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コラム

家計における「住居費」の考え方

2020年8月23日

テーマ:家計管理

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: ライフプラン 相談

「家賃は収入の3割以内が目安」
「住宅ローンの返済額は年収の3割以内におさえるべき」

こういった言葉を耳にしたことはないでしょうか。
一般論としては問題のない考え方でしょうが、これを杓子定規として利用するのは望ましくありません。

「収入」や「年収」といった基準が「額面」なのか「手取り」なのかによって数字が大きく変わるということもありますが、それ以外にも見落としが発生するケースがあります。

具体例を用いて比較してみましょう。
(金額は全て手取り額とします)


①月収:20万円
 ボーナス:30万円×2回/年
 年収:300万円

②月収:40万円
 ボーナス:80万円×2回/年
 年収:640万円

③月収:50万円
 ボーナス:なし
 年収:600万円


それぞれ、
・月収の3割
・年収の3割(カッコ内、月額換算)
を表すと以下のようになります。


月収の3割:6万円
年収の3割:90万円(月額換算:7.5万円)


月収の3割:12万円
年収の3割:192万円(月額換算:16万円)


月収の3割:15万円
年収の3割:180万円(月額換算:15万円)


ボーナスの有無や金額によって、年収ベースと月収ベースで3割のラインが変わるのは当然ですね。

今度は、上記の「3割」を除いた残りの金額を明示してみましょう。


月収の残高:14万円
年収の残高:210万円(月額換算:17.5万円)


月収の残高:28万円
年収の残高:448万円(月額換算:37.3万円)


月収の残高:35万円
年収の残高:420万円(月額換算:35万円)

これもごく当然ですが、それぞれ「7割」の金額が残高となります。

さて、ここからが重要なポイントです。

手取り収入(=可処分所得)の振り分けとして、「住居費」以外にも必須項目があるはずです。
例えば、
・食費
・水道光熱費
・通信費
・被服費
・教育費
・保険料
・小遣い

など、それぞれの生活スタイルによって金額の多寡も項目の要・不要も異なるでしょうが、住居費以外にどういったお金がどれくらい必要かということを考えなければなりません。
また、長期的な視点に立つと、毎月の収入から、もしくは年間の収入から貯蓄をする必要も出てくるのではないでしょうか。

これを先ほどの具体例に当てはめてみましょう。


食費:4万
水道光熱費:1.5万
通信費:1万
被服費:1万
教育費:2万
保険料:0.5万
小遣い:2万
貯蓄:2万

小計:14万円

住居費が月収の3割(6万)とすると、月間収支はプラスマイナス0、年間では60万円プラスとなります(=ボーナスは手つかず)。
住居費が年収の3割(7.5万)とすると、月間収支はマイナス1.5万、年間では42万円プラスとなります。
毎月の貯蓄と年間の収支を合わせると、前者は84万円、後者は66万円の貯蓄増ということです。

では、次のパターンはどうでしょうか。


食費:8万
水道光熱費:3万
通信費:3万
被服費:3万
教育費:6万
保険料:4万
小遣い:6万
貯蓄:0万

小計:33万円

住居費が月収の3割(12万)とすると、月間収支はマイナス5、年間では100万円プラスとなります。
住居費が年収の3割(16万)とすると、月間収支はマイナス9万、年間では52万円プラスとなります。
毎月の貯蓄はありませんので、前者は100万円、後者は52万円の貯蓄増ということです。



食費:8万
水道光熱費:3万
通信費:3万
被服費:3万
教育費:8万
保険料:6万
小遣い:5万
貯蓄:0万

小計:36万円

このパターンはボーナスなしなので年収ベースも月収ベースも同じでしたね。
つまり、住居費が収入の3割(15万)とすると、月間収支はマイナス1万、年間でマイナス12万となります。
毎月の貯蓄もできていませんので年間収支は12万円の赤字です。


さて、3パターンご覧いただきましたが、いかがでしょうか。
①②のように年間収支がプラスであればとりあえずは問題ないように見えます。
しかし、①のパターンは月間収支をプラスマイナスゼロにするために「無理やり」生活費を切り詰めているのかもしれません。また、年間の貯蓄増が長期的な資金計画(教育資金や老後資金など)に十分な金額かどうかもわかりません。

反対に、表面的には③のような赤字の状態は健全な家計とは言えないでしょう。
③のパターンで年間収支の黒字化を目指すのであれば、食費などのコストを月1万円切り詰めるという方法もありますが、住居費を14万円にすればその他の項目は維持できますし、13万円まで下げれば貯蓄に回すことも可能です。
ただ、この赤字状態が一過性のもの(例えばこの数年だけ教育費負担が著しく増えている、など)であれば、それほど過敏になる必要はないかもしれません。

つまり、

1、長期的な視点での資金計画(ライフプランニング)
2、単年度の収支管理

の両面から適正な家計を考える必要があります。
そうすることで、

「住居費が収入の何割であれば適正か」

というよりは、

「自分の家計にとって、住居費として負担できる金額はいくらか」

と考える方がより重要であることが分かるでしょう。

結果的にそれが3割程度の金額に落ち着くかもしれませんし、もっと低い金額になるかもしれません。反対に、余裕があればそれ以上の負担に耐えられるケースもあるでしょう。
これも単年度でのみ考えるのではなく、長期的な視点で見ることが肝心です。

この記事を書いたプロ

田中裕晃

夢のマイホーム購入を支援する家計改善のプロ

田中裕晃(大峰FP事務所)

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