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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

大学生ですが、心理系大学院受験のためにどのくらいの勉強期間が必要ですか?

2023年3月23日 公開 / 2023年4月16日更新

テーマ:確実に心理系大学院に合格する勉強方法

コラムカテゴリ:スクール・習い事


心理系大学院受験の受験勉強の期間

3月も終盤に入りお彼岸の時期です。暑さ寒さも彼岸までとよく言われますが、本当に寒さが和らぎ、早くも桜が咲き始めました。一方で年度末ですので、当塾の塾生も新天地に行くため、新居を探している人もおり、新年度の準備等、いろいろと慌ただしくなっています。
気づけば暦は確実に進み、4月になります。気づけばゴールデンウィーク、気づけば前期終了、そして受験です。先日、追手門学院大学で、たくさん質問をいただきましたが、その中でも複数の方が気にしていたのは「どのくらいの準備期間が必要か」ということでした。私たちのような塾にとって、準備期間とは「合格までの準備期間」ということになります。受験までの準備期間は、もちろん個人差はありますが、当塾で契約いただける月数の平均値で言うと、8ヶ月程度になります。1年あれば確実に合格できていますが、短いと3ヶ月で合格した人もいます。ただし、今年から格段に難易度が上がりましたので、今までの経験値そのまま、というわけにはいかないように思っています。
準備期間の長さを決める要素は様々ですので一概には言えませんが、個人の持つバックボーンであったり、現有能力であったり、性格的にゆっくりと長く勉強したいと言われる方もいれば、もちろん短期集中型の方もらおられます。

倍率は確実に上がっている

昨年度の受験から、心理系大学院の倍率が上がりました。追手門学院大学の5倍はかなり大きな数字です。私は各地で講演をする際に、皆さんが頭に置いておく倍率として、全国で2.5倍から3倍程度とお伝えしています。少子化の今時、大学受験でもこれは高倍率になります。まして大学院受験となると、私がこの仕事を始めた頃の倍率とほとんど変わりません。ただし、今から20年前は、大学院自体がほとんどありませんでした。今は大学院は全国で180ほどあります。公認心理師の単位を学部で取っている人の平均値は30人程度です。故に単純計算で潜在受検者数は5000人を超えるくらいになり、2000人程度の合格者が出ているということになります。臨床心理士の合格者がこれより少し少ないくらいですから、リアルな数字と言えるでしょう。しかし、そうなると、3000人が合格できなかったということです。2.5倍から3倍というのは、不合格者数の方が多いわけです。大学を出るのに進路が決まらなかった人がかなりいるということになります。しかし、公認心理師の単位を取っている時点で、大学院に行くことがある程度想定されることになります。となると、3000人全員が今年に受験を持ち越すわけではないにせよ、半分でも1500人です。少なく見積もっても1000人程度は、次の年度に受験を持ち越している可能性が高いと考えられます。したがって、通常の5000人に累積の1000人が加算されて、少ない見積もりで6000人程度の潜在受験者がいることになります。大学院の定員はよほどのことがない限り増えませんので、次の年度は、最低3倍を見積もっておく必要があるということになります。

できたら準備期間は1年程度が望ましい

私の知人で、公務員試験系の予備校で働いている人がいますが、彼も、いつも「1年は準備期間をかけるべき」と言ったり、書いたりしているそうです。現状の心理系大学院受験の難易度も、私たちの感覚と経験値と現況を加味して言えば、受験勉強については1年程度が適当かと思います。

意識の高い人は1年生から勉強している

しかし、全国の様々な大学に行かせてもらってわかるのは、受験に対する意識の高い人は、1年生の時から受験を意識して勉強をしているようです。その善し悪しは一概に言えませんが、4年生になって、心理学の辞書を持っていない、という人と比べると、かなり差があると思います。
いずれにしても、目標設定は受験においては最も重要です。どの大学院をいつ受験するか、確実に決めて、準備をすすめなければなりません。それにはまずは行きたい大学を考えていただいて、それに向けた準備をしていただくのが良いと思います。まずは当塾まで相談にお越しいただければ、学校の選び方など様々なアドバイスをさせていただけると思います。

自分のできる限り精一杯を知りましょう

この時期は大学生、特に新4年生の方が、相談によく来られます。京都コムニタスでは、受験直前のこの時期において、塾生がどのように勉強しているか、どのように調べものをしているか、どのように論文を探して、入手して読んでいるか、どのように研究計画や志望理由など書類を仕上げているか、などなど、非常に重要なものを見ることが可能です。また体験授業も無料で行っています。今、質問として多いのは、
「どのくらい勉強すれば合格できますか?」
「どのくらいの勉強時間が必要ですか?」
「どの程度勉強すればいいのですか?」
明確な答えはなく、人によって異なります。とはいえ、この種の疑問は誰にでも生じますし、とりわけ心理学を始めて間もない方々にとってはまだ雲を掴むような状態ですから、何か目安が欲しいという考えを持つようになることは当然と言えます。
ポイントは「自分のできるだけ精一杯」です。「できるだけたくさん」とは言っても、個人ごとに取れる時間に限界がありますから、一応の目安として5時間以上と言っています。2時間くらいでは少ない気もしますから、やはりある程度は確保したいところではあります。しかし、これは、大学生、会社勤めをしている人、現役看護師、主婦、赤ちゃんを含む育児中の人、定年で仕事を卒業して、勉強に専念できる人などなど、条件が個人ごとに全く異なりますので、公平な情報ではないかもしれませんが、経験値的に5時間程度が大人の場合、ギリギリの確保可能時間になると考えられます。例えばこの合格者の方は、将来の臨床心理士指定大学院進学を見越して、編入されましたが、やはり、主婦の方は5時間という時間の確保は容易ではありません。そのため、小刻みに勉強したり、ちょっとした合間を工夫して時間確保をしてみたりと工夫した上で、合算で5時間という時間的数字を目標にするのが妥当です。もちろん、人によって確保できる時間は異なりますので、自分でできる精一杯という考え方が重要です。
時間確保の際に、むしろ大切と言えるのは、勉強というコンセプトに対する自分自身の見方です。頑張って努力することは、第一義ではありません。限られた時間内で、具体的に何を身につけ、何をできるようになろうとするかの目標設定が第一になります。漠然と単語、漠然と英語、こういった着手の仕方をするとうまくいきません。今の自分の置かれた状況をよく分析して、何時間ひねり出せるかをよく計算して、その時間を具体的にどう使うかを決めることがポイントです。大人であればあるほど、日によって確保できる時間量は違うと思います。その意味で綿密な時間の計算が必要になります。大学の先生は、皆さん忙しい中で時間をやりくりしており、それも仕事のうちと考えています。私も以前、ある東大の先生から「時間があるなんて幸せな環境が、今後やってくるなんて思ったらダメだよ」と言われたことがあります。

確保できた時間はバランスよく配分するのが妥当

確保時間が見えてきたら、次は配分です。例えば、英語だけに時間をかけるとかいった勉強はせず(あまりそういう人はいませんが)、できるだけバランスのよい時間配分が欲しいところです。とりわけ研究計画に追われる時期が来ると、そればかりに時間をとられて、他ができなくなるという声はよく聞きます。大事なことは繰り返すことと継続することです。専門科目、英語、研究計画等の書類作成と、三種目あるとして、確保時間が5時間とすると、2:2:1で分配せざるを得ないと思いますが、どれを1にするかは、時期と能力の成長次第で変わってきます。月ごとの自己査定をしっかりしていると、このあたりは便利になってきます。もちろん、当塾の在籍者は私がある程度査定しますので、それに沿って計画をたててもらう方が妥当な配分ができると思います。
今の時期は、あえて言えば、2(英語):2(専門):1(研究計画等)が妥当と思います。12月を過ぎて、1月にになるとこれが大きく変動しますので、今月の成長度合は、今後を占いますので、非常に重要になります。無駄の少ない環境を作りましょう。

社会人の方でも準備期間は同じくらいです

この時期は社会人の方も相談によく来られます。公認心理師試験が始まって以来、私が大学生の方に聞くのは「単位を取っていますか?」ということですが、社会人の方には、「Gルートで公認心理師は取りましたか?」取っていない場合、「公認心理師は必要ですか?」必要な場合は、「通信の編入をして、学部で単位を取る時間はありますか?」となり、あれば「編入はいかがですか?」と流れることが多いです。特に公認心理師は必要ないと言われる方には、臨床心理士指定大学院受験の話をしていきます。そのあと、「だいたいどの大学院に行きたいですか?」という質問をします。行きたい大学院が決まっている人は半分もいませんので、まずは行きたい大学院の確認と情報提供からはじめていきます。今もなお、当塾の生徒さんの約半分が社会人の方です。40代は、すべての年齢層の中で最も悩ましい時期です。仕事は重要なポジションにつきつつありますし、それなりに充実してきます。家庭ができて子どもが小さい。今から新しいことに踏み出す勇気がない。年齢を理由に不合格にされるのではないか。今から心理学なんて勉強できるのか。このように様々な不安がよぎって、なかなか一歩が踏み出せないということはあると思います。その中でも、勇気を持って、一歩踏み出そうとした方が次に不安になるのは、「どのくらいの期間勉強すれば、合格に届くのか」という問題です。私たちが手掛ける受験は、いざやってみようと決意すると、自分が学部で学んだ分野であっても、どうすればいいのかがわからず、強い不安に襲われます。まして、未経験の分野であれば、宇宙空間に放り出されたような気持ちになると言われたこともあります。こういったときに明確な道標があると、より前向きになれるものです。一般に「目標設定が大事」と言われます。確かにそうなのですが、目標を定めても、ロードマップが見えないと、モチベーションが上がらないということもあります。その意味で「どのくらいの期間勉強すれば、合格に届くのか?」という問いかけは重要だと考えています。では、その回答も併せて重要になりますが、これについては、私たちのような塾や予備校の経験値が物を言います。むしろ、それ以外に尺度らしきものはないと思います。偏差値はそもそもありませんし、出身大学もそれほど影響はありません。
京都コムニタスの経験値で言えば、40代、心理学未修者で、合格するまでの期間は平均すると、やはり、8ヶ月程度です。もちろん、様々な面で個人差がありますので、早ければいいというわけではありません。ただ、だいたいこのくらいの準備期間で臨床心理士指定大学院に進めるという目安になると思いますが、現状を見ると、やはり1年くらいは欲しいところです。
また社会人の方は、社会人入試という方法もあります。立命館大学や、京都文教大学は英語が試験科目にない社会人入試を行う全国でも数少ない大学です。こういった入試も選択肢に入れて準備期間を考えるのが妥当です。ただし、最近はほとんど合格者がでていませんので、慎重に考える必要があります。
英語で不安のある方は、3月26日に「 心理系大学院入試の「英語力」にという講座を行いますので、是非参加していただけたらと思います。
お申し込みはこちら


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