まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ京都
山村麻紀

技術翻訳のプロ

山村麻紀(やまむらまき)

株式会社 京あはせ

お電話での
お問い合わせ
075-585-3162

コラム

技術文書の翻訳現場から

技術翻訳

2012年12月20日

技術文書の翻訳現場から
~「説明する」場合と「言い換える」場合~

日々技術文書の翻訳に携わっていますが、同じ原稿であったとしても用途によって翻訳の方法を変えなくてはならないシーンがあります。
たとえばとても日本的な内容を英語にする場合を考えてみましょう。
事例①
異物検査装置の検査事例を翻訳する際、原稿に「『おせんべいに海苔(またはゴマ)がかかっているかどうか』を素早く検出する」という内容が入っていました。

事例②
品質マニュアルを翻訳する際、原稿に「『工場では毎朝ラジオ体操を実施する』ことが、安全衛生上の取り組みとして決められた」という内容が入っていました。

どちらも翻訳者泣かせの内容です。このまま単純に英語にしても、外国の方に明確にはわかっていただきにくいからです。
さて、ここで問題になるのは用途であり読者です。事例①の場合には海外の販売会社へ事例集として提供するためのもの、ということでしたので、『おせんべい』を『クッキー』、『海苔』を『チョコチップ』に変えたいと申し出ました。技術的な実証も得られたので、翻訳物としては『クッキーのチョコチップを検出できる』という内容となりました。
一方事例②の場合には、日本での取り組みをそのまま、海外に紹介することが目的でした。本社ではこんなことをやっている、従って海外の子会社や関連会社さんでも是非参考にしてほしい、そういう趣旨が込められた翻訳でした。そこでここでは事例①とは逆に、日本の「ラジオ体操」を積極的に説明、紹介する翻訳としました。

翻訳とは言葉を置き換える作業ではなく、伝えたい思いを再現するための重要なお手伝いだと考えています。そのためには、文書が何の目的で誰に読んでもらうものか、という情報が不可欠です。同じような内容であっても、海外の文化に寄り添った表現や方法とするか、それとも日本での方法を徹底的に説明、紹介するのか。これは目的やユーザによってジャッジしなくてはならない、ものづくりに共通する舵取りだと考えています。

この記事を書いたプロ

山村麻紀

山村麻紀(やまむらまき)

山村麻紀プロのその他のコンテンツ

Share

山村麻紀プロのその他のコンテンツ