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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

医療・看護系小論文対策-ベネフィットとリスクを学びましょう

2015年11月15日

テーマ:小論文対策

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

医療系や看護系小論文には、よくベネフィットとリスクに関連する小論文の問題が課されます。日常生活を行っていると、常にベネフィットとリスクを計算して、その上で選択をするということは、単なる損得勘定とは異なります。ある程度、自分の利益を考えて行動することはむしろ合理的です。例えば、私は通勤や大学まわりに車もバイクも乗りますが、どういった時にどちらを使うかはケースバイケースです。特に決め事は作っていません。ある学校の事務長から、「今日は車ですか、バイクですか?」と聞かれることもよくあります。その時々の自分の置かれた状況と周囲の状況とを勘案して選択します。この時、通常はあえてリスクをとるということはしません。その時にベネフィットが少しでも多いと考えられた方を選びます。例えば、春から秋にかけて、それほど寒くない時期であれば、晴れていれば、あまり車を使いたくありません。バイクの方がベネフィットが多いからです。私のバイクの燃費はだいたい40km/1Lです。車はだいたい10km/1Lです。4倍以上違います。ガソリンは今120円/1Lほどです。また私は滋賀県までいくことがよくありますが、片道40キロ近く走ります。バイクならどう頑張っても1時間かかります。車なら高速で30分程度です。しかし、高速を使うと、往復で2500円ほどかかります。車で通勤した場合、駐車場に止めないといけませんが、どう頑張っても一日止めると、1000円はかかってしまいます。バイクなら塾の駐輪場があるので、余分にかかりません。さて、数字が出そろったところで、よく考えてみると、車の場合、最大で、ガソリン代が、往復で80キロ走ったならば、120円×8L=960円、高速代が2500円、駐車場代が1000円で、合計が4460円です。一方、バイクはガソリン2L×120円で240円のみです。以上から、この差は大きく、基本的にはやはりバイクを使うのが、(金銭的)リスクが小さく、ベネフィットが大きいということになります。しかし、体調が良くないとき、大雨が降っているとき、雪が降ったとき、死ぬほど寒いとき、忘年会があるとき(私は飲みませんので、酔っ払いを乗せるため運転手になることもよくあるため)、こんな時にバイクだと用をなしませんので、ベネフィットはほとんどありません。車のベネフィットの方が明らかに大きいので、車を使います。しかし、周囲は私がバイクを使うことを快く思っていません。バイクのリスクは事故をすると、ダメージが大きい(怪我したことはないのですがね)と言われます。車の方が命が助かる確率が高いとも言われます。(そうとも思いませんがね)
これらの情報を全部考えた上で、ベネフィットの方が多いと判断した時にどちらを使うかを決定するということです。これが基本的なリスクマネジメントになります。
長くなりましたが、上記のリスクマネジメントの場合、例えば私の場合、晴れていて、暖かく(暑くなく)、体調も良く、時間に余裕があるのに、わざわざ意味なく、なんとなく車を使うということは、ほぼありません。またわざわざベネフィットが低く、かつリスクの高いものを選ぶということは通常はありません。
しかし、医療系のリスクマネジメントは少し様相が異なります。通常のリスクマネジメントは、ベネフィットとリスクをできるだけ数値化して、その時々のベネフィットが高いと判断できる方を選択します。しかし、医療系の場合、少しだけ事情が異なります。例えば、近年の重要トピックの一つである子宮頸がんワクチンについて、ワクチンをうつ人は、子宮頸がんのリスクを低下させることを目的とします。故にこのワクチンのベネフィットは一つであって、ベネフィットの選択はありません。あるとすればワクチンが二種類あることくらいですが、自分で選択しにくいものです。また、ベネフィットに大きな違いがあるわけではありません。そのため、ワクチン接種を希望する人が選択するのはリスクということになります。
リスクはいわゆる副作用です。
近年、たくさんの副作用の発生の報告が出ており、厚労省も積極的にワクチン接種をするようにすすめなくなりました。
国のこういった中途半端な方針の切り替えは、不安を生みます。そのため、ワクチン接種を考える人は、ワクチンをうつことによる副作用のリスクと、うたないことによるがん罹患リスクを選択するということになります。この選択は子宮頸がんに限ったことではありません。小さい子どもを持つ親ならいつもこの選択に迫られているはずです。子どもにワクチンをうつなら、副作用が出ても自己責任をとらされる書類に印鑑をつかされ、うたないなら、たくさんの命の危険にかかわる病気へのリスクに暴露されます。どことなく、医師にワクチン接種した場合としなかった場合のリスクを数値価したものを聞きにくいという空気はいまだにあります。しかし、親からすると、ワクチン接種をした場合、副作用が発生する確率が何万分の一であるかの問いかけが、リスクを選択するほぼ唯一の根拠であって、「そのくらいの確率ならうちの子は大丈夫だろう」と見切り発車してしまうのが現状です。そうせざるを得ないので、これを否定するわけではありませんが、小論文で、例えば「あなたの医師(看護師)としての理想のリスクマネジメントは何か」と問われた場合、一つ重要な回答になるのが、可能な限り正確、かつ最新のリスクの数字を提供することです。あくまで選択はワクチン接種をする人ですので安易に「大丈夫ですよ」とか「やめといた方がいいですよ」と言うべきではありませんが、ある程度、「自分なら医師としてこうする」「自分の子どもにはこうした」「万が一副作用が不幸にして出てしまった場合はこうする」といった情報提供は、選択をする人に一定の安心感と、その人が納得のいく選択ができる要素を提供できることにつながると考えられます。他にもありますが、こういった点は医療独特のリスクマネジメントになりますし、とりわけ近年は、エボラやデング熱といったリスクの高いものが話題になっています。この種のリスクマネジメントについて学んでおくことがおすすめです。


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