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コラム

やっかいな人を自分のお城に入れない方法??

2019年2月8日

テーマ:仏教

仏教界隈ではおそらく著名な小池龍之介氏のやっかいな人を自分のお城に入れない方法 という記事を読みました。この方はたくさんの著書があり、僧侶作家といった人かなぁ、くらいで時々御著書を拝読しています。ただ、正直この方のこの記事には賛同できませんし、仏教風に書かれているように見えますが、仏教はこんなこと言うのかな、と疑問を抱かざるをえません。小池氏は『超訳ブッダの言葉』という本があるのですが、これについても、「う~ん」と首をひねりながら読みました。同じ違和感を感じたのです。「どこにそんなことが書いてある?」という疑問ではなく、違和感です。

超訳という言葉が何を意味するのかは判然としないのですが、序文によれば「わかりやすさを心がけた」とありますので、そのような意味なのかもしれません。同じ序文に例えば「法句経(ダンマパダ)」とありますが、これは、パーリ語で残っている仏教の中でも初期経典と言われるもので、シャカ(お釈迦様と言われる仏教の開祖だとされる人)の生の思想を捜索する時に必ず誰でもが見る経典です。そのため、「最古層」に位置すると言われ、和訳も多数されており、長く日本語でも読み継がれてきた重要な文献です。この中にはシャカの創れし仏教のエッセンスではないかと思える記述がたくさんあり、現代人がここから学ぶべきことが確かに記されています。私自身もかつてパーリ語で一通り読みました。この『ダンマパダ』は中村元先生や水野弘元先生という世界に誇る仏教学者の偉大な研究があります。特に中村先生の『ブッダの真理のことば・感興のことば』(岩波文庫)は名著で、今も尚これを読むために最もスタンダードな本と言えます。前置きが長くなりましたが、中村元先生は一般の人にわかりやすくするために、可能な限り和訳を平易にしようと工夫してこられた方です。原文の意味を損ねないように、どこかの国の政治家や官僚のように原文を勝手にねつ造したり、書きかえてしまったり、自分の都合の良いように読まないようにするために、ブッダの思想を歪めずに次世代に伝える工夫が重ねられた和訳が施されています。この数年、政治が嘘をつきすぎて、事実を歪めることがむしろ当たり前のようになっていることに恐怖を覚えていますが、大変残念なことに、この小池氏の引用も原文には見あたらないような記述がたくさんあります。この方の解釈だとしても、そうは書いていないのではないかと思わざるを得ないような記述を超訳としていると思わざるを得ません。ダンマパダに限らず、「増支部経典」とか「相応部経典」と書いた引用もありますが、これも引用箇所が書いてありません。増支部とは専門的ですが「アングッタラニカーヤ」相応部とは「サンユッタニカーヤ」と言い、様々な章が設けられており、それぞれ膨大な文量を誇ります。元駒澤大学教授、片山一良先生は、生涯をかけてこれらの経典を注釈書も見ながら和訳を続けておられます。一方で小池氏の超訳は、訳が原型をとどめていないため、それぞれの経典のどこからの引用なのかが捜索も難しい状態です。専門家がよく見れば探せなくはないかもしれませんが、申し訳ありませんが、私からすると、不誠実です。

この記事のその4から一つ引用させていただきますが、「人間の無意識のエネルギーは、例外なく濁っている」「これまで記してきましたように、人間とは意識レベルでどれだけ優しかったり丁寧だったりしても、無意識のエネルギーをスキャンしてみると、例外なく皆、濁っています。そして多かれ少なかれ、互いに侵略し合っています——笑顔を浮かべながら 」とあり、そして極めつけは、
「自身の修行がいよいよ最終局面に入りつつあるのを感じるにつけ、他人から新たに入ってくるエネルギーを相手にするのはいったん止めにして、自らの内部に残っている、残りすべてのエネルギーを手放しきるのを先にしようと決めたのでした」
申し訳ありませんが、「何を言ってるんだろう?」といった感想しかありません。少なくとも仏教はこんなことは言いません。超訳すると、どこかにあるのかもしれませんが、少なくとも残っている仏教文献にこんなことが書いてあるとは聞いたことがありません。なぜ他人の無意識のエネルギーをスキャンできて、その上濁っていると断言できるのかは知りませんが、仏教文献はもっと意味のわかることが書かれています。多数の著書を書いておられる方は、影響力があるわけですので、やはり、慎重に仏教を語っていただきたいと願います。自分の勝手な解釈を超訳として、どう見ても書いていないことを「引用」するのはやってはいけないことだと思われます。


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