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杉村基樹

保育施設を対象とした人材育成のプロ

杉村基樹(すぎむらもとき) / 人材育成コンサルタント

株式会社ネクサス

コラム

保育園における人材育成|効果的な学習プロセスを考える。ブレンディットラーニングとは?

2022年6月17日

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 人材育成 研修組織マネジメント

ブレンディットラーニングという言葉を聞いたことがありますか?

ブレンディットラーニングとは、複数の方法をブレンドして(=組み合わせて)行う学習方法のことを指します。

コロナ禍以降、学校の授業や企業研修では、対面からオンラインに切り替わるなど学ぶ方法が変化しました。オンラインになることで不自由な面もあれば、全く問題がないとか、むしろ効率的だという意見もあるようです。

しかし大切なのは、どちらが優れているかを考えることではなく、効果的な学習のためにはどのような方法が適切なのかを改めて考えてみることではないでしょうか?

保育園の場合、学習とは「研修」を思い浮かべることが多いかも知れませんが、講師が「情報を伝える」ことは学習の一部分でしかありません。

様々な学習方法がもつ利点を活かして、相互に補完し合いながら学びのプロセスを組み立てることが必要です。


ブレンディットラーニング|保育士の育成を考える


さて、ブレンディットラーニングにはどんなメリットがあるのでしょうか?
これには大きく分けて2つあります。

1.保育現場にかかる負担が減る


学習の全てを外部研修で行おうとすると、時間を確保するのが難しかったり、限られた職員しか参加させることが難しかったりと、現場への負担が大きくなります。

学習プロセスの一部だけを外部研修にし、前後のプロセスは別の方法を組み合わせるなど工夫すれば、業務との両立も図りやすいはず。

このことにより、経費の削減につながったり、普段研修を受ける機会が少ない職員にも学習機会を提供することができるでしょう。

2.効果的に保育園の人材育成ができる

保育士あるいはその他の職種を含めた職員のスキルアップを考える上で、あるテーマを学ぶための学習方法は1つではありません。

効果的な学習を実現するためのポイントは、テーマに合わせた適切な学習方法を選択すること。

また、それは単発の学習ではなく、複数の方法を組み合わせること、つまりブレンドすることが大切です。

効果的な学習プロセスを設計するために、次の点に気を配る必要があります。

1.学習の目的を明確にする

・何のために学ぶのか
・なぜそれが(自分に)必要なのか
・学習のゴールはどこか


これらを明確にし、学習者である保育士をはじめとした職員自身が理解していることが大切です。

研修会の受講動機でよく聞かれるのが、「上司から行くように言われて参加しました」したという声。

これだと目的も必要性が理解できないし、何を期待されているのかもわからない状態。主体的に学ぼうという意欲も湧きにくいです。

2.学習方法の特徴を理解する

学習方法には様々な形態が存在します。

集合研修に参加することもあれば、課題図書を読んでレポートを提出することもあるでしょう。最近では、動画を視聴したり、オンライン研修に参加することも多いのではないでしょうか。

また、保育現場におけるOJTや公開保育、行事の責任者を担当するなどということも学習の一形態になり得ます。

どれが優れているかではなく、それぞれに特徴があり得意不得意がありますから、「学習内容」と「学習段階」に合わせて適切な方法を選択することがポイントです。

学校の勉強であれば、予習をして授業に臨み、そして復習するというのはみなさんよく知っている学習プロセスではないでしょうか。そして試験には学習の効果測定という目的がある。

そのようにプロセスとしての人材育成を考えてみてはいかがでしょう。

皆さんが「リーダー保育士」に期待する能力には、具体的にどんなものがありますか?
それを身につけるためにどんな学習方法が効果的だと思いますか?
その課題は研修だけで解決できるものですか?

3.学習プロセスに一貫性を持たせる
学習を効果的に進めていくためには、学習プロセスに一貫性を持たせる必要があります。
各段階で伝える内容が違ったり、筋が通っていなかったり、発するメッセージに一貫性がないと学習者は混乱します。
また、学習した内容を現場で活用するために、必要な知識や情報が抜け落ちていないことも大切です。
入口から出口まで、一貫性をもった学習の流れを検討し、知識が知識で終わらないようにましょう。


研修だけではないさまざまな学習方法|保育現場への負担を減らす


ここまで述べてきたように、学習方法には様々な種類があります。
特徴がわかりやすいように、いくつかの軸で分けて考えてみたいと思います。

■インプット/アウトプット
学習では、知識を取り入れる(インプット)ことと、考えを言葉にしたり、応用する(アウトプット)ことの2つの方法があります。

インプットなら、
・講師の話を聞く
・課題図書を読む
・動画視聴する…など

アウトプットなら、
・職場で実践する
・ロールプレイする
・ディスカッションする
・レポートを書く
・テストを受ける…など

繰り返しますが、どれが優れているかではなく、学習内容と学習段階に合わせて適切な方法を組み合わせることが大切です。

例えば、コーチングスキルを身につけるために、まずコーチングとは何かについて知識をつけることは最初の段階で必要かもしれません。

では、コーチングの参考書を読んだらコミュニケーションが上手になるかといえば…それは無理な話しですよね?

車の運転と同じように、実際に何度も繰り返しやってみないと上手にはなりませんし、やってみた内容を振り返ったり、他者からのフィードバックをもらったりすることも必要でしょう。

■リアル(対面)/オンライン(非対面)
集合研修であれグループディスカッションであれ、リアル(対面)の良いところは、その場の雰囲気やエネルギーを直に感じられるところでしょう。

講師や周りの参加者にその場で質問したりできることも大きな強みです。自然発生的な会話から、学習内容以外のことで情報交換できたりすることもあると思います。それも含めた「体験」としての価値はオンラインが普及した現在においてとても大きい。

デメリットとしては、保育現場への負担が大きいことでしょうか。会場まで端を運ぶ必要がありますし、保育士不足のなかシフトのやり繰りを考える必要もありますし、時間帯も限られるので参加できない職員もいます。会場が遠かったらお金もかかりますよね。

しかし、わざわざ足を運ぶからこそ参加者はスイッチが入るし、メリハリがつくとも言えますね。

一方、オンライン(非対面)はどうか。
オンライン(非対面)にも様々な方法があります。

リモート会議ツールを使い、一方的に講師の話を聞くものもあれば、集合研修と同じようにグループディスカッションなど双方向のやり取りを取り入れる実施スタイルもあります。

また、投票やチャットなどから結果を視覚化するなどアクティブな実施方法を採る場合もあります。こういうオンラインでしかできないことがあるのも事実。

しかし、雰囲気を肌で感じるとか、そういう部分はリアルと比較すると物足りなさもあります。オンラインがこれだけ普及しても、非対面で身につけるのが難しいテーマも確かにありますよね。

オンラインが圧倒的に優れているのは、手軽さじゃないでしょうか。園に居ながらにして、研修に参加でき、終わったら保育に戻れるのは少し前では考えられなかったことです。

■双方向型/受動型
双方向型とは、ディスカッションに代表されるような、講師や参加者同士でのやり取りが発生するような学習スタイルのこと。

双方向型では、扱うテーマが同じでも、参加者などその時の状況によって動的に中味が変化します。参加者が相互に言葉をやり取りすることができるのが特徴であり、一般的には参加意欲は高まります。

そしてデメリットと言っていいのかどうかわかりませんが、動的に内容が変化するため、毎回同じ進行にはならないことが考えられ、内容の平準化が保証しにくいところがあります。その場限りのライブです。

一方、受動型とは、本を読む、講演を聞く、動画視聴をするなど、一方向で情報を受けとる学習スタイルです。

これは知識のインプットに適していますが、学習者は受け身になるため意欲が高まりにくいという問題もあります。オンラインの研修はモチベーションが高まらないというのは、たいていの場合これが原因ではないでしょうか。

●同期/非同期
同期とは、例えばマンツーマンで対話するとか、講師から質問して参加者がその質問にその場で答えるとか、グループディスカッションとか、リアル/オンライン関係なく、その時その場でやり取りされる状態を指します。

一方、非同期とは、事前に課題を出しておき、後日回答するなど、タイミングがずれる状態。

電話とメールの違いといえばわかりやすいでしょう。電話はその時ですが、メールは一旦読んでから返信。場合によっては次の日まで考えてから返信したりしますよね。これが非同期です。

どちらが優れているかではなく、自分の考えをしっかりまとめてからアウトプットした方がいいこともあれば、コミュニケーションスキルにおけるロールプレイのようにリアルタイムでなければ成り立たないものもあります。

動画視聴のような非同期コンテンツの特徴は、同じ内容を幅広い対象に、いつでも、どこでも、何人でも、講師を必要とせず提供できることが最大のメリットです。

つまり学習体験に一貫性が保たれるわけです。提供する側も、一度つくれば繰り返し利用できます。


目指すゴールは保育士ひとりひとりの成長


ブレンディットラーニングは「集合研修」のような一場面だけの単発の学習ではありません。

ですから、例えば次の研修の前にテキストに目を通しておくとか、職場で実施に試してレポートを書いてくるとか、連続した学習プログラムとして設計されます。私たちも、このような流れを意識して保育園の研修プログラムを設計しています。

これらのいいところは、学習にリズムがつくことですね。
自律的に学習プロセスを回していくために、次回までに何をするという期限があることはとても重要です。

「研修は受けっぱなしで、身についたのか身についていないのかわからない」
「研修動画を視聴できるようにシステム導入したけれど、見ている様子がない」

なんてことはないですか?
学習者が主体的に学ぶためには、学ぶことを習慣化するための工夫と仕掛けが大切です。
これまで、学習方法は学習者の好みに合わせて設計するべきだと信じられてきました。視覚的な教材のほうが合うとか、実際に手を動かす方がいいとか、保育士にはこの方法が合うとか。

しかし、心理学における調査によると、学習内容の定着と提供方法の間には、ほとんど相関関係が見られなかったということです。

大切なのは、学習者の好みに合わせるのではなく、学習するテーマによって学ぶ方法を変えることの方が重要だということなのです。

例えば、コラムを読んでくださっている皆さんの保育園の新人保育士の育成。
入職から一年目を終えるまで、どのような学習を積み重ねるとうまくいくのでしょうか?


保育士の主体的な学びを促進する|学びを自分事として捉える


最後に、主体的な学習を促進するためのポイントをお伝えします。


■学習の原則|何が学習を促進するか


1.学習や能力開発について自分の立てた計画に沿っているときに学習する
まず、自分事になっているかどうかということです。
自分が何を期待されているのかを理解しており、それを踏まえた自分の目標やと計画に学習内容が必要なものであればあるほど学習が促進されます。
反対に、上から与えられただけ、指示されたからという理由だと学びは深まらない。

2.自分のパフォーマンスを改善するために行動と振り返りを通して学習する
人は経験を通じて成長します。しかし、経験するだけでは不十分で、振り返りを通じて気づきを得て、次の経験に活かすという繰り返しが必要です。
研修もただ受ければ良いというわけではなく、復習したり、実践したりという繰り返しが学習を深めます。

3.単に解決策を聞くのではなく、自ら問題に挑んだときに学習する
誰でも最初から答えを聞いたほうが楽です。
しかし、その回答は自分の出した答えではありませんし、なぜその答えなのかという理由もわからないままでしょう。みずから探求するというプロセスが学習を深めます。
ナビの指示通りに運転した道は覚えていないのと同じです。

4.自分が気にかけているテーマに関連しているときに学習する
学習者が直面している問題、興味や関心、解決すべき課題…など、自分が気にかけているテーマにはアンテナが敏感に反応します。
このようなテーマに取り組めば学習はより深まるでしょう。


いかがでしたでしょうか。

今回は少々専門的な内容だったかもしれませんが、法人の研修やキャリアパス設計に係わる、経営者、管理者の方、そして人事担当の方の参考になればと思います。
どうしたらスキルアップできるのかを、ゴールから逆算して考えてみると、研修だけでなく、皆さんの保育園らしい面白い方法が浮かぶかも知れません。

最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回のコラムでお会いしましょう。

こちらもご覧ください↓↓↓
☆保育園の経営者向けお役立ちコラム
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この記事を書いたプロ

杉村基樹

保育施設を対象とした人材育成のプロ

杉村基樹(株式会社ネクサス)

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