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田島充

医療法人設立のプロ

田島充(たじまみつる)

行政書士 四条烏丸法務事務所

コラム

司法サービスだけでは足りない

司法と行政

2011年12月27日 / 2014年7月3日更新


 たとえば、いまここにサラ金など多重債務で苦しむ人がいて、その人を救済することを考えましょう。

 一般的には、過払い金の返還請求(法定の制限利息を超えて余計に支払ってしまったお金を支払先から返してもらう請求)[1]や自己破産(借りたお金ぜんぶを返すことはできないので、現にある財産をお金に換えて返済にあてて、それでも払いきれない分は払わなくても良いことにしてもらう手続)[2]などを検討することになるでしょう。これらは、裁判所を活用する手段といえます。

 しかしながら、これだけでは救済としては必ずしも十分ではありません。

 過払い金はいずれ返還されるとしても、直ちにお金が返ってくるわけではありません。今日の生活費にもこと欠くような場合はこれでは困ります。また、破産手続をするときは、過払い金を返してもらう権利は破産手続のもとに処理され、負債の支払いにあてられますので、お金は返ってきません。
 破産手続によって支払い義務を免れても(「免責」といいます)、これにより将来の収入が保証されるわけではありません。
 また、負債の全てが免責されるわけではなく、基準時以降の負債(新しい借り入れ)は残りますし[3]、税金のように免責されないものもあります[4]。

 ですから、生活を立て直すためには、

ア.租税公課については、請求額を減らしてもらう「減免」[5]や、支払い義務を先延ばししてもらい、場合によっては支払い義務自体が消滅することもある「徴収猶予」「換価猶予」等[6]を申請する。
イ.夜逃げ状態で定住する場所がないなら、これを確保するため市営住宅の斡旋を受ける[7]
ウ.生活保護の申請をして扶助費の給付を受ける[8]
エ.さらに当座の生活費にも事欠くのであれば、社会福祉協議会に緊急融資を依頼する[9]

といった手段も検討してみるべきでしょう。

 これらは、行政によるサービスです(社会福祉協議会は厳密には行政ではありませんが、市町村の地域行政と密接な関係があります)。

 それでも解決できないこともあるでしょう。各手段にはそれぞれの要件があることももちろんです。しかしながら、このように司法制度を背景としつつも各種行政サービス等の活用を併用することによって、より実効性のある権利救済・権利実現が可能となるケースは非常に多いと思われます。

 ところが、他方で、司法に携わる法律家は行政実務に疎く、また役所の窓口は細分化されているのが現状です。司法サービスに行政サービスを併用したトータルの法的サービスの提供が望まれます。[10]


[1]利息制限法1条ほか同法各条項,民法703条,704条,最高裁大法廷判決昭和39年11月18日 民集9巻1868頁,最高裁大法廷判決昭和43年11月13日 民集12巻2526頁 など
[2]破産法15条1項,30条1項,193条1項,248条1項,253条1項本文 など。なお、このほかにも民事再生手続や特定調停の利用なども考えられますが、ここでは立ち入りません。
[3]破産法253条1項本文,2条5項
[4]破産法253条1項1号
[5]地方税法323条(市町村民税),367条(固定資産税)など 
[6]国税通則法46条2項3項,48条1項2項,地方税法15条1項2項,15条の2第1項2項(納税の猶予/徴収猶予),国税徴収法151条1項2項,152条,地方税法15条の5第1項2項3項(換価の猶予),国税徴収法153条第1項1号2号,同条4項5項,地方税法15条の7第1項1号2号,同条4項5項(滞納処分の執行停止),国税通則法63条1項3項,地方税法15条の9第1項2項(猶予/停止の場合の延滞税/延滞金の免除),なおこのほか地方自治法231条の3第3項4項,国民健康保険法77条,79条の2 など
[7]これは、各自治体によります
[8]生活保護法7条,11条 など
[9]http://www.shakyo.or.jp/seido/seikatu.html
[10]なお、私はこのような問題意識も踏まえて事務所内に「全国自治体法務支援機構(仮称)」を設置し鋭意活動準備を進めております。
http://www.office-shijo.jp/local_gavernment_legal_affairs_support.html

【2012.3.15 追記】このたびホームページをリニューアルいたしました。どうぞご覧下さい。
 http://www.office-shijo.jp/

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