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田島充

医療法人設立のプロ

田島充(たじまみつる)

行政書士 四条烏丸法務事務所

コラム

債権を、そろえる!

自治体法務

2012年1月9日 / 2014年7月3日更新

債権を、そろえる!
 前回のコラムで述べましたように、自治体の債権(料金等)には、性質の異なる様々なものがあります。そのため、料金を払う市民の利便性と、低い収納コストで高い収納率を確保したい自治体側の行政効率の観点から、いろいろな債権をどのように管理すればよいのか問題になります。
 今回は、この課題を解決する糸口として、いろいろな自治体債権を「そろえる」ことについて考えます。

【請求をそろえる】
 「水道料金」と「下水道使用料」のように、料金の算定や支払いのタイミングが関連するものについては、同じ支払用紙に合算するなど、請求をそろえることは好都合です。[1]

【支払い手段をそろえる】
 従来からの銀行窓口での支払いや口座振替に加えて、近時はコンビニエンスストアでの支払いなども普及してきました。
《コンビニ収納》
 近くのコンビニで24時間、休日・夜間を問わず、いつでも支払えることはとても便利です。自治体にとっても、支払い事実が速報により確認できることや収納金と収納データがまとめて整理され納入されるなどメリットがあります。
《マルチペイメント》
 さらにマルチペイメント(ペイジー)の導入があります。これは、課金データにアクセスすることで、インターネットバンキングやATMから支払いができるシステムです。マルチペイメントは自治体の債権(税・料金等)を含む幅広い公共料金等の支払い手段に用いれられつつあります。[2]
《クレジット払いも》
 コンビニ収納までは、市民のライフスタイルに合わせて支払い手段を多様化させることが焦点でした。しかし、マルチペイメントの登場で各種料金等の支払い手段をそろえて支払いを一元化できることが注目されます。
 そして、支払い手段の究極の一元化はクレジットカードによる支払いです。課題はありますが、税についても導入例があります。[3]

【取扱い部署・窓口をそろえる】
 たとえば、滞納処分できるなど同じ性質の債権や、性質が異なっても大口で焦げ付いた債権などを、同じ一つの部署で取り扱うことです。専門部署で扱うことで窓口を一本化しかつ強力に債権回収を行うことが期待できます。[4]
 さらに「茨城租税債権管理機構」を皮切りに、自治体が共同して専門の債権回収組織(一部事務組合)を設立し、そこに高額な債権や回収が複雑困難な債権を移管することで、収納効果をあげようとする試みも行われています。[5]

【強制徴収をそろえる】
 租税債権など自治体が自力でできる滞納処分と、裁判所を使った民事執行手続きによる債権回収を、同一の債務者(の同一財産)について行う場合は、どうすればよいのでしょうか。この場合は、それぞれの手続きによる差押え(二重差押)を行います。そして滞納処分が先行するのなら、まず滞納処分による回収を行い、その後、裁判所の手続に引き継ぎます。[6]

【料金とサービスをそろえる(まとめ)】
 このように、いろいろな債権を「そろえる」ことは自治体の債権管理のポイントになると思われます。
 もっとも、一番重要なことは、料金等の「金額」に見合うだけの「サービス内容」を自治体が「そろえる」ことであるのはいうまでもありません。


[1]この場合、水道事業、下水道事業はそれぞれ、企業会計、特別会計として独立した事業です。そこで自治体側としては、たとえば、水道事業管理者に下水道事業の一部を委任する、収納業務等を同一の業者に委託する、といった工夫をすることになります。
[2]日本マルチペイメント推進協議会(JAMPA)による説明
  https://www.jampa.gr.jp/payeasy/
[3]地方税法20条の6,地方自治法231条の2第6項7項 など
 クレジット払いでは信販会社等が代金(料金)の支払を立替えます。税については従来より第三者納付の規定があり、そのほかの自治体歳入については平成18年の地方自治法改正により「指定代理納付者」の制度が設けられたことで、法律上可能となりました。
 自治体債権についてクレジット収納がなされると、カード利用者は、料金等を他のカード決裁金と合わせて分割払い等で負担することができます。自治体は立替払いにより料金未納のリスクを回避できます(その結果、未納は信販会社等とカード利用者との民民間の問題になります)。また、カード利用者にはポイント等の特典がつくことから、利用手数料を自治体が負担する場合は他の支払い手段を選択した市民との公平に配慮する必要があります。
 クレジット払いのサービス例として
  http://koukin.yahoo.co.jp/
[4]同じ滞納処分ができる債権間でも優先順位が異なる場合があることにつき、地方自治法231条の3第3項 など
[5]一部事務組合につき、地方自治法284条以下。なお、私見では自治体債権の管理回収はその自治体の自助努力によるべきですので、安易な移管には賛成できません。
  茨城租税債権管理機構
  http://www.ibaraki-sozei.jp/
[6]滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律 参照
 なお、民事執行法により強制執行を行う場合は、「債務名義」が必要となります(同法22条1項)。債務名義は、通常は訴訟による確定判決などです(同条項1号)。地方自治法上、裁判を起こすことは議会の議決を要します(96条1項12号)。支払督促による債務名義(民事訴訟法396条,民事執行法22条1号)は訴え提起にあたりませんが、督促異議の申立てにより訴訟に移行する場合(民事訴訟法395条)は訴え提起にあたり議会の議決が必要です(最高裁昭和59年5月31日判決 民集38巻7号197頁)。水道料金では訴え提起に議会の議決を要しません(地方公営企業法2条1項1号,40条2項)。

【2012.3.15 追記】このたびホームページをリニューアルいたしました。どうぞご覧下さい。
 http://www.office-shijo.jp/

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