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田島充

医療法人設立のプロ

田島充(たじまみつる)

行政書士 四条烏丸法務事務所

コラム

「貸座敷」京都

雑感

2013年1月12日 / 2014年7月3日更新

日本辺界略図
 まだ学生の頃、ときどき道端を掃除している姿を見かけるお婆さんに会釈すると、
「お国はどちらですか?」
と尋ねられ、思わず「下総の国です」と答えそうになったことを思い出します。

 最近は街中に住んでいることもあり、「京都生まれの京都育ちです」という言い回しを自己紹介の枕詞のように耳にします。また、京都以外に住む友人からは「京都は閉鎖的で仕事がやりにくいのではないか」ともよく言われます(もちろん、そんなことはありません)。

 その一方で、「京都生まれの京都育ち」ではない方との出会いも多くあります。
 お世話になっている事務所ビルの関係者には、沖縄出身の方がおり、琉球文化をアピールする在京沖縄関係者の活発な活動や、同時に京都の伝統の担い手として溶け込む姿を目の当たりにして感心しています。
 同じビルのなかにはギリシャの方も事務所を構えて活躍していますし、「日本には自分の全てがある」と言い切った帰化のお客様は30年以上も京都の大学で教鞭をとっています。
 戦後九州から出てきたというお客様からは、私のゆったりとした会話や食事のテンポ(?)に好感が持てるとお褒めの言葉をいただき、私のルーツが東北であると説明すると妙に納得されました。
 震災で福島から避難してきた方に対して、京都の篤志家が支援の手を差し伸べ、お店や活動の基盤を得られたという場面にも何度か立ち会いました。それは、維新志士を匿った京都人の侠気を彷彿とさせるものでしたが、同時に、こうした支援を得て活躍する当の本人達の姿からは、私もまた大きな勇気をいただいております。


 京都を評して「貸座敷」だという人がいます[1]。つまり、古来、他国から京都に来た人が、京都を舞台に活躍することで歴史が動いてきたというのです。京都は、いわば活躍の場としてお座敷を提供する役回りというわけです。

 まだ10代の頃の私に、著書を通じて比較文明論や京都への関心を開いてくれた梅棹忠夫氏によれば、京都は、古い観光資源だけが残った抜け殻のような「古都」(その意味での観光都市)ではなく、「首都」型のバランスのよい人口・産業構成をもった現に生きている都市なのです[2]。私なりの理解では、京都が今後も「首都」型の都市として活力を維持し発展してゆくには、世界中から人が集まること(ただ通り過ぎる観光客ではない人が集まること)、そして、逆に文化情報を全国・世界に発信すること、これが不可欠の条件になると思います。決して、同郷出身者だけで小さく固まった地方市に成り下がってほしくはありません。

 私も、このお座敷で、大いに活躍させていただきたいと思います。

(写真は、国立国会図書館所蔵「日本辺界略図」です)[3]


[1]司馬遼太郎・歴史を紀行する(文春文庫)138頁。
[2]梅棹忠夫・京都の精神(角川選書、1987年)など。なお、同書69頁にある京都は封建制を経験していないという指摘は、京都と京都以外の日本との違いを際立たせる重要な視点だと思います(一見最も日本的だが、実は最も日本的ではないことに京都の魅力がある、と感じるのは私だけでしょうか)。
[3]「ここに興味深い事実がある。伊能忠敬の地理学の師、幕府天文方高橋景保が作成した『日本辺界略図』は清の『皇輿全覧図』(いわゆる康煕図)にならって首都のうえに中心経線となる〝中度〟線を引くが、それは江戸ではなく京都の上にある。」今谷明・武家と天皇(岩波新書、1993年)239頁。

 忙しさにかまけ、しばらく休んでいたコラムの執筆を再開します。取り上げてほしいテーマ(法律関連で)などがありましたらご意見等お寄せください。もちろん、個別的なご相談は当事務所にて歓迎します。
http://www.office-shijo.jp【ホームページ更新しました 2013.1.7】

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