マイベストプロ京都
  1. プレゼン記録ノートのススメ【プレゼンに笑いをプラスするコツ番外編4】
田久朋寛

笑いで健康を促進する大道芸のプロ

田久朋寛(たきゅうともひろ)

大道芸人たっきゅうさん

コラム

プレゼン記録ノートのススメ【プレゼンに笑いをプラスするコツ番外編4】

2019年4月13日 公開 / 2019年7月15日更新

テーマ:プレゼンに笑いをプラスするコツ

「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの番外編をひとつお届けします。

一流スポーツ選手に広く知られたノートの効用


今シーズンから巨人に移籍した丸佳浩選手に関する記事がありましたので、このコラムをご覧の皆さんにもぜひ紹介したいと思います。

巨人・丸佳浩は“偉大なるメモ魔”。マル秘の「丸ノート」、実践と効用。
https://number.bunshun.jp/articles/-/838990

丸選手が毎試合、打席に立つたびにノートに記録を残し、対策を練っていることが紹介されています。一流の選手が結果を残すために、練習以外でも努力していることがよくわかる内容です。

スポーツの世界のトッププレイヤーの多くが、ノートに考えを記すことで結果を残しています。ノートの効用が大きく知られるようになったのは、サッカー元日本代表の中村俊輔選手が高校生のころからノートに記録をつけ続けていることが話題となった頃からではないかと思います。中村選手がどのようなことをノートに記しているかは、『察知力』という著書に記されています。少し古い本ですが、自己啓発として学べることが多々ありますので、ぜひ一度ご覧になってみてください(アマゾンで購入する場合はこちら)。

『察知力』が発売された2008年の当時は、ちょうど私も大道芸の仕事で生計が立てられるようになり、もっと実力をあげるにはどうしたらよいかと思っていた時期でした。『察知力』を読んでから、私も「大道芸ノート」をつけるようになりました。今でもノートをつける習慣は継続していて、ノートは40冊を超えています。今では大道芸より講演会が仕事の中心になりましたが、毎回の本番の後にノートをつける習慣は続いています。

このコラムをご覧いただいている皆さんも、もし時間にゆとりがあれば、毎回のプレゼンや講師を務めたときの様子をノートにつけてみてはいかがでしょうか?半年ほど続けていると、明らかによい変化が生まれてくることは私が実体験を通じて保証します。

本番の後に実際につけている記録です







こちらは実際に私が本番を終えた後に記録している実際のノートです。少し古い5年ほど前のものです(古いものを使っているのは多少見栄えがいいくらいで、大きな理由はありません)。大道芸・講演会が終わった時に、以下の内容を記録しています。

1.当日の客層や人数の見立て
2.演じる場所の物理的環境(気温、日差し、動線からの距離など) ※野外での大道芸のみ
3.どのような方針、構成の計画で臨んだか
4.実際の感触、改善するべき場所と具体的方法

4つの項目は、このコラムで紹介したA-PIEプロセスに準じたものです(A-PIEプロセスについては、第14回から5回に渡って詳しく解説しましたので、ぜひご覧ください)。

大道芸にせよ、講演にせよ、文字通り「生物」です。理想は毎回完璧なものをお届けすることですが、そう簡単にできるほど甘くないのも現実です。それでも経験を重ねるごとに精度を上げていくために、毎回事前のアセスメント・計画は正しかったのか、より良いやり方はなかったか検証し、新たな仮説を立てています。

なお、上記の2.については、屋内で行われる一般的なプレゼンにおいては、さほど意識しなくても問題ないかと思います。大道芸は屋外の理想的とは言い難いコンディションで行うため、環境の違いで、お客さんの人数がある程度集まるまでの時間や、引っ張っても大丈夫な時間、どのくらいなら前の方まで近づいてきてくれるかなどが大きく変わってきます。見立てを間違えると大撃沈するため、アセスメントが非常に重要です。

正直な話、ノートに記録をしても1回で劇的な改善はありませんが、年単位で継続すると、確実に効果が出てきます。先日、関西の最古参のベテラン大道芸人が、たまたま私の講演会に来てくださいました。帰り際にこんなことをおっしゃってくれました。

「たっきゅうさん、話もおもしろかったで。もっと前から大道芸でもそのトークができればよかったのに」

その方が屋外での私の大道芸を最後にご覧になったのは多分5年ほど前だと思います。おっしゃる通りでその頃から面白いトークができればもっと有名になってたはずですが、ベテランの目から見て頼りなく見える自分でさえ、5年も愚直に記録を続けると多少は上手くなっているのだな、と思います。これがノートの効用です。

生のリアクションが、一番のフィードバック


ものごとの改善や上達のためには、フィードバックをもらうことが大切だということは、いまや常識にすらなってきました。経験の多い先輩からのフィードバックは活かしていきたいところですが、先輩も毎回毎回自分にアドバイスをくれるわけではありませんし、アンケートを毎回とるわけにもいかないと思います。しかし、他の仕事と違い、プレゼンだけは毎回確実に精度の高いフィードバックを得ることができると私は考えています。なぜそう言えるのか?それは、

毎回お話を聞いてくれる参加者が、絶対に何らかのリアクション(反応)をする

からです。リアクションと言っても積極的な相槌などのコミュニケーションだけではなく、食いつくようにお話を聞いてくれるとか、逆に全然笑ってくれない、眠そうにしているといったネガティブなことも含みます。プレゼンはお話を聞いてくれる参加者がいて初めて成立します。プレゼンを通じて参加者の心に残るものがなければ、決して成功とは言えません。だからこそ、参加者のリアクションは一番正確なフィードバックだと言えるのです。

最初は緊張して段取りをこなすだけで精いっぱいでも無理はないと思いますが、ぜひ本番で少し周りを見渡すゆとりが出てきたら、毎回のリアクションもチェックしてみてください。明らかに芳しくないリアクションがある場所は、次回に改善するべき場所です。相手のリアクションが芳しくないと、自分の努力が徒労に終わった気がして相手のせいにしたくなってしまうものですが、そこを踏みとどまって、ちょっと改善法を考えてみると、半年後には大きな成果が生まれます。

(※このようにあたかも聖人君子であるかのように偉そうなことを書いていますが、私自身、本番で明らかにすべった後は、「なんだよ腹立つなあ」と思っています。しかし、それは一日寝たら忘れ、ノートを取り出す頃には割とニュートラルに記録するモードに戻っています。記録することには気持ちをリセットする効用もあるのかもしれません)

でも、実際にどう改善したらよいかわからない…ということも多々あると思います。考えてもわからないときは、とりあえず放っておいてもかまいません(笑)。無責任な発言だとお叱りを受けそうですが、その場ですぐ答えが出なくても、「ここは改善したいな」と記憶にとどめておけば、後日ふとした瞬間に妙案が出ることがあります。実際に私もいつもウケの悪いセリフを変えたいけどどうしたらいいか…と思っていた場面で、後日キレのよいアドリブが出て一気に解決したことが何度もあります。もっとも、それで調子に乗って別の全く客層の違う場所で同じセリフを言って結局ダダすべりすることも多いのですが…

次回からシリーズ本編に戻り、ホワイトボードやパワーポイントの使い方に触れる予定です。

----------------------------------------------------------------------------------------
笑いや生きがいに関する講演・研修のお問い合わせはこちらからお願いします。

https://www.humor-therapy.com

この記事を書いたプロ

田久朋寛

笑いで健康を促進する大道芸のプロ

田久朋寛(大道芸人たっきゅうさん)

Share
関連するコラム