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山村麻紀

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コラム

TRADOSで効率化アップする、その前に必要なこと

技術翻訳

2013年6月24日

TRADOSで効率化アップする、その前に必要なこと ~技術翻訳の現場から~

マニュアルや技術文書の翻訳ではすでに常識になってきたTRADOSですが、その使用方法や効率化アップのためのノウハウのみが取り沙汰され、肝心の「よりよいマニュアルを作ること」とTRADOSとの関わりについては、あまり論じられていないように感じます。

そもそもTRADOSがデータベースである以上、再利用性が高い内容こそがTM(トランスレーションメモリ)となる必要があるのですが、実際にはマニュアル一冊についてまるまるTM化を依頼される場合が多く、その登録内容についても、単純にソース(日本語)対ターゲット(英語)を一文ずつ機械的に登録する場合が多いです。

しかし、意外に知られていないことですが、TRADOSで運用するためにTMを作成するには、それなりの準備が必要です。

元原稿が正しく翻訳されているか、使用されている用語が統一されているか、という基本的な確認に始まり、本当に対訳になっているか、また対訳にしなくてはならないのか、どのくらいの言葉の単位でソースとターゲットを対にするのが最も適切なのか、などの検証を行い、将来の運用・流用に備えたTMづくりを行わなくてはなりません。
つまり、現状のマニュアルをそのままTM化してよい、ということは、実はあまり無いのが実態なのです。理由は単純で、現状のマニュアルがそもそもTRADOSを意識して作成されていないため、TMに適していないことが多いからです。

現状の資産をTMにして将来の流用を進めるためには、まず原稿やコンテンツを、TRADOS対応に見合ったものに調整し、準備する作業が不可欠です。中には、もともとTRADOS対応には向かないコンテンツもあるでしょうから、よくその吟味を行い、TMとして流用したい場合には十分に調整や準備作業を行うべきです。

この調整・準備作業を怠ったために、せっかくTRADOSを導入して効率化を図っても、問題を抱えてしまい、効果が上がらない、というケースをよく耳にします。具体的には、実際に出来上がったマニュアルや資料を読むと使いものにならない、後工程で膨大なタッチアップが発生してしまう、いったん作ったTMを更新できない、などです。

TRADOSが、マニュアルや資料を読むエンドユーザにとってはまったく関係の無い、作成手段ツールでしかないことを考えると、これらは非常に悩ましい問題です。ツールを導入したために却って別の問題が発生してしまう状況が起こり得るからです。しかし現状の傾向では、TRADOSは、翻訳の発注元が、翻訳コストを削減するためだけに使用するツールとなってしまう懸念があります。

TRADOSの利点である、省力化や語句・表現の統一感という効果を最大限に得るためにも、前準備である調整作業は綿密に行うべきです。そしてできあがったTMについても、定期的なメンテナンスが必要であることは言うまでもありません。たとえTRADOSという便利な自動化ツールを使っても、結局は翻訳者がその見極め力をもって、適切な表現を選び推敲を続けなければ、「効率化」、「自動化」の付けは、最終的にエンドユーザへ回ってしまうように感じます。

かく言う当社でも、TRADOSの出番はどんどん増えています。お客様にはもちろん、「事前の準備作業」について推奨しています。過去資産を生かし、効率化を図りつつ、品質を確保するため、ぜひご一緒にお手伝いさせていただければ幸いです。

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