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田中裕晃

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田中裕晃(たなかひろあき)

大峰FP事務所

コラム

不動産を相続したとき考えること③

相続

2018年6月19日

前回は「空き家にしておく」ケースの問題点を、事例をもとに紹介しました。

今回は別の事例を使って、「1-3 空き家にしておく」から「2 売却する」への転機について考えてみましょう。

相談事例は、下記のようなものです。

「将来的に自分たちが利用することもないから、いずれ売却しようと考えている。ついては、一番いい時期(高く売れる時期)に売却したいが、いつがいいか?」

相続が起こってからしばらくそのままにしておいた土地建物を持つ方が、何かのきっかけでこういう相談に来られることがあります。「1-3 空き家にしておく」の位置に居ながらも、いずれはアクションを起こさないといけないと考えているのでしょう。相談に来るか来ないかは別として、潜在的にこのポジションにいる人は多いでしょう。

さて、質問の内容は明確で、相談者の気持ちはよく分かります。至極当然な話です。しかし、答えようがないことも事実です。

「「この株は絶対に上がります」と言う人がいたら、その人は詐欺師です」という回答をします。

株も不動産も同じく、将来の値動きは分かりません。様々な要素から未来予測をすることは可能でしょうが、予測の当たりはずれに責任を持つ人はいません。売却して数年後に振り返ったとき、あの時売っておいてよかったということもあれば、もうちょっと持っていたらよかったということもあるでしょう。これは結果論です。

確実に言えることは、保有期間が長い程コストがかかる、管理の手間がかかる、ということです。
また、相続した空き家の譲渡所得から3000万円を控除することができる、「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除特例(以下、空家特例)」を利用する場合は、相続開始から3年後の年末までという期限があります。

ちょっと具体的な数字で考えてみましょう。

(相続物件の概要)
・空家特例が使える物件
・年間保有コスト10万円
・取得費は不明
・長期譲渡所得に該当する物件
・売却時の登記費用は3万円と仮定


この物件が今なら4000万円で売れるとします。
すると、手取りは次のようになります。


4000万円-136.08万円(仲介手数料)-3万円(登記費用)=3860.92万円(売却後手取り)

(3860.92万円-200万円(概算取得費)-3000万円(空家特例控除))×20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税の税率)=134.2658万円(税金)

3860.92万円-134.2658万円=3726.6542万円(税金支払い後、手取り)


となり、約3726万円手元に残ります。


これが、5年後1割アップの4400万円で売れたとしましょう。すると、


4400万円-149.04万円(仲介手数料)-3万円(登記費用)=4247.96万円(売却後手取り)

(4247.96万円-220万円(概算取得費))×20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税の税率)=818.28万円(税金)

4247.96万円-818.28万円=3429.68万円(税金支払い後、手取り)


となり、最終手取りは約3429万円です。

保有コストが5年分合計で50万円かかっていますので、実質は3379万円ということです。

仮に売値が1割上がったとしても、手元に残るお金は減っていることが分かります。もしも値段が現状維持だとしたら、計算過程は省きますが、最終手取りは約3117万円、保有コストを考慮すると3067万円になります。
税金はコワイですね。


このように、読めない相場を読もうとするよりは、税制面での優遇措置を利用できないか検討したり、コストを極力抑えるようにしたりと、実現可能な切り口から攻めていく方が賢明でしょう。
無論、空家特例が使えない物件で、建物の価値も償却しきっているような物件の場合、保有コスト以外の金額は(相場が変わらないという前提であれば)変わらないこともあるでしょう。こういった物件の場合、物件価格が上がったときには手取りが増えることも考えられます。
物件や自身の状況などを総合的に考えることが必要です。

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