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不貞慰謝料を請求する場合に注意すべきこと

2022年6月23日

テーマ:身近な法律

コラムカテゴリ:法律関連

離婚

不貞行為の慰謝料は誰に請求できる?

配偶者の不倫で慰謝料請求をする場合、誰に対して請求することになるのでしょうか。

不貞行為の当事者は、不倫をした配偶者と、その相手との二人です。
二人で不貞行為を行い、そのことで精神的損害を発生させたのですから、その慰謝料も、不貞行為の当事者二人に支払い義務があります。
そして当事者二人のそれぞれには、自分の責任割合に応じた負担額が存在します。

他方、精神的損害を受けた側は、その賠償金としての慰謝料を、二人に請求することができますが、どちらか一方に全額を請求することもできます。
もし、どちらか一方が自分の負担額を超えて慰謝料を支払った場合、その超えた分をもう一方の当事者に請求することができます。
これを求償権といいます。

たとえば、夫が不貞行為を行い、妻に200万円相当の精神的損害が発生したとします。
そして、妻がこの200万円全額を、夫の不倫相手に請求したとします。
このとき、夫と不倫相手との責任割合が1:1だったとすると、不倫相手の負担額は100万円になります。
しかし、不倫相手は、妻の請求に応じて200万円を支払う義務があります。
不倫相手が200万円を妻に支払ったとすると、自分の負担額である100万円を超える金額、つまり100万円を夫に請求することができることになります。

浮気相手だけに慰謝料を請求した場合

配偶者の不倫は許せないが、経済的な事情などで離婚までは考えないということもあります。
このような場合は、不倫相手に損害の全額を請求することになりがちです。
しかし、不倫相手から損害全額を支払ってもらっても、今度は不倫相手から配偶者に対する求償によって、不倫相手の負担分を超える金額を夫が支払わなければならないことになります。
離婚しない場合、夫婦の家計はひとつになっていることが一般的でしょうから、結局は家計から配偶者の負担額に相当する金額が戻ることになります。

もっとも、この求償権は、不倫相手と合意して放棄してもらうことも可能です。
しかし、ただ放棄してくれと頼んだだけで放棄してくれるはずもなく、交渉が必要です。

不倫をした配偶者と離婚した場合は、元配偶者と家計が一つということもありません。
このような場合は、求償権が行使されても、自分の財布から出ていくことはありません。
ですから、配偶者か不倫相手か、どちらかより支払い能力のある方に請求するという選択が可能です。

ただし、不倫相手に請求ができるのは、原則として不貞行為による慰謝料です。
そのことが原因で離婚に至ったとしても、離婚慰謝料まで当然に請求できる、というわけではありません。

浮気相手憎さに、不倫相手に慰謝料の全額を請求したいと考える方は少なくないでしょう。
しかしその場合には、求償権の存在を踏まえておく必要があるというお話でした。

この記事を書いたプロ

拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(京都北山特許法律事務所)

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