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  1. 新型コロナウイルスに備えるために-誰にでもできる腸活の可能性パート2
星野智祥

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星野智祥(ほしのちしょう) / 医師

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コラム

新型コロナウイルスに備えるために-誰にでもできる腸活の可能性パート2

2020年3月26日 公開 / 2020年3月31日更新

テーマ:アドバイス

コラムカテゴリ:医療・病院

前回は、プロバイオティクスとプレバイオティクスの感染症に対する効果について触れてみました。今日は、このうち、プロバイオティクスについてもう少し掘り下げてみたいと思います。

●善玉菌と悪玉菌とは?
善玉菌とは、腸内で人の生命活動に必要なビタミン類(ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン(B3)、パントテン酸(B5)、葉酸(B9)、ビオチン(B7)、ビタミンK、ビタミンCなど)やホルモン(セクレチン、コレシストキニン、インクレチンなど)、身体の機能活動に必要な短鎖脂肪酸(酢酸、酪酸、プロピオン酸など)、神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)の産生に関わり、腸管の蠕動運動、消化吸収、代謝、感染防御など、人の健康に有益な働きをしている細菌群の一般的な総称です。このように、微生物が食品を分解して人にとって有益な働きをするものに変える作用を発酵と呼びます。
一方の悪玉菌とは、アンモニア、フェノール、インドール、硫化水素、アミンといった発がん物質を含む有害物質を産生する細菌群の一般的な総称です。発酵に対して、微生物が食品を分解して人にとって有害な働きをするものに変える作用を腐敗と呼びます。ただ、悪玉菌は、他の細菌が腸内の定着を防いだり、たんぱく質の分解をしたり、一部のビタミンを産生したりする役割も担っています。
善玉菌でも悪玉菌でもない、どっちつかずの細菌群を日和見菌(ひよりみきん)と呼びますが、近年、この日和見菌に分類されているクロスリジウム菌の産生する酪酸が制御性T細胞を活性化し、過剰な免疫反応をコントロールしていることが明らかとなってきました。

●乳酸菌とビフィズス菌の違い
どちらも乳酸を産生して腸内環境を酸性にすることにより、有害な細菌の増殖を抑えていますが、ビフィズス菌が産生する酢酸は、有害な細菌の活性を抑える働きが特に強く、大腸のバリア機能を高める働きがあります。
乳酸菌は酸素があっても生育できるので、人の腸内に限らず、外界の様々な場所(例えば、発酵食品や乳製品)に存在していますが、ビフィズス菌は酸素のない場所では生きていけず、生育場所はほぼ人や動物の大腸内に限られています。ここで、ビフィズス菌は酸素が苦手なのに、ヨーグルトにして大丈夫か?という素朴な疑問が生まれますが、ビフィズス菌ヨーグルトの表面はやはり酸素の影響を受けやすく、攪拌すると死滅する傾向が早くなるので注意が必要のようです。
また、ビフィズス菌は人の腸内の善玉菌のほとんどを占めているのに対し、乳酸菌の占める割合は、善玉菌のわずか0.1%以下だそうです。

●摂取したプロバイオティクスの定着率
乳児の腸内細菌は、その90%以上をビフィズス菌が占めますが、年齢とともにその割合は減少し、成人に達するまでに10~20%の割合となり、高齢者になると5%以下に減少してしまうとされています。実は、善玉菌を増やそうとプロバイオティクスを摂取しても、そのほとんどは、すでに存在している腸内細菌との縄張り争いに勝てずに定着しないまま素通りしてしまうことがわかってきました。したがって、プロバイオティクスの持つ様々な効能は、その菌体成分や菌が産生する成分が腸管内を通過する際の作用によるものと考えられます。実際、一部の死菌であっても、その菌体成分が免疫を活性化させる作用があることがわかっています。プロバイオティクスは根気よく継続して摂取することが大切だということです。

●特定保健用食品と機能性表示食品
プロバイオティクス以外にも様々な食品が出回っていますが、その食品の健康に対する信用性の格付けがあり、それが特定保健用食品(いわゆるトクホ)や機能性表示食品です。前者は人を対象とした試験で有効性や安全性が確認され科学的根拠があり、消費者庁の審査で認可を受けた食品で、後者は消費者庁の審査を受けていないものの、科学的な根拠が示されているものです。したがって、どんな作用で特定保健用食品や機能性表示食品の扱いになっているのか、消費者が食品を選ぶ際の一つの目安になると思います。

●感染症の予防効果があるプロバイオティクス
二重盲検ランダム化比較試験という最も信用度の高い臨床研究で、風邪、上気道炎、インフルエンザのいずれかにおいて、単独で予防効果が認められた乳酸菌、またはビフィズス菌を調べてみました。ここに示すのは英文にして報告されているものだけです。
このうち、●で印をつけたものが、日本で売られているもので、菌名の下に主なメーカーとヨーグルト(乳製品)名を載せてあります。

●ビフィドバクテリウム ロンガムBB536
→森永 ビヒダスヨーグルトBB536(この他にも森永乳業製品が多い)トクホです
〇ビフィドバクテリウム ビフィダムR0071
〇ラクトバチルス カゼイDN-11401
〇ラクトバチルス パラカゼイCBAL74
〇ラクトバチルス パラカゼイN1115
●ラクトバチルス カゼイシロタ
→ヤクルト(この他にもヤクルト製品の独壇場)トクホです
●ラクトバチルス ブルガーリクスOLL1073-R
→明治 プロビオヨーグルトR-1(この他にもR-1製品は明治だけ)
〇ラクトバチルス プランタラムDR7
●ラクトバチルス ラムノーサスGG
→タカナシ乳業 タカナシドリンクヨーグルトおなかへGO(この他にもタカナシ乳業製品が多い)トクホです
〇ラクトバチルス ファーメンタムVRI003
〇ラクトバチルス ファーメンタムCECT5716

ビフィドバクテリウムというのはビフィズス菌のことで、ラクトバチルスというのは乳酸菌のことです。それぞれたくさんの菌名がある上に、菌種ごとに記号のようなアルファベットや数字がつけられてさらに細分化されているので大変わかりにくいですね。

今話題のプラズマ乳酸菌は、英文の臨床研究を見つけることができませんでしたが、もし知っている方がいらしたら教えて下さると幸いです。

これ以外にも、複数の組み合わせで予防効果が示されていたり、マウスなど動物実験レベルで免疫機能を活性化することが示されているプロバイオティクスもあります。人によって好みや求める効能が違ってくると思いますので、難しく考えずに、自分に合ったものを選んで継続して摂取することが大切だと思います。

次回は、善玉菌の働きを助けるプレバイオティクスについて書きたいと思います。

この記事を書いたプロ

星野智祥

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星野智祥(仙台在宅支援たいようクリニック)

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