先日は「とりつくしま」を拝聴させて頂き、誠に有難う御座いました。
どの作品も映像が目に浮かぶようで、実に素晴らしかったです。

朗読は、読み手の語り、表情、わずかな身体の動きで表現するので、
聴き手の想像力と一体になり成立する　という事を痛感いたします。

8つのストーリーは、人間の根底にある「欲」を露出していたと感じます。
命が無くなってからも、見たい・聞きたい・触れたい・嗅ぎたい等、
五感を満たしたい。

会いたい・伝えたい・安心したい等、自己実現や夢をかなえたい等
どれもかなわぬ欲であるところに、虚しさや無力感を感じますが、
いずれ、受け入れて行く過程に「とりつくしま」の存在意義が
あるのだと思いました。

「とりつくしま」として、様々な品物が死者側から取り上げられましたが、
私達命ある者も、物に込められた人格（作った人、使用した人）を尊重し、
感謝の念を持って使わせて頂く姿勢が大切だと思いました。
物は、彼の岸とこの岸の接するところに存在するのだと思います。