マイベストプロ宮城
  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ宮城
  3. 宮城のビジネス
  4. 宮城の人材育成・社員研修
  5. 杉村基樹
  6. コラム一覧
  7. 職員数が増えたら・施設数が増えたら|保育園における組織マネジメント
杉村基樹

保育施設を対象とした人材育成のプロ

杉村基樹(すぎむらもとき) / 人材育成コンサルタント

株式会社ネクサス

コラム

職員数が増えたら・施設数が増えたら|保育園における組織マネジメント

2022年6月24日

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 人材育成 研修組織マネジメント

今回のコラムは、保育園における「マネジメント」をテーマにお話しします。

ご存じの通り、2017年に保育士の処遇改善とあわせてキャリアアップ研修がスタートしました。
キャリアアップ研修8分野のひとつに「マネジメント」が設けられるなど、保育分野においてもその重要性が認識されるようになってきたと感じています。

ところで、「マネジメント」とは何なのでしょう?

言葉の意味としては「経営」または「管理」です。それを担う人を「マネージャー」と言います。保育園の場合、園長や主任はもちろんですが、未満児リーダーのような立場の人もマネージャーと言えるでしょう。

厳密にはリーダーとマネージャーは意味合いが異なりますが、日本ではほとんど似たものとして扱われることが多いようですね。今回はマネージャー(=管理者)と記すことにします。

では、マネージャーの役割は何でしょう。

それは、「ヒト・モノ・カネなどの経営資源を効果的に活用し、仕事の成果創出に責任を持つ」立場と表現されます。何か難しいですね…。

もう少しわかりやすく保育現場におきかえて表現すると、「関わる職員や保育環境を最大限活かしながら、理想とする保育の実現に向けて、保育の質の向上と子どもの安全に責任を持つ」という感じですね。

そして、それを遂行するためにはマネジメント能力の習得が必要です。

具体的にどんな種類の能力が求められるかについては別の機会にお話ししようと思っていますので、今回は現代の保育園におけるマネジメントについてもう少し掘り下げてみましょう。


マネジメントが法人や保育園の規模にマッチしているか


なぜ今、マネジメントに関心が集まるようになったのでしょう。

近年、保育ニーズの高まりから、対策として全国の保育施設は一法人複数施設化、小規模保育施設の開園等、多種多様な運営形態が混在する市場に変化しました。

コラムを読んでいただいている方の中にも、行政からの要請や地域ニーズに応えるかたちで定員を増やしたり、姉妹園を開設したり、あるいは他の地域や首都圏に進出するなど組織形態が大きく変化した法人もたくさんあると思います。

組織形態が変化すれば、当然ながら組織運営が複雑化します。

本当なら、組織の規模に合わせて人材マネジメントも組織運営の方法も変えていかなければならないのですが、規模の拡大に組織の「仕組み」が追いつかないことがあります。

自転車ならハンドルとブレーキがあれば走れますが、自動車ではウインカーや計器類が必要ですよね?それなのに自転車の装備のままで運転しようとしている…。さらにジェット機クラスになるとたくさんのスイッチやら計器類がないと安全に飛行できませんよね?

私は操縦したことありませんが、スタートアップ企業のバタバタを経験しているのでその感覚がよくわかります。

全てではありませんが、保育園における組織運営上の問題は、仕組みと組織規模のバランスが取れていないことが原因であることも多いように感じています。

保育園がひとつだけの単独施設なら園長の鶴の一声とフェイス・ツゥー・フェイスのコミュニケーションで何とかなっていたかも知れませんが、複数施設になれば目が行き届かなくなるのは当然です。

マネジメントでは「統制範囲の限界」という考え方があります。

どんなに優秀なマネージャーでも、管理する部下の数が6〜7名を越えると管理能力が低下するというものですが、それを考えると単独施設であったとしても、保育士をはじめとした職員の数が増えればマネジメントできる限界を超えてしまいますから、権限を委譲していかないと仕事が回らなくなってしまいます。

さて、このことによってどんな問題が起こるのでしょう?


組織が大きくなる過程で発生する問題は、保育園も会社も同じ


●理念や価値観の共有が難しくなる

同じ法人で、同じ保育を目指していたつもりが、時間がたつとズレてきます。
結果として、目指す保育だけでなく、人材育成の方針や組織風土的なことも含め、園ごとの違いが目立つようになります。

もちろん理念や方針は掲げているのですが、それを体現するのは人ですから、浸透させることを怠ると、園らしさはあっという間に薄まってしまい個人商店化してしまいます。
例えば全国に出店しているカフェであれば、提供する商品だけでなくお店の雰囲気もスタッフの対応もブランドで統一されたものがありますよね。

園ごとに特徴を出すという考え方もあると思うので絶対に解決すべき問題だとは言いません。しかし、組織づくりの悩みやご相談で園長先生から話をお聞きすると、理念や方針については施設が増えても統一したいという方が多いように感じています。

●職員同士でお互いの仕事が見えにくくなる。

複数施設になれば物理的にお互いの仕事が見えないというのは当然です。ただ、それだけでなく1つの施設内であっても保育時間が長時間化したことでシフトにより職員同士が会話を交わすことなく一日を過ごすことも日常ですよね。

結果、情報共有がうまくいかず特定の人だけが知っている、知らないという状況が生まれがちです。長時間をカバーするためパート職員も増えているので、全員参加で職員会議というのも現実的には難しい。そのような悩みを抱える保育園は多いのではないでしょうか。

要はコミュニケーション不足なのですが、組織に起きる問題のほとんどはコミュニケーションに起因するとも言われています。
組織におけるコミュニケーションは人の体で言えば血液のようなものであり、血の巡りが悪くなるとあちこちに問題が起きるのは、人間の体も組織も同じですね。

これらの課題を解決するために、どのようなことを考える必要があるでしょう。
次に、取り組むべきポイントを3つにまとめてみました。


保育園における組織マネジメントのこれから|3つのポイント


明確な方向付け
方向付けは組織マネジメントで最初に考えなければならないことです。
集団と組織の違いは、共通の目的・目標があるかどうか。目指す方向が明確であれば、人は迷いません。どこに向かえばいいのかが明確なら頑張る方向もベクトルがそろいます。
そもそも保育士一人一人は「自分なりに」頑張っているはずです。 理念や目標、ビジョンなど、皆さんの保育園における仕事上のコンパスは、わかりやすく言語化されているでしょうか?
そして腹に落ちるかたちで保育士をはじめとする職員全員に共有されているでしょうか?
保育や仕事をする上での判断基準として活かされているでしょうか?


情報共有の仕組み
良い組織には、良いコミュニケーションがあります。
今まではともかく、これからは保育園におけるコミュニケーションと情報共有の在り方を見直す必要があるでしょう。
複数施設の場合はもちろんですが、同じ保育園で働く保育士同士であっても、シフトの都合で顔を合わせる機会が限られる現状では、会議や対面でのコミュニケーションだけで情報共有を図ることには無理がありますよね。
ICT等を活用した非対面かつ非同期のコミュニケーションも上手に活用しながら、コミュニケーション不足を補っていく必要があります。そのためには、保育士1人1台、タブレットやスマートフォンなどの専用端末を持つことも考えないといけませんね。まだまだ苦手意識が根強いようですが…。

人材育成の仕組み
以前は、新人が先輩の背中を見て、真似て、保育を学んでいました。私もそうでした。しかし、現代ではそれが機能しないことはお気づきだと思います。そもそも、それは育成とは言えないと思うのですがいかがでしょう?
理想とする保育を実現するために、保育士それぞれに必要な能力や期待する役割を明示し、意欲的に動いてもらう必要があります。
ヒトは気分や体調で発揮される能力も変わってきます。指導や動機づけ次第で大きく伸びもするし、伸び悩みもする。可能性を秘めた存在です。

組織が大きくなればなるほど、指導的立場のリーダー職員の育成やキャリアパス制度など、成り行き任せではない人材育成の仕組みを整える必要があります。
子どもの保育が、子どもの発達や保育計画に基づいて行われるように、人材育成も目指す保育者像に近づくための計画が必要です。

近年は保育士不足が続いていたこともあり、採用において保育観など組織の考え方に合うか合わないかは二の次で、人数が優先されてきました。だからこそ、計画的な人材育成が重要なのではないでしょうか。


以上、今回は組織が大きくなることで起こる問題と、組織マネジメントについてお話ししました。
子どもを育む保育園が、子どもを育む人を育む職場になれると信じます。

また、次回のコラムでお会いしましょう!

こちらもご覧ください↓↓↓
☆保育園の経営者向けお役立ちコラム
☆保育園の人材育成をサポート|株式会社ネクサスのHP

この記事を書いたプロ

杉村基樹

保育施設を対象とした人材育成のプロ

杉村基樹(株式会社ネクサス)

Share

杉村基樹プロのコンテンツ