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コラム

「通じる翻訳」に必要なこと ~技術翻訳の現場から~

技術翻訳

2014年9月5日

「通じる翻訳」に必要なこと



翻訳を外部委託したものの、できあがった訳文の意味が分からない、通じない、と現地代理店や顧客からクレームが・・ということはありませんか?その原因となる多くの理由が、原文である和文に隠されていることがあります。

通じない翻訳の原因は和文原稿にあり

翻訳の原稿となる文書は、技術者の方が内作で担当されることが多いと思います。本業の設計や技術開発のお仕事の傍ら、工数削減しようと、大変苦労されているのではないでしょうか。

実はこうした、内作の技術文書のわかりやすさが、翻訳品質と関係しているのです。
今回はその例をご紹介します。

日本語は主語を省略することの多い言語です。言わなくてもわかるから、というだけではなく、正しいだけの文章ではリズムが損なわれるということも関係しているかもしれません。とりわけ、短く端的に書くことが求められる技術文書では、とかく文章を省略しがちです。
(逆のパターンもありますが、それは別のコラムでご紹介します)
そこで、人はどのようなときに言葉(文章)を省略するか、について考えてみました。

説明が省略されるのはどんなとき?

■説明する時間や労力を省きたいとき
■(読者のレベルなど)前提条件があって必要無いと判断できるとき
■すべてを言わなくてよいという信頼関係があるとき
■関心や疑問を喚起して興味を引き出したいとき

上記の1.や2.は技術文書で、3.はビジネス文書で、そして4.はカタログや広告などで、よく見かける内容だと思います。日本人にとっては、3.による理由も大きいのではないかと考えます。

たとえば、画像診断製品の測定時の注意を述べた次の文章を比べてみてください。
(※よくある例を述べるため当社で作成した文章で、特定の会社の文書ではありません)

1.測定の際、検出領域に空白部分が含まれないよう、画面に適切な数値を入力してください。
2.検出領域は、空白部分を省いて入力ください。

1.であれば翻訳者は苦労しないのですが、実際によく目にする原稿は2.の方が多いです。そして専門的な知識を持つ読者には2.でも十分にわかる、というような声もよく聞かれます。
しかし、翻訳する場合にはこの原文だけでは不十分なことが多々あります。翻訳者は2.の文から、背後にある1.という文の意味を察しなくてはなりません。2.を見て1.を理解できるかどうか、が、意味が通じる翻訳となるかどうか、の分かれ道なのです。そして、多くの場合、翻訳原稿からだけでは、この理解はなかなか難しいのが現実です。

事実という「材料」に戻る

文章を省略するには、そこに「省略してもわかる」前提条件や信頼関係があることが前提となります。そのため、翻訳する場合には、省略した「完成品」である文章から、その真の姿である意味に到達することが必要です。その後、その内容を元に、英語の世界での前提条件に合わせて再度、省略する、という作業も適宜必要となります。
「通じない」翻訳となる原因の多くは、原文において、上記の1.→2.の省略が不適切であるため、翻訳者が意味を理解していない、というものです。また、日本語の2.から直接(真の意味が分からないまま)、英語の2.へ変換してしまっていることも挙げられます。

「通じる」翻訳の作業とは、日本語という「型」からいったん事実を外し、言語や文化が異なる「型」に入れ直す作業、つまり事実という「材料」までいったん戻って、英語という別の「型」に入れ直す、という作業だと考えています。

「何と書いてあるか」、ではなく「何と言いたかったのか」

このため、この問題を解決し、通じる翻訳とするためには、以下が必要となります。
●原文の意味を正しく理解するために調査やヒアリングを行う
●前提条件(読者・目的・状況・背景)を理解する

つまり、「何と書いてあるか」だけではなく、「何と書きたかったのか」についての理解が必要です。
これにより、たとえば原文の軽微なミスなども、翻訳時に指摘して修正することができるのです。
もちろん、お客様との密なコミュニケーションなくしては、これらは不可能です。
とかくメールで終始しがちな翻訳作業ですが、積極的にお客様の声を聴き、現場を訪問し、装置を見て、よりエンドユーザーに「通じる」翻訳を目指したい、と考えています。

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