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杉村基樹

保育施設を対象とした人材育成のプロ

杉村基樹(すぎむらもとき) / 人材育成コンサルタント

株式会社ネクサス

コラム

保育園のリーダー育成がなぜ大切なのか|現場を任せられるミドルリーダーの存在がチームを強くする

2022年8月3日 公開 / 2022年8月5日更新

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 人材育成 研修組織開発組織マネジメント

今回のコラムのテーマはリーダー育成についてです。

頼れるリーダー職員が欲しい…そう話す園長先生によくお会いします。

経験もスキルもある保育士をリーダーに任命したら「なぜ私がリーダーなんですか!?」と反発されたり、反対にリーダーを任せたはいいいけど、結局自分が不安で手も口も出してしまったりと、なかなか思うようにはいかないですよね。
結果、園長自身が仕事を抱え込んで業務を停滞させてしまう…なんてこともあります。

組織が大きければ大きいほど、自ら考えて動けるリーダーの存在は大きいものです。
組織運営が複雑になってい現代社会では、保育園にもリーダーを育成することの重要性が増しています。

近年、キャリアアップ研修においてマネジメント分野が取り入れられるようになりましたが、それだけではまだまだ不十分です。


名選手必ずしも名監督にあらず!優れた保育者がリーダーとして活躍するために必要なこと


古くから言われるように、名選手が必ずしも名監督や名コーチになれるとは限りません。
保育士として優秀だからといって、リーダーとしてチームを上手にまとめられるわけではないのです。

理由はシンプルです。
それは、保育スキルとマネジメントスキルは別の種類の能力だからです。

なんとなく、保育経験が長ければ後輩も指導できるだろう…とか、チームをまとめるぐらいできるだろうと思ってしまいがちですが、そこには保育と異質の能力が求められるので簡単にはいきません。

私はコラムのテーマを考えるときに、どんなキーワードがよく検索されているのかを調べてみることがあるのですが、「保育士 リーダー」と入れると「向いてない」とか「やりたくない」といったワードがヒットして、仕事柄とても残念な気持ちになりました。

誰にリーダーを任せようかと職員の顔を思い浮かべると、○○さんは向いている、向いていない、という感覚的なところで片付けられることが多いのですが、職員はマネジメントスキルを学習する機会がないままいきなりリーダーを任せられる身にもなって欲しい…そう思っているかも知れません。
実際のところリーダーとして役割を全うするためには、それなりの準備が必要だと思うのです。

言い方を変えると、多少適性の合う合わないがあるにせよ、きちんと準備運動ができていれば誰でもリーダーの役割を担えるはずです。

では、リーダーという役割がなぜ職員からネガティブな感情を引き出してしまうのか、保育園におけるリーダー育成の課題から考えてみたいと思います。


■リーダー育成の課題

●リーダーシップに対する誤解
人の上に立ってチームを引っ張る、的確に指示を出しチームを統率するー。
従来のリーダーのイメージはこうではないでしょうか。しかし、価値観の多様化した現代では、このような「統率型」のリーダー像よりも、個々の職員の持ち味や連携を引き出す「協調型」の重要性が増しています。
ステレオタイプな古いあるべきリーダー像は通用しなくなっています。このようなものの見方が「向いていない」という決めつけにつながっていることも無視できません。

●リーダーの役割が曖昧
「○○さん、リーダーをお願いするからよろしくね」と言われたものの、さてリーダーはどんな役割なのか言葉で説明できるでしょうか?皆さんはどのような行動を期待しているのでしょう?
ひとくちにリーダーと言っても解釈は人によって違います。もしきちんと説明したことがないなと思われたなら、皆さんの保育園におけるリーダーの役割を整理してみると良いでしょう。
最近では処遇改善における専門リーダーや職務分野別リーダーのような役割も、定義が曖昧で形骸化しています。
それから任命の仕方も雑になっていませんか。本人が役割を理解し、前向きに取り組めるような任命の仕方が必要ではないでしょうか。

●マネジメントスキルを学ぶ機会がない
キャリアアップ研修にマネジメント分野が設けられるなど、ミドルリーダーの育成の重要性について広く認知されるようになってきたことは良いことだと思います。しかしながら、リーダーとして学習しておきたいテーマは多岐にわたり、キャリアアップ研修だけで身につくものではありません。
マネジメント分野は知識を身につけるだけでなく実践を通してはじめて身につくものですが、だからといってリーダーになってから学べば良いのではなく、少しずつ知識と経験を積み重ねてウォームアップすることで心の準備もできるはずです。
要は、マネジメントを「できない」というより「知らない」だけなのではないでしょうか。
保育そのものの学びは当然必要ですが、組織の一員としての成長を考えると、マネジメントやコミュニケーションといった能力もバランス良く学習機会を設けていくことが大切です。

●上司が任せきれない
上司によりますが…。
リーダーを任命したはいいが、心配からついつい口を出してしまう、手を出してしまう。結果、いつの間にかリーダーは上司の言うことをやるだけの役割になってしまい、名ばかりになっている。
経験に基づいているとは言え、上司のやり方が100%正しいとは限りません。人の強みや持ち味を活かすことを考えるのであれば、腹をくくって見守ることも必要でしょう。
ただし、任せると丸投げは大違いです。リーダーが成長できるように伴走するのが上司の役割。上司はリーダーのコーチ役です。

●ロールモデルの不在
これは職場にもよりますね。
例えば保育園のリーダー達が皆辛そう、苦しそうにしていたら、誰もリーダーになりたいとは思えないでしょう。そのリーダーたちに上司や周囲のサポートがなかったらどう見えるでしょう。
イキイキと活躍するリーダーの存在があれば目標にもなりますし、前向きな気持ちでキャリアアップに取り組む職員も増えるでしょう。



リーダー育成の重要性とは。頼れるリーダーの存在が、チームを保育園を強くする


以前に比べると、保育園は保育時間が長時間化し、運営形態も大規模化、複雑化、多様化しています。当然、職員数や管理すべき業務が増えているにもかかわらず、マネジメントはそれに追いついていないように見えます。

もちろん、事業規模に合わせながら管理体制を進化させている法人もありますが、今まで園長の強いリーダーシップで職員をまとめてきた組織ほど、リーダーが育たないという問題に直面しているように感じます。

これまで上司の判断や指示に依存してきた職場では、職員が自分で判断したりすることを経験していません。つまり、一からどうするか考える機会が与えられてこなかった。いきなり判断を任せるといわれても、なかなか思うようにいかないですよね。つまり慣れていないのです。

マネジメントでは「統制範囲の限界」という考え方があります。一人のリーダーが管理出来る部下の数は6〜7名が限界で、それを越えると著しく管理能力が低下するというもの。このコラムでも何度か取り上げていました。

現代の保育園という「組織」で、園長と主任(主幹)だけでマネジメントが回らないのは明白で、頼れるリーダーの存在が保育の質の向上においてもとても重要になってきます。

組織の規模や成長過程に応じてマネジメント体制も変化させる必要があります。


保育園のリーダーに必要な能力とは?保育のスキルとマネジメントスキルは別の種類の能力


リーダーに必要な能力を、ひとつだけとりあげるとしたら、人の話を「聴ける」ことをあげておきたいと思います。

実際のところリーダーが身につけたいスキルは多岐にわたりますが、保育現場のマネジメントが人との関係をベースに成り立っていることを考えると、大前提として人に関心を持つことが必要です。

関わる職員がどんな考えを持っているのか、何が得意で何が苦手なのか、それらは一方的なコミュニケーションでは深く知ることができません。まずはリーダーに聴く姿勢があることが大切です。

保育園が、質の高い保育をするために子どもの育ちをよく知ろうとするのと同様、マネジメントは職員一人一人に関心を寄せ、どうすれば意欲的に動けるかを考えることが欠かせません。そのことがより良いマネジメントにつながるはずです。

具体的には、次のようなテーマについて学びを深めるといいでしょう。

  • 組織理解
  • コーチング
  • OJT
  • 動機づけ
  • チームワーク
  • ファシリテーション
  • メンタルヘルス
  • 感情コントロール
  • 問題解決力
  • リーダーシップ ……等


一度に全ての知識を身につけるのは大変なのですが、スモールステップで学んでいけば大丈夫。
とくに後輩指導では保育の考え方と似ているところがあるので、理屈がわかれば一般企業のリーダーよりも理解が早いはずです。
それに保育の専門性が加われば鬼に金棒ですね。


保育園におけるリーダー育成はこうする!中長期的な視点で計画的なリーダーをすることが大切


これまで保育園では、ある程度経験を積むと、いきなりリーダーを任せられることが多かったのではないでしょうか。

そして、任せられた方は、リーダーって何をすればいいの?私、リーダーなんて向いてない!と感じたり、反対に力が入りすぎて空回りしてしまったりするなんてことも…。

リーダーとしての能力は、保育のスキルとは種類が異なるものであり、一朝一夕で身につくものでもありません。

上司である皆さんが、良い保育をする職員がリーダーとしても活躍して欲しい。
その優れた保育を後輩たちにも教えて欲しい…そう思うのであれば、そうなれるような環境を整えることが大切ではないでしょうか。
皆さんにとっても、保育園というチームにとっても大切な人材ですから。

次の点に留意してください。

●リーダーになるまでのキャリアパスを考える


リーダーとして成長するためのキャリアパスを考えてみましょう。
その上で、どのような学びや経験を積み重ねていくことがキャリアアップに有効なのか、職員が成長できるような学習機会を組織として設けるなど支援の体制を考えることをオススメします。

スモールステップで取り組むことで、自然にリーダーとしての自信がつくような環境づくりを考えたいところです。


●リーダーは「チーム」で育成する


リーダーは「リーダーチーム」としての育成を考えましょう。

どういうことかというと、○○さんという個人をリーダーとして育てるよりも、経験やスキルの似かよった複数名の人材をリーダーチームとして育成することです。
女性が多い保育園という職場では、ライフイベントによる退職も一般企業より多いはずです。個に頼りすぎているといざという時に困ります。

また、同じ立場で学ぶメンバーがいたほうが心強いですし、結束も生まれるでしょう。


●さいごに


さて、今回はリーダー育成についてお伝えしてきました。

運営が複雑化している現代の保育園では、任せられるリーダーの存在がチームを強くします。
ただし、リーダーになることばかりが保育士のキャリアパスではありません。より専門性高める道があってもいいでしょう。そのような人材も必要です。

リーダーになるかどうかは別としても、マネジメントについて学んだ人材が多くいたほう方が、リーダーをサポートしてくれるチームになれるように思いますね。
それはリーダーの仕事でしょ…なんて線を引かれたら悲しいですから。

では、また次回のコラムでお会いしましょう!

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この記事を書いたプロ

杉村基樹

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