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井上博文

大学院・大学編入受験のプロ

井上博文(いのうえひろふみ) / 塾講師

株式会社コムニタス

コラム

生徒が自分を学問の枠にはめられるように指導する

2014年6月24日

テーマ:京都コムニタスとはどんな塾か?

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

「大学がもし100人の村だったら」という記事を見ました。
4分の1が留年か中退になるそうです。
最近、通信制高校の先生をしておられる方と
お話させていただく機会がありましたが、
いつの時代も十代半ばは複雑です。
その先生も口には出しませんでしたが、苦労がにじみ出ている印象を受けました。

しかし、単に十代が複雑なだけではなく、社会が多様化しすぎて、
かつ情報も氾濫しすぎていて、子どもにはかなり生きにくい社会に
なっていることも原因にあげられると考えられます。
既存の学校システムでは、立ち行かない状況も多々見られます。
もっと少人数で、教員を増やし、かつ余計な雑務を減らすか、
シェアリングし、かつ親も学校に丸投げするのではなく、かつ
モンスター化しないように自制しつつ、かつ学校の教員も、理性的な行動をとり・・・・
もう、どうすればいいのか、よくなるのかわかりません。

私たちは大学生を対象にすることが多いですが、当塾に来られる学生の方は
基本的には目的意識はありますので、「何がしたい?」と問われても、
それほど苦痛感を示す人はいません。
しかし、大学では、自分のいる学科の専門の勉強でさえ、苦痛に感じる学生は
少なからずいます。先生からしてみれば、建前上とはいえども、
「自分で選んで入ったのだから」という思いはあると思いますが、とりわけ
「何でこんなことをしないといけないのかがわからない」
と言い放ててしまえる学生には、それは通じません。

当塾では、徹底して、何がしたいのかということを私との面談の中で突き詰めます。
当然時間がかかります。この時期になると、だいたい最後まで待ってくれている人との話が
終わるのは夜中12時過ぎています。こちらとしても10時間以上、休憩なしで、
並んでいる人の話を聞き続けて、それを毎日繰り返して、やっと本来やりたいことに
深く迫れるというのが、むしろ通常だと思います。
これは、やはり、研究についても情報が多すぎて、それを消化することが
簡単にできる作業ではないということもあります。私たちの学生時代と比べても
作業が複雑な上に、量もかなり増えました。

以前このコラムで書きましたが、
とりわけ学生の方々は、「こんなこと(勉強)をして何の役にたつ?」
という傾向が強くなっていると思います。もちろん私たちの時代にもたくさんいましたが、
私たちの世代は、「役にたたない、故にやめる」という選択肢は一般的ではありませんでした。

もともと「役にたつ勉強」などそもそも存在しません。そんなものがあるという
幻想を誰かが与えているとするならばそれは大問題です。大事なことは
「学んだことを生きていく上でどう役立てるのか」
です。あるいは
「○○を学ぶにあたって、今まで学んできた◇◇をどう役立てるのか」
という問いかけとアイディアです。それには、まず自分を
学問の枠にはめてみてから、あとのことを考えるという姿勢が必要になります。
その上で、自分の本来興味あることに迫れると、どんどん面白くなり、
誰かに言われなくても、どんどん論文を見つけてきて、
「先生、こんな論文どうですか?」
と、言いながら、こちらが指示していない論文を自ら発見して持ってきてくれたり、
友人間で論文を見せ合いしながら、自分のやりたいことを
伝えあっているという光景が、今、当塾の中で見られます。
ここまでたどり着くと、もったいなくて、「やめる」などという考えは
頭をかすめることもないと思います。彼らが今抱える不安は、
期日までに最高のものに仕上げられるかどうかだけであって、
「何がしたいか」、あるいは、「やめるかどうか」
そんな問いかけ自体、なくなっています。
私たち教員が確実にすべきことは、この状態になるまで、一緒に考えることです。
これを指導というのであって、うまくリードする技術が必要になります。


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