを最大のステークホルダーとした資本主義の在り方について真剣な議論を続け、100年先を見通した「持続可能な社会」を築いていかなくてはならないのです。

※ 執筆:2021年7月

・SDGs その先の未来へ【1】はじめに
 https://mbp-japan.com/nagano/miyajima/column/5090042/

・SDGs への取り組み
 https://www.miyajima.net/sdgs/

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