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田中輝彦

どんな体型にも応じた服創りをする、フルオーダースーツのプロ

田中輝彦(たなかてるひこ)

お誂え洋服たなか

コラム

ドライクリーニングでは埃汚れは落とせない!

2019年6月9日 公開 / 2019年6月10日更新

テーマ:洋服のお手入れについて

洗濯の神髄 服の命守る

「愛着の一着  新品の着心地」2019年(令和元年)5月26日(日曜日)日本経済新聞朝刊に掲載されていた記事からです。
記事には、東京都練馬区のテーラー「松田茂伸氏」が洗濯技術の向上を目指す全国のクリーニング店主から「神様」と仰がれておられることが紹介されていました。
「洋服のことを知ってほしい」という思いから、高級衣料のメンテナンスを志すクリーニング店の集まり「松田塾」で表から見てわからない洋服の芯地、裏地の構造や素材の違いによる洗う水の温度、洗剤の種類に依っての生地のダメージなどなどを教えてこられました。

多くのクリーニング店は、汚れを落とすことを重点に、ドライクリーニングや水性クリーニングなどを行いますが、洋服の生地にダメージが落ちることにはほぼ関心が薄い様に感じています。
常々、私どもでも同じ考えを持っていましたので、畏敬の念を以って拝読いたしました。
メリノ種 

洋服は一部を除いてウール(羊の毛)で創られています。

その中でも、メリノ種の羊毛が最高の素材です。
縮れに富み、やわらかく、弾力性があり、肌触りも優れた風合いを醸し出しています。
縮れの汎発性でシワになりにくく、比較的早く元の状態に戻ります。
ウール
羊毛繊維は「スケール」(写真)と呼ばれるうろこ状の表皮で覆われ、湿気を吸収するが水滴は弾くと言う特性を持っています。
従って、汚れは繊維の中に入ってきません。また、吸湿性が良いので静電気は起こして、チリやほこりも吸収することは少ないです。

洋服には数多くの素材が組み合わせて創られています。

洋服(スーツ、ジャケットなど)の表地の多くはウールを使用しています。
1着のスーツ(洋服)を仕立てるのには、裏地にはポリエステルやキュプラーまたはシルクなどを使います。八刺し
芯地には粗毛、馬芯、綿スレキ、フェルトなど、その他袖裏、ポケット布、腰裏、ひざ当て、パットなど15~20種類の素材をその特性を使用目的に生かした組み合わせによって創られています。
縫製にしても、八刺し、グシ縫い、くけ縫い、いせ込み、バイヤス使いの種々の技術を駆使して行なっています。

ドライと水性(ウェット)と松田流クリーニング

洋服をクリーニングドラムの中でぐるぐる回して洗うと、せっかくきれいに立体的に仕立ててある洋服は、くちゃくちゃになるのは必然的なことです。
仕上げのプレスを丁寧にしたからと言って、ガサガサになったウールの風合いは戻ってきません。
ドライクリーニングで使われる石油溶剤は、皮脂や口紅などの油性の物は落とすのには優れてますが、泥汚れやほこりなどにはあまり効果はありません。

水性クリーニングは汗やタンパク質、埃などの汚れを落としてくれますが、いろいろな素材の組み合わせで創られている洋服は水洗いすることによって急激に縮みむことには否めません。

私どもでは「松田流」の手作業による、スーツの洗濯を試みました。
まず、芯などの構造物が乱れないように仕付けを打ち、表面の穂刈をササラで叩いて落し、洗剤の入ったバケツの中へゆっくりと繰り返し押し洗いをして汚れを落とします。洗濯が終わるとハンガーに形を整え乾燥させます。それも完全に乾燥させるのでなく半渇き程度で、重いアイロンを使い、馬と呼ばれるアイロン台の上で立体的に丁寧に仕上げを行います。
汚れも落ち、ウール本来の風合いのあるスーツに仕上がっていました。
しかし、実感として結構時間と手間のかかる洗濯でした。
アイロン掛け一つにしても、ウールや麻は高温で、裏地などのポリアステルは中低温と使い分けしなければなりません。

街のクリーニング店がこのような手の込んだ洗濯をしているのか、疑問の思うことが有ります。

ウールのスーツはクリーニングをお勧めしていません。

2017年6月30日既報
私どもではウールのスーツはクリーニングをお勧めしていません。
一部のタレントがTシャツの上に直にジャケットを着ている姿を見かけることが有りますが、一般的にはカッターシャツなどの上にジャケットを羽織っていますので、襟や袖の汚れ(皮脂汚れ)が付く事はほとんどないのではないかと思います。
ほこりや排気ガスなどの汚れもウールのスケールによって、繊維の中まで入ることも少ないのです。

ウールその物にも油分がありますので、それをドライクリーニングの石油溶剤で洗うことにより、ウールの油分(艶)を無くし、スケールの鱗も破壊することによる、ウール本来の風合いも損ない兼ねます。
箒ブラシとマジックブラシ
表面に付いた、埃汚れなどは、ブラシなどで叩くかはらう程度できれいに落ちます。
外出から帰られた時に、ブラッシングを欠かさず行うことによって、
いつまでも艶よく、風合いのあるウールのスーツを着ていただけます。
身体に添って創られているフルオーダースーツは型崩れいたしません。

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