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コラム

結論ありきの論文の落とし穴

2014年7月5日

テーマ:小論文対策

今年、STAP細胞問題で、さんざん考えさせられたのが
「結論ありきの論文は危険」
ということのはずです。先に結論を決めて、それを思い込み自分の都合の良い方向に
資料を読んだり、事実を歪めることは本来あってはならないことであると、多くの学者や教師が
指導方法についてあらためて考えさせられました。これは大学でも卒論指導では基本中の基本で、
私も大学で指導教授からしっかり教えていただいた記憶があります。
「結論を先に決めるな」
「仮説検証と結論を一緒にするな」
こういったことを習いました。これを習うだけでも、大学に行く意味はあると思います。
こういったことを意識するだけでも、研究倫理は育つと思います。

研究には仮説検証型(演繹)と証拠積み上げ型(帰納)と大枠二種類のアプローチがあります。
例えば警察の捜査は、基本的には帰納です。最初から犯人を決めてかかることがどれだけ
危険なことであるかは言うまでもありません。それを逆手にとったドラマが刑事コロンボや
古畑任三郎シリーズでしょう。あれはドラマとしてあえて犯人を設定して、それを演繹的に
追い詰めていくやり方におもしろさがあるのです。

しかし、まだこういった文章を大学の先生が書くことに驚きます。

失礼ながら引用しますと、
    法定協のメンバーを差し替えたり、2年先送りしてまで、橋下氏は都構想にご執心のようだが、
    もうそろそろ多くの府民は都構想がいかに馬鹿げたものが気づきだしているのではないだろうか。

これがこの文章の前提になっているはずです。仮に大阪府民が馬鹿げたものだと
気づいていなければ、この文章は瓦解します。しかし、大阪市長が出直し選挙で
かなりの票を集めて再任された点だけを見ても、かなりあやふやな出だしと
言わざるを得ません。

    今やらなければならないのは、教育の充実や貧困対策、経済の活性化など、
    個別の政策分野であり、

これは日本中の課題であるはずで、大阪だけの問題ではありません。
もしこれを主張するならば、大阪だけが他府県と比べて劣っているならば
理論的に成立はすると思います。しかし、どれも一自治体ではそう簡単に
できることではないから市長は大阪都構想という風呂敷を広げたはずです。
東京のように国の政策に影響を与える都市を目指すというのは、
それだけとれば、別に悪いことではなく、大阪市長が
いつも言うように、最終的にそれを決めるのは府民であり、各市の市民です。
だから、そこで生活をしていない外部がとやかく言うことではありません。
あるいは未然にそれを阻止する必要があるなら、そのように主張すべき事柄です。
「どうやって都構想を阻止するのか」という論点で論文を書くのは、
十分あり得ることだと言えます。

    それが全くと言っていいほど成果を挙げられていないことを
    あたかも都構想が進まないからだと論点をすり替えているようだが、
    これはなんとも情けない話ではある。

こういったことを書くにはやはり明確な根拠が必要で、
成果があがっていない事実
(市長が?)論点をすり替えた事実
この二点を明確にしない限り、このトピックは単なる誹謗中傷の類でしょう。
著者が大阪市長に対してどんな感情を抱いているのかはここでは問題になりません。

    2011年度の一人あたりの県民所得も10位と前年度の11位とほとんど変わっていない。
    橋下府政における経済の活性化策は不発だったことは統計データからも明らかである。

これが明らかに不発であったか、11位が10位になったことを
成果と見るかは意見が分かれると思います。いろんな意見を抽出することが
研究者の仕事であって、自分の主観で不発と決めつけることではありません。
結論ありきになるとこういったことにも目がくもってしまうので要注意です。

    このまま大阪は地盤沈下を続けるのだろうか。そうならないためには、
    都などを目指さず、足元の政策課題を一つずつこなしていくことが先決ではないだろうか。

それほどまでに大阪が気になるのならば、大阪府知事か大阪市長を
目指すのが妥当かと思われます。大阪市長を誹謗することが大阪の
ためになるとはとても思えません。
大阪府民、市民をなぜ著者がそれほど大切に思うのかについては
理解できるほど情報がありませんが、そのような思い入れがあるならば
成果のあげられる方法をとるのが妥当です。
論点を明確にしないとその文章の目的も見えなくなってしまいます。
結論ありきから文章を作る危険性を私たちは強く認識する必要があります。



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