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井上博文

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井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

京都コムニタス

コラム

これから臨床心理士指定大学院に行って、臨床心理士を取る意味はありますか?

2022年1月14日

テーマ:臨床心理士指定大学院に行くための勉強方法

コラムカテゴリ:スクール・習い事

これからの心理職資格


最近よく受ける質問です。もちろん、正解は一つではありません。これから心理職を目指す場合、基本的には大学と大学院に行く必要があります。資格は臨床心理士と公認心理師の二つと言って良いでしょう。私はこの資格はとても良い資格だと考えています。例えば看護師は、免許があれば、衣食住が付いてくると言われる資格ですが、何せ激務です。離職問題は永遠の課題です。臨床心理士をはじめとする心理職は、私が知る範囲ですから、当塾出身者が大半ですが、その多くは「食べていけてます」と言います。スクールカウンセラーと大学の相談室で10年食べている人もいます。カウンセリング業務だけで月30万円程度稼いでいる人もいます。大もうけはできないものの、食べてはいけると考えている人が多いのが特徴です。もちろん、地域性もあるので、看護師のように日本全国のほとんどでやっていけるとは言いませんが、それでも伸びしろのある資格だと考えています。

今指定大学院は過渡期で転換期


しかし、この有資格者を養成する大学の先生の中にもいろいろな考え方があります。ここまで60をこえる大学の先生方からインタビューをさせていただきました。その限りにおいても、考え方は多様であることがわかります。ちょっとカオス状態かもしれません。これは、やはり臨床心理士の側が、もう少し方針を示していかないと、当面続いてしまうのではないかと思います。つまり、臨床心理士指定大学院を続ける必要がないと考えている学校が増えつつあるということです。一方で、これを堅持すると言う大学もあります。ただいま検討中という学校もあります。検討している段階で、ポジティブには思えませんが。資格認定協会のホームページでは、
    
H30は、受験者が、2,214人 合格者 1,408人です。
R1は2,133人中合格者が 1,337人です。
R2は1,789人中合格者が 1,148人です。

このような数字になっており、明確に右肩下がりです。語弊をおそれず言えば、ここから臨床心理士の数字がV字回復することはないと見ています。少しずつ指定大学院が減っていますから、これからもこの傾向が続くと言えるでしょう。もちろん、これは公認心理師の影響と言って差し支えありません。

共存共栄はあるか


この状況に対して、資格認定協会も含む、臨床心理士を運営する方々が何らかのメッセージを発する必要があると思うのですが、公認心理師が生まれて以来、現時点で明確なものはありません。周知の通り、公認心理師には更新制度はありません。臨床心理士には更新があります。とすると、公認心理師は自ら登録をやめれば公認心理師でなくなりますが、臨床心理士は更新しないと資格が失効します。どちらが自然に減るのかは明白です。すでに大学の先生でも臨床心理士の更新をしなかった先生は少なからずおられます。
おそらく現時点で3万人程度の両資格保持者がいると考えられます。共存共栄を図れるのは、多くの大学の先生を含むこの両資格保持者です。資格認定協会等、臨床心理士の運営側は、この現実からスタートになります。そしてこの二つの資格を各人がどう使おうと思っているかの意見を拾い集めるところに続きがあります。

心理職養成現場の苦労


現場は学部教育のカリキュラム編成に悩まされています。特に次年度からAルートの大学院教育が初めて始動します。新カリキュラムが動くわけですが、今後学部は公認心理師、大学院は臨床心理士といった形で分離現象が生じることを理解しておかねばなりません。共存共栄に果たして本当になっているのか、そういう方向性にカリキュラムがなっているのか、いろいろ疑問が残ります。

これから臨床心理士を取る意味はあるか?


私はそれでも臨床心理士の資格を取る意味はあると思っています。まだ臨床心理士で公認心理師未登録者もかなりいるそうです。少なくともこの方々は、公認心理師の登録の必要がないというより、臨床心理士の資格だけで問題がないと考えている人々だと言えます。それだけでも臨床心理士の資格の意味はあります。
またこれまで20年以上の積み重ねがある臨床心理士の資格の意味は大きく、現在の資格保持者たちの考え方次第ですが、公認心理師との共存という意味でも、しばらくはむしろ重要な資格と考えられるのではないかと思われます。大学の見解は明確に二つに割れています。臨床心理士指定大学院であり続けて、公認心理師も取れる、という大学と、臨床心理士指定大学院をやめるという大学です。どちらがいいのかは、一概には言えませんが、私個人としては、両資格を取れる人は、前者に進むべきだと考えています。今の段階で臨床心理士が無意味になると決めてしまうのは早計です。ただ、前者は大学の先生方の負担が大きく、たくさん大学を訪問させていただいていますが、どこの学校の先生方も大変そうだなということがにじみ出ています。私たちとしては、そのような先生方の負担減少の取り組みを始めています。これから大学院をお考えの方は、先生方は負担を厭わず臨床心理士指定大学院を堅持しようとしておられるところを目指すのが良いと考えられます。

どんな大学院に行けば良いか?



以上を踏まえた上で、どんな大学に行けばいいのか、という質問に対する答えとして、まず考えるべきは、いつ大学や大学院に進むか、です。その時期によって戦略は変わってきます。かりに今ということであれば、公認心理師との兼ね合いが最も難しい時期ですから、臨床心理士の教育が充実しているところ、ということになります。現在高校生でこれから心理職を目指そうという人は、公認心理師のための学部教育を充実させているところということになります。公認心理師の学部教育に力を入れているところは、臨床心理士も併せて力を入れると考えているところ、すなわち大学院教育も力を入れると考えている学校と、臨床心理士養成をやめる、あるいはやめようとしている(そもそも関わっていないも含む)学校とに分かれます。どれが一番いいのかは、現時点ではわかりません。ただ、このカオスの状態で、臨床心理士側からの明確なメッセージがない中、各大学が自分たちで考えなければならない状況が鮮明になっています。こういった時は、むしろ、大学の力と、考え方、誠実さが全面に出ます。これから心理職を目指す方は、よく注視しておく必要があります。

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